ガソリン税率引下げ

〜 民主党の知能レベルの低さを憂う 〜



まさか現実になろうとは思ってもいなかったけど、なんと遂にガソリンにかかる約25円/リットルの暫定税率の期限が切れてしまった。衆参両院議長の斡旋もあって最後の最後には収束すると思っていたから、まさか現実になろうとは思っていなかった僕は、3月下旬に車のタンクが空になったもんだから、何も考えずにガソリンを50リットル入れて満タンにしてしまった。50×25=1250円の損をしたって訳だ。

(幹事長)「だからと言う訳じゃないけど、今回の混乱には憤りを覚える!」
(石材店)「だからと言う訳なんでしょ?」


ま、多少は、そのせいである。もし1250円得していたら、ここまで怒らなかったかもしれない。しかし、本質的に言いたいことは変わらない。民主党は何をしよんじゃ!

(石材店)「幹事長はガソリンが値下げになるのに反対なんですか?」
(幹事長)「以前は違ったけどな」


10数年前にアメリカに住んでいた頃は、ガソリンの安さに驚いた。だいたい1ガロン1ドルってのが標準的な価格だった。リットルと円に換算すると、だいたい30円/リットルくらいだ。当時、原油価格は今の1/10以下だったけど、それでも日本国内のガソリン価格は90円/リットルくらいだった。
この日米の価格差は、もっぱら税金の額の差だ。当時は原油価格がガソリン換算で5円/リットルくらいだったから、精製コストや流通経費を合わせてもガソリン原価は30円/リットルくらいだったけど、日本では税金が約60円/リットルもかかっちゃうので小売価格は90円/リットルになってしまうのだ。一方、アメリカは、国内でも原油を生産しているので原価も安いが、それ以上に、税金がほとんどかかってなかったから安かった。同じ先進国で、ここまでガソリン価格に差があると、日本の価格の高さに腹が立った。なんでそんなに税金をかけるんだっ!って怒っていた。

しかし、アメリカのようにガソリン価格が安いと、どうなるか?みんなガソリンのコストを考えなくなるのだ。僕らもそうだった。たった30円/リットルなら、ガソリンを節約しようなんていう発想はなくなる。タダ同然みたいな気分になるため、大半のアメリカ人は1人1台で長距離をマイカー通勤していた。ものすごい資源の浪費だ。いくら理念として資源の節約を説いても、所詮、価格が安ければ誰も節約しようなんて思わない。貴重な化石燃料の節約と二酸化炭素排出量抑制を進めるのなら、ガソリン価格を上げなければ不可能だ。

ここ近年、原油価格が異常に急騰し、今、ガソリン小売価格に占める原油価格は70円/リットルくらいにまでなっている。10数倍だ。ところが、これでガソリン消費量が減ったかと言えば、ほとんど変わっていない。なぜなら、税金は変わっていないから、仕上がりの価格は150円台になっただけだからだ。安かった頃に比べても2倍にはなっていない。せいぜい5〜6割し程度だ。この程度では、最初は、高いなあなんて思って多少は気にするかもしれないが、まだまだ消費量の抑制には結びつかない。
それなのに、民主党はバカみたいにガソリン価格を下げようとしているのだ。もちろん、世論調査では、ガソリンの値下げは国民の支持が強いようだ。税金を下げてガソリンを安くすると言えば、大衆受けはするだろう。しかし、それに迎合するのは、責任ある政党がする事ではないだろう。民主党は責任野党の意識を捨てちまったのか?

(石材店)「おや?幹事長は小沢民主党を応援していたんじゃないですか?」
(幹事長)「もう全く期待はずれでがっかりなのよ」


なんちゅても、民主党は「ガソリン値下げ隊」なんて恥ずかしいものを発足させたんだよ。このセンスの無さも赤面するが、それより何より、あまりに知能レベルが低すぎるので驚愕してしまう。民主党って、ここまで知能レベルが低かったのかなあ。ちょっと信じられない。幼稚園児並みの知能レベルだぞ。

そもそも、日本のガソリンは高いのか?上にも書いたように、確かに以前はアメリカに比べ3倍も高かった。しかし、それは昔の話だ。今はアメリカでも100円/リットル近い。さらに、その他の先進諸国は日本よりずっと高い。円/リットル換算すると、イギリスが約250円、ドイツが約225円、フランスが約220円くらいだ。日本、アメリカを含め、どこも原価は80〜90円/リットル程度で似たようなものだから、小売価格の差は全て税額の差だ。円/リットル換算すれば、税金は日本が約60円/リットルなのに対し、イギリスが約160円、ドイツが約140円、フランスが約130円、くらいだ。どこも日本の2〜3倍程度だ。
日本より税金が高いのは、なにもヨーロッパ諸国だけではない。平均年収が日本のほぼ半分の韓国でも、200円/リットルくらいはするので、負担感は日本よりかなり高い。OECD29ヵ国中、日本の税額はメキシコ、アメリカ、ニュージーランドに次ぐ4番目の低さだ。つまり、200円/リットル以下の日本のガソリン価格は、今や世界でも珍しいほどの安さなのだ民主党は、さもガソリン価格が高くて庶民の生活を直撃しているかのごとく喧伝しているが、事実は全く異なるのだ。
この税金の安さの結果、日本のガソリン消費量は抑制される要因がほとんど無い状態であり、家庭からの二酸化炭素排出量の1/3が自家用車によるものとなっている。今でも少ない税金が、暫定税率廃止によりさらに安くなれば、ますますガソリン消費量は増えていくだろう。せっかく国内で高まってきたエコ・ドライブや省エネ・カーへの機運が元に戻ることになる。これは望ましいことなのか?

実は民主党は環境問題に前向きに取り組むと訴えており、地球温暖化対策税の導入も謳っている。炭素1トンあたり3000円課税するとのことだ。しかし、これはガソリン価格で言えば、1リットル当たりたった2円弱に過ぎない。一方でガソリン税の暫定税率を廃止して25円も下げると、プラスマイナス23円の値下げになる。何の意味もない地球温暖化対策税だ。こんな支離滅裂な政策を訴える思考回路が理解できない。もしかして民主党の人間ってアホなのかもしれない。

(幹事長)「あり得ないほど愚かな政策だぞ」
(石材店)「でも、そもそも道路特定財源の問題が発端でしょ?」


それは、そうだ。そもそも民主党が問題視しているのはガソリン税が道路特定財源になっている事だ。ガソリン税自体は減らす必要はなく、むしろもっと高くしてもいいと思うけど、道路特定財源のままだと、永遠に無駄な道路を作り続けることになるから、ぜひとも一般財源化する必要があると思う。一般財源化すれば、増える一方の国の借金も減らすことが可能になるだろうし、無駄な道路が作られなくなるから環境にも良いだろう

しかし、ガソリン税の一般財源化と暫定税率廃止とは、全く別問題だ
ガソリン税は本来、約28円/リットルなんだけど、これは全て道路特定財源に入れられており、そのため道路の建設や維持などにしか使うことができない。これは、道路は自動車が利用するために整備されるものであるから、必用な費用は自動車の利用者から徴収するという受益者負担の観点からそうなったものだ。ここまでは、とても分かりやすい。そして、かつて日本の道路整備はとても遅れていたから、本来のガソリン税だけでは不十分だということで暫定的に税率が引き上げられ、約25円/リットルが上乗せされたのだ。ここまでも理解できる。

ただし、暫定と言いながら、もう35年も経っている。これは、さすがに、ひどい。もういい加減、道路は十分じゃないかっていう飽和感が漂ってきた。もちろん、もうこれ以上、道路は要らないとは言わないけど、今までのペースで作り続ける必要は無いだろうと思う。ところが自民党の道路族は、地方では道路がまだまだ必要であり、道路特定財源を維持すべきだと必死だ。道路をまだまだ必要としている地方があるのは事実だ。ただ、一方で、誰が見ても不必要な道路をバカ高い費用をかけて作っているのも事実だ。政官一体となった道路族は、道路が必要だからというよりもむしろ、土木建設業界の既得権益を守るために必死になっている。

もちろん、政治家や官僚は私腹を肥やすためだけで道路を作り続けているのでもない。道路建設はケインズ的に言えば、有効な政策だ。かつての日本では、農業社会を工業化するにあたり、余剰な農業人口を吸収する目的で土建国家を作った。その証拠に、田舎へ行けば行くほど、農林業と共に建設業のウェイトが非常に高い。そして、この産業構造を維持するためには土建業への発注を継続しなければならないのだ。道路工事は地方の雇用を支える貴重な失業対策の手段なのだ。どうせ金を使うのなら、何もしない人に生活保護を施すよりは道路建設に回したほうがマシだろう。さらには、道路が増えれば自動車の保有台数も増え、様々な産業に波及効果を及ぼす。ガソリン税が下がって道路建設や補修に使う金が減れば、道路工事に係わる雇用が減り、地方の経済はますます疲弊し、失業者の増加による社会問題の拡大と社会保障コストの増大を招くのは必然だ。
ただし、個々の土建業者の事情ではなく、もう少しマクロ的に見れば、なにも不要でバカ高い道路を作らなくても、むしろ他の公共交通や電気自動車のような新しい交通手段の導入に金を使った方が、雇用も確保したうえで、総合的には良い結果を生む可能性が高い。しかし、道路族は個々の土建業者の利益だけを考えて行動するため、言うのは簡単だが、実行するのは非常に難しい。この状況の打破は、なにも民主党だけでなく、小泉内閣も模索しながら実現しなかった大きな課題なのである。本気でやるなら、民主党単独ではなく、自民党内の賛成派とも手を組んで進めなければ不可能だろう。

ところが民主党のやっていることを見れば、単に反対のための反対をしているだけだ。まるで昔の腐り切った社会党を見るようだ。今の民主党には、昔の社会党の残党が多数生き延びているとは言え、民主党はいつでも政権を取る用意がある責任野党になろうとしていたはずだ。それが昔のアホ集団の社会党のように、なんでもかんでも、政局を混乱に陥れる事だけを考えた反対野党に成り下がってしまったようだ

(石材店)「もう民主党は見放すんですか?」
(幹事長)「この問題に限らず、最近の言動を見ていると、ほんとに愛想が尽きた」


日銀総裁空席問題も信じられない。財務省出身者はだめ、という方針は理解できる。なんでもかんでも支配したがる官僚を排除するのは正しい方向だ。しかし、日銀総裁が空席になってもいいのかと言えば、それはだめだ。どちらがより重要かという問題だが、明らかに総裁空席を避けるべきだ。世界レベルで金融不安が吹き荒れているタイミングで、日銀総裁を空席にしても平気な民主党の感覚が信じられない
もしかしてもしかして、ほんとうにアホなのだろうか、あいつら。たぶん、金融政策という観点からすれば、本当にアホなのだろう。なぜなら民主党は平気で「低金利政策は高齢者をいじめた」なんて言う。銀行預金の利子が少ないからだ。しかし、世界中のどこの国で、高齢者の利子の事を考えて金利を決定する中央銀行があるだろうか。金利というのは、もっともっと根源的に重要なものであり、利子生活者のために決めるものではない。高齢者を助けるのなら、直接的に保護すればいいだけだ。

高齢者向けの政策と言えば、民主党は基礎年金に税方式を提案している。その場合に必要となる追加財源は15兆円と見積もっており、これは消費税率に換算すれば6%に相当する。消費税以外で、こんな多額の財源を確保するのは困難と思われるが、民主党は消費税増額を明言しないばかりが、なんと逆に貴重な財源であるガソリン税を下げようとしているのだ。税源確保を考えれば、ガソリン税は税率は維持か、もしくは増額したうえで、一般財源化して回せばいいのだ。
この問題も、日銀総裁と同様に、2つの課題のバランスだ。つまり、一般財源化と税率だ。一番良いのは税率を維持または上げつつ一般財源化することだ。しかし、それがすぐには難しいのであれば、取り合えず道路特定財源のまま税率を維持または上げ、腰をすえて長期的に一般財源化に取り組むことだ。逆に、民主党がやろうとしているように、税率を下げてから一般財源化するなんてのは愚の骨頂だ。なぜなら、税率を下げて半分にしちゃうと、一般財源化したって、道路以外の用途に回せる金が無くなるからだ。いくら無駄な金を使いまくっているとは言え、道路族の強固な抵抗を考えると、一般財源化したって、そう簡単に道路以外へ金を回せるとは期待できない。一気には無理だ。最初は少しずつ始めなければならない。
それなのに、このままでは、いくら4月だけ税率を下げたって、1ヵ月もすれば衆議院で再議決して元に戻るだけだ。そして、与野党の対立は決定的になり、協力し合って一般財源化するような雰囲気ではなくなるだろう。
民主党には一度でいいから政権を担ってもらい、その成果を見てみたかったのだけど、こんな知能レベルの低い連中には、もう全く期待できなくなっちゃったなあ

ところで、今回の問題に関しては、信じられない事だが、ほとんど全ての新聞の論説が民主党の愚かな行動にに批判的だ。ガソリン税の一般財源化は進めなければならないが、ガソリン値下げを政治的なツールとして使うことは本末転倒であり、かつ大衆迎合的だから避けるべきである、といった論調だ。いつもは昔の腐り切った社会党のような主張を続けている朝日新聞や毎日新聞でさえ、ガソリン税の引き下げには否定的だ。珍しい。まことに珍しい。マスコミにも、ほんの少しは理性があったようだ。

(2008.4.3)



〜おしまい〜





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