格安議員宿舎

〜 もっと重要な問題を議論しよう 〜



衆議院の赤坂議員宿舎の家賃が格安だとして問題になっている。
今春の完成を目指して国会に近い赤坂で新しく立て替えられている衆議院議員宿舎は、地上28階、地下2階建ての高層マンションで、衆院議員480人のうち300人が入居可能な大規模なものだ。全室3LDKで82平方mと結構広いが、家賃は月9万2000円だ。新築豪華マンションなので、地方の水準から見ても安い物件だが、都心の一等地赤坂なので超格安なのは間違いない。周辺の民間マンションなら月45万円が相場らしい。なので、テレビのワイドショーなどで議員特権だとして批判を浴びている。

(石材店)「今回は、国会議員のお手盛りを糾弾するんですね」
(幹事長)「いや、その、実は、今回は違うのだよ」


僕は今回の件は、目くじら立てて批判すべき問題ではないと思う。確かに、周辺の相場と比べれば格安なのは間違いない。しかし、東京のマスコミは、東京中心の視点から絶対に抜け出そうとしないので「東京のど真ん中に住むくせに、そんな格安家賃はけしからん」と批判するのだが、国会議員の大半は地方から来ているのだ。そして、地方には自宅があるのだが、国会議員になったからと言って地方の自宅を処分して一家総出で引っ越してくる訳ではないのだ。議員宿舎は、地方選出議員にとって東京での生活拠点であり、あくまでも国会での活動のために東京にも住居が必要だから借りるだけだ。サラリーマンの単身赴任と同じ様なものだ。地方のサラリーマンが単身赴任で東京に住む場合、地元との二重生活でコストはかかるから、普通なら会社から家賃補助が出る。地方に比べて東京の家賃はバカ高いから、会社からの補助が出なければ住めない。

もちろん、我々サラリーマンが単身赴任で住む住居は、都心のど真ん中ではなく、満員電車で1時間くらい揺られる必要があるし、そんなに広くはないし、決して豪華でもない。まあ、しかし、国会議員なんだから、多少は広くて便利で豪華でも、そんなに目くじら立てて批判するほどのことではないように思う。

(石材店)「えらく理解がありますねえ」
(幹事長)「それくらい優遇してやらないと、金持ちしか国会議員になれなくなるからなあ」


親の代からの世襲議員は都内に家を持っているだろうし、金持ちなら家賃くらい問題ではないだろう。しかし、そうでない人間が国会議員になれば、負担は大きい。野党に目を向ければ、必ずしも金持ちでない議員もいるのだ。ただでさえ二世議員や金持ち議員が溢れている現状を考えれば、これ以上、世襲議員や金持ちしか国会議員になれなくなる事態は避けたい。

しかし、マスコミの無責任で独善的な批判を恐れて、自分で民間マンションを借りるのを検討したり、あえて古い別の議員宿舎に移るなど、入居を見送る動きが広がっており、定員割れになる可能性も出てきた。なんだかもったいない話だ。また、築年数が古いため家賃が5万円台の九段宿舎は、「ここなら批判されない」とのことで人気が上昇して転居者が相次ぎ、満室状態になっているらしいが、なんとなくバカみたいな話だ。家賃が格安だというのは、新しいかどうかもあるけど、立地が一番大きな要素なんだから、千代田区の九段で5万円台っていうのは、やっぱり格安だぞ。

それから、そもそも3LDKで82平方mってのは、東京のど真ん中だからすごく広いと思われているのかもしれないけど、地方の感覚から言えば、そんなに驚くような広さではない。最初、聞いた時は、「国会議員でも、結構、控えめなのね」なんて思った。

なんだか、最近の政治家は、狂信的で独善的なマスコミに叩かれるのを恐れて、ちょっと腰が引けすぎているように思える。
こんな問題は、忙しいはずの国会議員が振り回されるような問題ではない。彼らには、議論すべき重要な問題が山ほどあるんだから、アホな事は無視していればいい。満員電車に揺られて通勤するような時間はもったいないのだから、都心の一等地に住んで、昼夜を惜しんで仕事してもらいたい。

(2007.1.12)



〜おしまい〜





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