タイ政局混乱

〜 民主主義を否定してはいけない 〜



タイサマック首相の辞任を求めるデモ隊の大規模な抗議行動で社会が麻痺している

(石材店)「いくら国際情勢オタクの幹事長は言え、またまたマイナーな話題ですねえ」
(幹事長)「この話題には、さすがの僕もそんなに関心は無いんだけど、どうしても一言だけ言いたいので」


今回の抗議行動騒ぎは、サマック首相の辞任を求める反タクシン派の市民団体民主市民連合」が起こしたもので、単なるデモや集会ではなく、首相府や国営テレビ局を占拠するなど行動を一気にエスカレートさせ、さらには空港の封鎖などにまで発展した

それはそれでいいとして、僕が言っておきたいのは、この抗議行動は、言論の自由や政治的自由が抑圧された独裁国家において発生した市民抗議行動とか、あるいは先進諸国でよく見られる自由な抗議行動は全く違うってことだ。
この「民主市民連合」は、メディアグループ経営者や市民運動家などが率いる市民団体の体裁を取っているが、タクシン政権時代に利権を失った企業家ら旧来の支配層から資金提供を受けており、市民運動の名を騙ってはいるが、実は反タクシン勢力が復権を目指した権力闘争に過ぎない。ここを間違えてはいけないのだ。
なんだか日々の報道を見ていると、相変わらずおバカな日本のマスコミは、この点を十分に考えてないのではないかっていう懸念がある。市民運動なら何でも擁護するぞ、みたいなスタンスが感じられる。

そもそもはタクシン政権の誕生が発端だ。選挙での圧倒的な勝利を背景に、タクシン政権は、それまでの支配層から利権を奪い取り、貧しい農民達に広く利益をばら撒いた。これに対し、当然ながら旧来の支配層が不満を持ち、同じく利権を奪われた軍部をそそのかし、クーデターによってタクシン政権を倒した。この時に軍部と連動するように抗議行動を繰り広げていたのが「民主市民連合」だ。民主とか市民とか言いながら、単なる旧来の支配階層だ。自分たちの利権が奪われたから政権を転覆させただけだ。

このクーデターに対しては、国際的に大きな批判が巻き起こった。なぜならタクシン政権は独裁政権ではなく、選挙で民主的に選ばれた政権だったからだ。また、クーデターを起こした軍事政権は、その後の政権運営で失敗の繰り返しだった。そして、最終的に選挙を実施し、民政移管した。

ところが、その選挙においてもタクシン派が大勝利をおさめてしまった。なぜかしら?なぜだろう?それは、いくら旧来の支配層や軍部が嫌っても、貧しい農民を始めとする多くの国民がタクシン政権を強く支持していたからだ。
このため、せっかくかつての利権を取り戻せると思った旧来支配層は当てが外れ、再び政権の退陣を要求して抗議行動を繰り広げているのだ。

このように名前は民主とか市民とか言いながら、実際は単なる政治闘争であり、選挙結果を無視した無茶苦茶な行動である。市民連合を騙っているが、実は民主主義とは正反対の悪徳利権野郎どもなのだ。なので、多くの国民が冷たい視線を送っているのだけど、なんとなく日本のおバカなマスコミは誤解しているように見受けられる。そこが気になる。なので、ちょっと言っておきたかっただけ。

(2008.8.30)



〜おしまい〜





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