釈然としない無罪判決

〜 なんとなく腑に落ちない 〜



北九州市で4年前、58歳の男性が全焼した自宅の焼け跡から遺体で見つかった事件で、殺人や放火罪などに問われた実の妹に対する福岡地裁小倉支部の判決があり、無罪が言い渡された
恥ずかしながら、この事件に関して記憶は無かった。

(幹事長)「こんな事件あったっけ?」
(石材店)「あんまり記憶に無いですねえ」


たぶん、逮捕された当時は、誰が考えても妹が犯人だろうと思ったので、単なるありふれた殺人事件として、記憶にすら残らなかったのだろう。

なぜ妹が当然のように犯人と思われたかと言うと、殺人、放火事件の翌日に、殺された男性の貯金口座から現金500万円を引き出したからだ。今回の判決でも、この窃盗容疑では有罪となり、懲役1年6月、執行猶予3年が言い渡されている男性が殺害され、自宅も放火され、その後に貯金が勝手に引き出されたとなると、普通、引き出した人間が犯人だと思うよねえ

もちろん、物証なしで、こういう疑いだけでは有罪にはできないので、警察は他にも証拠を用意した。それは、妹と留置場で同房になった覚せい剤取締法違反容疑などで拘置中の女性に対して、妹が「首を刺した」などと犯行を詳細に告白したというものだ。警察は「保存していた遺体の再鑑定で首の動脈から刺し傷が見つかり、犯人しか知り得ない『秘密の暴露』に当たる」とし、懲役18年を求刑したのだ。

これに対し、妹は告白自体を否定し、一貫して無罪を主張し、「同房の女性は警察から送り込まれたスパイ。自分の事件に手加減を加えてもらうのを期待し、警察と二人三脚で犯行告白なる物語を作り上げた。メモも心理テストとだまされ、女性に言われた通りに書いただけだ」と反論したのだ。

裁判では、同房女性の証言の証拠能力と信用性が焦点となったが、福岡地裁は、「捜査機関は、被告の収容先の留置場に別事件の被疑者を意図的に同房にして、被告人の供述を得ようとするなど、虚偽供述を誘発しかねない不当な捜査を行った。被告の犯行告白は信用できず、犯人と認定することはできない」として、妹に無罪を言い渡したのだ。
地裁は、「同房者は、自ら別の事件の被疑者であり、警察に無意識に迎合する恐れがあることは否定できず、警察の取調官としての役割を果たした。捜査側に伝えることを隠して被告から聞き出しており、証言は任意性がない」とし、県警の捜査手法を「同房者からの参考聴取は許されるが、今回はその域を超えている。本来、取り調べと区別されるべき留置が犯罪捜査に乱用された」と批判した。

(幹事長)「どう思う?」
(石材店)「ううむ。微妙ですねえ。下手に発言するとマズいんじゃないですか?」
(幹事長)「怖いもの知らずの僕も、奥歯に物がはさかったような言い方になるけど、なんだかスッキリしないだろ?」


なんちゅうても、殺害されて放火された翌日に、殺された男性の貯金口座から現金500万円を引き出しているのだよ。どう考えても怪しい。怪しすぎる。犯人以外の人がする事ではないだろう?おかしすぎるよなあ。

裁判所は、警察の手続きが不当だという事で無罪にしたけど、それでは本質を誤っているぞ。そういう些細な手続きの誤りをことさら大きく取り上げて無罪にするようでは、本末転倒であり、正義が無くなるんじゃないか?裁判所には、社会正義を守るために、もっと本質を考えてもらいたい。

普通、冤罪事件の報道では、偽善の塊であるマスコミはバカ騒ぎする。「善良な市民に対する国家権力による弾圧」みたいな報道の仕方だ。犯人が、他にも極悪非道な犯罪を犯しており、明らかに怪しい奴の場合でも、冤罪となると、一躍ヒーロー扱いだ。
なので、今回の事件に関しても、この妹の援護者のコメントばかり書いている、しかし、それでも、なおマスコミの態度は、なんとなく微妙だ。援護者のコメントは掲載しているものの、論調が、あんまりスッキリしない。さすがのマスコミも、やはり、ちょっと疑っているんじゃないかなあ。

(2008.3.9)



〜おしまい〜





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