高橋尚子惨敗

〜 涙 涙 涙 〜



3月9日、北京オリンピックの最終代表選考会を兼ねた第29回名古屋国際女子マラソンが行われ、我が心のアイドル高橋尚子が惨敗してしまった
もう考えられない。ただ涙あるのみ。えーんえーん、しくしくしく。

その前日なんて、僕は4月にある第1回徳島マラソンを目指してトレーニングしながら、北京オリンピックで30km付近でトップに飛び出して一気に差を広げるんだけど、終盤ペースダウンしたところを野口みずきが猛然と追い上げてきて、最後まで熾烈なトップ争いになるんだけど、あと少しのところで1m差くらいでギリギリ逃げ切って、2大会ぶりの金メダルをゲットして、いつもは笑顔のQちゃんも感極まって泣きじゃくるっていう勝手な想像しながら、一人幸福感に浸っていたというのに。

レースは、最初から予想外の展開となった。優勝すれば北京オリンピック代表が固いとあって、タイムより優勝を狙う展開となり、おまけに有力選手が揃ったため、お互いに牽制しあい、ありえないようなスローペースで始まった。こななペースでは、仮に優勝したとしても、1月の大阪国際女子マラソンで日本人トップの2位に入った森本友の記録に及ばず、北京オリンピック代表は危ういと心配させられるペースだ。
テレビを見ていた僕は「こなな遅いペースに付き合わず、早く飛び出すんだ、Qちゃん!」なんて叫んでいたのだ。ところが、なんと、我がQちゃんは、飛び出すどころか、10kmも行かない所で突然じりじりと遅れ始めたではないかっ!
最初の給水地点で、自分の飲み物を取り損ね、一般用の水コップを3杯をとって、足にかけたりしてたあたりから、なんとなく挙動が不審で、表情がこわばっていたので、なんとなく嫌な予感はしていた。走りに躍動感が無く、明るさが無かった。しかし、それにしても、こんなに早く遅れだすとは思ってもみなかった。

その後も、どんどん順位は下がっていき、一般参加のランナーにさえ抜かれていく。30km過ぎには、コースから外れてトイレに駆け込んだりもした。ただし、もう棄権するかなあって思っていたけど、トップと18分遅れで最後まで完走した。体が辛いだけでなく、精神的にも惨めで辛かったと思うけど、さすがはプロ根性なのかもしれない。ぶざまでも最後まで完走した方が棄権するよりはマシと考えたのだろう。

レース後の記者会見で、Qちゃんは、昨年8月に合宿先のボルダーで右ひざの手術をしていたことを明らかにした。もともと持病だった右ひざの半月板がめくれて、関節に入り込んだ状態になったため、内視鏡手術で約50%を切除したというのだ。当然、レースまで7ヵ月の時点で大事な足にメスを入れることに躊躇はあったけど、それしか残された手段は無かったということだ。手術後は松葉づえを使い、徐々に練習をはじめ、今年1月から40キロ走を繰り返し、距離はなんとか稼いだようだが、最後までスピード練習はできず、不十分なままレースを迎えたため、序盤の超スローペースにさえ対応できなかったのだ
そういう状況だったのなら、仕方ないとは言える。コンディション調整の失敗とかいうものじゃなく、どうしようも無かったって訳だ。彼女は元々、練習の虫だったわけで、だからこそ世界の頂点に立った訳で、その長年の過度な練習の無理がたたって体のあちこちにガタがきていたって訳で、なんとも仕方ない事ではある。
しかし、それにしても悲しい。悲しすぎる。

彼女は記者会見で笑顔も見せていた。これは彼女のプロ根性がなせる技であり、たぶん、裏では号泣していると思うけど、とにかく人前では笑顔を絶やさなかった。そして「やりたいこともあるので、もう少し走らせてくださいと所属先には話をした。まだまだ陸上生活は続けていきたい」と意欲を見せた。
これが何を意味しているのかは分からない。もしかして、今回はまだリハビリが終わってなかったから不本意なレースとなったけど、もっと時間が経てば本調子に復活すると思っているのだろうか。もちろん、それは心の底から期待したいけど、現実的には非常に厳しいだろう。アテネオリンピック落選の2年後、奇跡の復活優勝を遂げた不死鳥Qちゃんだけど、しかし今回は、長年、酷使してきた彼女の体は、もう元には戻らないのではないだろうか。
さすがに、2012年のロンドンオリンピックについて問われると、「4年後は考えられない」と言いながらも「あるかもしれないし、ないかもしれない」と答えている。あるいは、以前から興味があるらしい100kmマラソンなどへ挑戦する可能性も言われている。

しかし、いずれにしても、彼女の、あの爽やかな疾走する姿を見る事は、もう永遠に無いのかもしれない。悲しい。悲しすぎる。だからこそ、よけいに、アテネオリンピックの代表に選ばなかった日本陸連のバカタレ共が憎たらしい。シドニーで金メダルという快挙を成し遂げたQちゃんなんだから、選考レースの結果なんか関係なく、無条件で選んでいれば、彼女のその後の競技人生も大きく変わったことだろうし、今回のような悲劇は生まれなかったかもしれない。

今回のレースでは、優勝した選手よりも、Qちゃんがゴールした時の方が、圧倒的に大きな声援が飛んでいた。沿道の人々だって、最後までQちゃんだけを応援していた。13000万人の日本国民1人残らず全員が最後までQちゃんを応援していた。いや、60億人の地球人の1人残らず全員がQちゃんを応援していた。Qちゃんだけを応援していた。

「あきらめなければ夢はかなう」

それをみんな信じていたのに。
信じていたのにーーーーーっ!!

(2008.3.10)



〜おしまい〜





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