全国高校駅伝

〜 ケニア人留学生の是非 〜



全国高校駅伝が京都市で開催された。結果は、男子は世羅(広島)が3年ぶり6度目の優勝を飾り、女子は豊川(愛知)が2連覇を達成した。どちらも素晴らしい成績であり、あんまりケチはつけたくないんだけど、なんとなく釈然としないものがある。両校とも、エースがケニア人なのだ。

男子の世羅は、2区では9位だったのに、3区のケニア人留学生が圧倒的な速さで8人をごぼう抜きして一気にトップとなり、そのまま最後まで逃げ切った。実は次の4区の日本人選手も区間1位の走りだったのだが、優勝の立役者は、やはり明らかにケニア人留学生だ。他のランナーとはレベルに歴然とした違いがあった。

女子の豊川は、アンカーのケニア人留学生で一気に逆転する作戦だったのが、アンカーの前で既にトップになってしまい、最後のアンカーは軽くリードを守って優勝したから、ことさらケニア人留学生が優勝の立役者とは言えないんだけど、優勝を飾るゴールを切ったのがケニア人では、なんだか興ざめじゃない?

(石材店)「相変わらず黒人は嫌いですか?」
(幹事長)「これこれ、人聞きの悪い事を言うな。誤解を招くじゃない」


中国人にも良い人がいるように、黒人だって良い人はいる。僕の数少ない知人の中国人や黒人にも良い人はいる。今回は、そういう問題ではない。高校駅伝までケニア人留学生が決定的要因になってもいいのか、という問題だ。

(石材店)「それについては以前から議論がありますよね。メリットもあるし」
(幹事長)「はい。今さら言っても仕方ないことかもしれない」


メリットは確かに大きい。何も高校の売名行為のためだけではなく、圧倒的な力を持つケニア人留学生が存在することによって、日本の陸上競技界のレベルが高まるという効果がある。圧倒的な力を持つケニア人留学生を擁する高校に負けた場合、後を追って同じように留学生を導入する高校がある一方で、「なにくそ。留学生めが!」と留学生を目の敵にして、日本人だけで頑張る高校も多い。ケニア人留学生がいる学校のチームメイトは、それこそ大きな刺激を受けてレベルが高まる可能性があるし、ライバル校だって高い目標ができてレベルアップに繋がるだろう。なので、その効果は否定できない。

外国人導入の是非が議論になるのは、何も陸上だけの話ではない。典型的なのが大相撲だ。大相撲の番付上位力士は、外国人で溢れ返っている。あまりの急増振りに慌てた相撲協会が、外国人力士は1部屋に1人だけ、なんて強引な規則を作ったけど、それでもその1部屋1人の力士達に席巻されているのが現状だ。しかし、これが悪いことかというと、日本人力士が不甲斐ないという意味では嘆かわしいことだけど、だからと言って外国人を締め出した方が良いかというと、そんな事はない。もし外国人力士が居なかったら、今の大相撲は弱い日本人ばっかりの惨憺たる状況になってしまう。競技レベルを維持するためには外国人は必要だ。
プロ野球サッカーゴルフにしても、外国人選手の存在は大きく、全体のレベルアップにも日本人選手のレベルアップにも繋がっている。近年はプロ野球もサッカーもゴルフも、一方的な輸入だけでなく、逆に海外で活躍する選手も増えてきて、お互いに高め合うという理想的な状況に近づきつつある。

マラソンも、女子の場合は日本のレベルは世界トップ級であり、日本のレースに黒人が出たって悪くない。というか、日本人選手のライバルとしての黒人選手が居なければ、かえって面白くないわな。ヌデレバなんか、女子のレースには必要不可欠な存在になっている。しかし、男子マラソンになると、様相が変わる。もちろん、日本の男子マラソン界の最近の低迷振りを見ると、大きな刺激要素としてケニア人の導入は意義がある。弱い日本人だけでレースしたって、どれほどの意味があるのか、と問われれば空しくなる。
ただ、事実として、先日の福岡国際マラソンで先頭集団が全員黒人だったのを見て、なんとなく興ざめした日本人は多いんじゃないかなあ。オリンピックでも同様だが、それは実力からして仕方ないにしても、日本国内のレースで黒人ばっかりってのは、やっぱり寂しいよなあ。もちろん、それが今の日本の実力だから仕方ない。どうしようもない。参加選手を日本人限定にしてしまえば、それはそれで寂しいというかバカらしいというか、そなな2級レースは見る気がしないだろう。だから、プロである大人は仕方ない。悔しい思いをした日本人選手の奮起を期待するしかない。大学だって、もう大人だから仕方ない。というか、外国人を参加させなければレベルは上がらないだろう。
しかし、いくらなんでも高校までケニア人留学生の有無で勝負が決まるようでいいのかなあ

(石材店)「じゃあ、どうしろと?」
(幹事長)「思いつきません」


いいアイデアは思いつかない。でも、疑問を感じているのは僕だけじゃなくて、こういう意見は、最近、多くなっている。
かつて、1993年の大会でケニア人留学生を2人出場させた仙台育英高校が男女アベック優勝してから、留学生は1人に人数制限された
さらに、何年か前の大会ではケニア人留学生が4人並んで先頭集団を形成するなど、ここんとこずうっと1区はケニア人留学生ばかりがトップ争いを繰り広げ、それがそのまま勝敗を左右してしまい、さすがに「つまんない」という苦情が殺到し、2008年から最も長距離の1区には外国人留学生を起用できない規則になった。いきなり1区で勝負が決まってしまうと、後がつまんなくなるからだ。で、その結果、今度は2番目に距離が長い3区に留学生が集中している。距離は1区に次いで長いけど、1区じゃないから、まだマシってとこか。
このうえさらに、アンカーも黒人は駄目、なんてルールも有り得るけど、1区も駄目、アンカーも駄目、なんて言い出したらキリないよなあ。なんか良いアイデアないかなあ。

(2009.12.21)



〜おしまい〜





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