北京オリンピック開幕

〜 楽しみはこれからだ! 〜

バカみたいに世界中で聖火リレーなんかやるから世界中で中国批判が巻き起こった北京オリンピックだが、四川省じゃなくて北京を地震が直撃するとか、台風がいきなり巨大な鳥の巣を破壊するとか、チベット人とウイグル人が武装蜂起するとかいった非現実的な願望も空しく、遂に開幕してしまった。まるで北朝鮮のマスゲームのように、やたら大勢の人を動員して中国自慢に終始した開会式を見てて気分が悪くなって早々に寝てしまったが、いざ競技が始まると、俄然、面白くなる。スポーツ好きの僕としては、4年に一度の大イベントだ。

しかし、開会式前から始まったサッカーの予選で、いきなりコケてしまった。女子は絶対に勝たねばならないニュージーランド相手に終了ギリギリのゴールでかろうじて引き分け、次のアメリカ戦に破れてしまった。最後のノルウェー戦で勝てば準々決勝進出の可能性も残されており、ノルウェーはアメリカとニュージーランドに連勝して早々に準々決勝進出を決めているので手抜きをしてくれれば日本が勝てる可能性もあるけど、1次リーグで一番強い相手だから甘くはないだろう。
男子に至っては、最低でも引き分けなければならないアメリカ戦で破れ、次の強豪ナイジェリア戦にも当然のように破れ、早々に1次リーグ敗退が決まった。
さらに、バレーボールも女子は初戦のアメリカ戦に負け、男子も初戦のイタリア戦に負けた。
どれを見ても、確かに相手は強豪ぞろいで、そう簡単に日本が勝てるような状況ではないが、それにしても全力を出し切って負けたというより、ミスで自滅というか実力を発揮しきれずにズルズルと負けたというか、なんとも不完全燃焼の後味の悪い負け方が多い。精神力の問題かもしれない。

個人競技を見ても、まずは重量挙げの三宅宏実はメダルが期待されていたが、6位にとどまった。これが実力だったのか、実力を発揮できなかったのかは、素人の僕には分からない。
さらに愕然としたのは、女子柔道のエース谷亮子だ。負けた事に愕然としたのではない。日本柔道のエースと言われた選手の、あまりのふがいなさに愕然とした。残り33秒という、もはや挽回が困難な時点での突然の指導、しかも谷だけに対する一方的な指導に対し、あまりにも不公平だという疑問の声も上がっているが、あんな試合をしていたらディフェンディングチャンピオンとしては仕方ないわな。公平に言えば、両者とも負け、って感じ。そのまま3位決定戦にしろ、てな感じ。谷亮子は、あんな情けない柔道をやる人間じゃなかっただろ?4年に一度の晴れの舞台で世界中の柔道ファンに見せる試合じゃないよ。一体、何がどうしたんだ?
実は、彼女の力は衰えていたのだ。去年の世界選手権の日本代表選考会でも負けている。負けているのに、なぜか代表に選ばれ、しかも世界選手権では見事に優勝している。この選考は、とても正しい。アテネオリンピックのマラソン代表に高橋尚子を選ばなかった日本陸連は反省して見習わなければならない。日本国内の選考会だけの単純な成績で選考するんじゃなくて、世界で通用するかどうかを見極めて日本代表を決めなければならない。なので、谷亮子を代表に選んだことは、間違いではない。
間違いは、だからと言って、谷亮子なら絶対に世界で優勝すると思い込んでいたことだ。実は、谷亮子は、いつのまにか、ああいうギリギリの勝負でかろうじて勝つくらいの力しか残っていなかったのだ。負けた準決勝だけでなく、それまでの試合もすっきりしないギリギリの勝ち方が続いていた。かつて観衆を魅了した技量の勝負はできなくなり、カウンター狙いの戦術勝負をする力しかなかったのだ。そのため、彼女の試合運びは審判の心証としては消極的に見えたことだろう。
それでも、腐っても銅メダルを取った谷亮子は、今の力からすれば立派な成績を残したと言える。なんといっても3位決定戦での鮮やかな一本勝ちは素晴らしかった。あんな力強い技が残っていたのなら、なんでもっと早く出せなかったんだ、って悲しくなるくらいの切れ味だった。優勝が絶対的に義務付けられていた彼女にすれば、あそこまで開き直らなければ出せなかったのだろうなあ。
なんにしても、銅メダルを取った谷亮子は立派だ。それに引き換え、天才野村を差し置いて北京に行った平岡のふがいなさは目を覆うばかり、というか、もう腹が立ってぶちのめしてやりたい気分だ。なんじゃ、ありゃ。ほんまに。何にもしないままに無様に初戦で負けてしまった。ほんと、何にもしなかったぞ。いったい何しにいったんだ?ああいうのを見るにつけ、単純に国内選考会での成績で決めるんじゃなくて、天才野村を選んでおくべきだったのだ。平岡なんか10年早いわ。

と、この辺りで、もう見るのが嫌になった。どの競技も、情けない負け方が多い。最初から負けるのが分かっているのなら、そんなに期待もしなかっただろうけど、事前の期待が大きかっただけに、もう見る気が失せた
なんで、そんなに期待が大きかったのか?その理由は、またしてもマスコミに騙されたせいだ。あれだけマスコミを信用してはいけない、と常々肝に銘じているのに、また騙されてしまった。メダル量産だとか言って嘘で固めて事前にむちゃくちゃ盛り上げておいて、惨敗したら知らん顔のトリノオリンピックのときに、マスコミだけは信用してはいけないって、あれだけ固く誓ったのに、また油断して騙されてしまった。期待以上の素晴らしい成果を収めたアテネに比べると、今回は苦戦が予想されていたが、それでもサッカーは男女とも上位進出も夢じゃない、とか、バレーボールも期待したい、とか、谷亮子と北島は金メダル間違いない、とか、野口みずきと野球とソフトボールも優勝を狙え、とか、なんだかんだとマスコミが煽るもんだから、なんとなくその気になってしまっていた。マスコミはテレビの視聴率を稼がなければならないから、嘘でも何でも知らん顔して煽りまくるわな。それを信じた私がバカなのね。悲しい。

と、かなり投げやりになってしまったときに入ってきたのが、内柴の2大会連続金メダルだ。やるじゃないの、内柴くん。こいつもアテネの後、国内で負け続け、もう駄目かとも言われ続け、なんとかかろうじて北京代表に滑り込んだんだけど、やはり国際的な実績が違う。ここ一番の力が違う。ほんと素晴らしい。
そして、さらに衝撃的に素晴らしいのは北島康介の100m平泳ぎの世界新記録でのオリンピック連覇だ。何が衝撃的かと言うと、事前予想ではハンセンの調子が悪く北島の優勝は間違いないとまで言われておきながら、いざ予選が始まると何となくいまいちで、予選でオリンピック新記録を出したダーレオーエンに負けるかもしれないとの暗雲が急速に立ち込めていた中で、決勝ではいきなり世界新記録を出して優勝するなんて、あまりにも劇的に出来すぎた展開だ。まさかワザとじゃないよねえ。
それからバドミントンではオグシオ(小椋久美子・潮田玲子)の初戦の逆転勝ちも良かったし、さらにはスエマエ(末綱聡子・前田美順)が世界ランキング1位でアテネ五輪金メダルの中国ペアに勝つ大金星を挙げた。すごーい!すごすぎるっ!また、女子ホッケーの初戦勝利も良かった。一時は見る気を無くしかけていたオリンピックだけど、またまた俄然元気が出てきたなあ

と手放しで喜びたいところだけど、一方で悲しい知らせもある。金メダルの可能性50%と思っていた野口みずきの故障だ。ここへ来て欠場も心配される。彼女みたいに常にギリギリまで練習を続けている選手は、一歩間違えると、すぐ故障に結びついてしまう。この直前になって故障だなんて余りにも悲しすぎる。それにしても、高橋尚子を強引に選んでおけば良かったのになあ。
それから、柔道は、アホの平岡に続き金丸も初戦で敗退してしまい、この先が思いやられる。アテネみたいにメダル量産とは行かないだろう。女子のレスリングも、どこまで無邪気に期待していいやら分からない。野球やソフトボールも、なんとなく不安。

とは言え、最初から金メダルまでは期待していない愛ちゃんやオグシオがとこまで活躍するかも楽しみだし、まだまだ辛抱強く応援しよう!

(2008.8.10)



〜おしまい〜





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