福田首相の高支持率

〜 自民党は逆戻りするのか? 〜



安倍首相の突然の辞任の跡を継いで、なんと福田康夫が新首相となった。流れから言って、最初は多くの人が麻生幹事長がうまいこと首相になると思っていたら、あれよあれよという間に福田康夫が圧勝してしまった。これには、まさに呆然、といったところだよなあ。麻生氏だって、呆然だよなあ。ま、別に麻生氏に首相になって欲しかったわけでは、さらさらないけど。

最初は福田康夫の名前は出てなかったのに、いざ出てくると、各派閥は一気に雪崩を打って福田支持に流れ、麻生派を除く8つの派閥全てが早々に福田氏支持を表明した。最初は出馬を明言していた額賀財務相も断念し、福田氏支持に回った。残ったのは麻生氏だけだった。この時点で、選挙を待つまでもなく、また2人の論戦を待たず、試合の前に勝負は決まってしまった。

こういうやり方は、以前の自民党には珍しくなかった。て言うか、むしろ普通だった。ボス同士の駆け引きと話し合いで首相は決まってきた。でも、小泉登場によって、このような古いやり方は過去のものとなったのかと思っていた。自民党は脱派閥を唱えて生まれ変わったと思っていた。ていうのは嘘です。そんなに簡単に派閥が無くなるわけがない。そもそも、小泉登場の時は派閥の理論にしばられない画期的な登場の仕方だったけど、それを引き継いだ1年前の安倍政権誕生の時は、なんとなく出来レースだったよなあ。それでも、やはり今回、時計の針が完全に逆戻りした感は否めない

今回、ポストや主流派入りを狙って、われ先にと勝ち馬の福田康夫に群がるさまは、1年前に安倍氏を支持した各グループの行動と同じだ。各派の幹部たちは、口々に福田氏と政策が一致したことを理由にしているが、そんなものは嘘だ。ついこの間まで安倍政権の中枢にいた人たちが、政治思想や信条で安倍氏の対極に位置する福田氏につく節操のなさには、呆れるほかない。安倍氏と福田氏と、どっちの思想信条に僕は共感するかと言えば、ケースバイケースなので一概には言えないが、各派閥の動きの節操の無さには呆れる。呆れかえる。

福田新首相は「自民党に対する批判は極めて強い。国民の信頼を取り戻すために全力を挙げる」なんて言ってるけど、派閥主導の古い自民党に戻った印象は否めず、かえって不信を招いているように思えてならない。

しかーしっ!僕のこの違和感は国民には共有されていないようだ。新内閣発足直後に行ったマスコミ各社の世論調査では、軒並み60%近い支持率となった。もう、ありえなーいっ、ってところだ。福田首相本人だって「どういうことか、さっぱり分からない」って呆れている。この人って、こういうのをストレートに言うあたり、なかなか面白い。そういう意味では期待できるかも。

でも、なんでこんなに支持率が高いだ?分かんない。あり得ない。どうなってるんだ?
自民党各派閥の力を取り込んだ安定政権というのは間違いない。しかし、それは自民党内の安定であって、野党が過半数を持つ参議院を含めた国会での安定政権ではない。ましてや、国内外に諸問題を抱える現状で安定した政策を進められるとは到底思えない。そもそも、福田首相からは「首相として、これを成し遂げたい」という政策面での明確なメッセージが伝わって来ない。
それなのに、ああ、それなのに、一体どうしたことだ、これは?このおっさん、て言うか、このじいさん、もう70歳代だぞ。こんなじいさんに何を期待してるんだ?世界の主要国でこんなじいさんが政権を取るような国はないぞ。日本では、小泉とか安倍とか若いっていうイメージだったけど、世界では、あれくらいの年齢が普通だぞ。じいさんが政権を取るのは中国くらいだ。中国は非民主的な一党独裁体制だから年功序列的にじいさんが政権を取るけど、それ以外の主要国は、ロシアも含めてもっと若いのが政権を取るぞ。

支持率が高い要因の一つは、そもそもの事の起こりが安倍首相の突然の政権投げだしだったとか、総裁選挙が出来レースだったとか、そういう批判はあるにしても、ともかく総裁選挙によって自民党に対する国民の意識が盛り上がったっていう事実だ。ここ高松にも福田、麻生両氏が街頭演説に来て、かなり盛り上がった。テレビも連日連夜の報道だった。そのため、本質的な事を忘れて、なんとなく支持してしまったのかもしれない。日本国民なんて、それくらいのものだ。
そもそも、安倍首相が政権を放り出す原因となった参議院選挙の結果だって、アホな国民のその場その場の気分次第で大きく左右される気分次第の結果だ。

ともかく、福田政権には、民主党による昔の社会党のようなアホな反対に惑わされることなく、また、古い体質のままの自民党のボス達の要求をのんでバラマキ行政に戻ったりすることなく改革を進め、また国際的地位の向上に努めて欲しい

(石材店)「あれ?幹事長は民主党支持じゃなかったですか?」
(幹事長)「小沢一郎には、ぜひ一度、政権を取らせてみたいんだけど」


でも、今のような反対のための反対をしてるようじゃあ、小沢政権はあり得ないぞ。

(2007.9.29)



〜おしまい〜





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