上海万博PRソング盗作事件

〜 にせもの大国ばんざーい! 〜



5月1日に開幕する中国の上海万博のPRソングが、日本のシンガー・ソングライターの岡本真夜の曲の盗作だった事が判明した。

(石材店)「なんでサブタイトルが『ばんざーい!』ってなってるんですか?」
(幹事長)「いや、もう、ここまでくると呆れちゃって」


中国が何から何まで偽物があふれた偽物大国だってのは、言わずと知れたことだ。インド人だって知ってる。ブランド物からパソコンソフトやCD、DVDまで、コピーできるものは何でもかんでも海賊版が溢れているし、自動車やオートバイから家電製品まで、あらゆる工業製品だって、日本や欧米のメーカーと外見だけそっくりな劣悪品が低価格で売られているし、似てるけどちょっと変なドラえもんやディズニーもいるし。
中国人には、偽物が悪いという概念は無い。安けりゃ偽物だろうが何だろうが、構わない。中国人には勝手に真似することが悪いという発想は無い。知的財産という概念が無い。他人のものは自分のもので、自分のものは絶対に自分のものだ。そもそも中国人にはモラルとか道徳心なんてものは全く無い。

(石材店)「まるで幹事長みたいですね」
(幹事長)「しっ。それは極秘事項だぞ」


この前の北京オリンピックの時だって、口パク少女が有名になったが、「なんで口パクがいけないんだ」って居直ってたなあ。北京オリンピックでは、口パクだけじゃなく、少数民族の民族衣装を着た子どもたちが、実は漢民族だったとか、巨人が歩いてくるような仕掛けの花火が、実はCGだったとか、偽物に枚挙がない。草が枯れた山だってペンキで緑化しちゃうような国だから、何でもありだ。
なので、今度のPRソングの盗作が明らかになった時も、何の違和感も無かった。たぶん、ほとんどの日本人が同じ反応だっただろう。腹立たしい気はするけど意外性は無く、「相変わらず、またか」ってな感じだっただろう。作曲したと主張する中国人作曲家が、中国の著名な作曲家だったこともあり、どうせ最後は「似ているかもしれないけど、自分のインスピレーションで作った」と主張して強引に幕引きになると思っていた。

ところが、ここで事態が意外な方向へ急展開。
上海万博事務局がすぐに盗作の疑いを認識し、岡本真夜の所属レコード会社に、使用許可を申し入れてきたのだ。ただし、言い方は「岡本さんの楽曲をカバーしたい」という言い方だ。既に盗作しているのに、今さらカバーしたいもクソもないが、盗作ではなく、あくまでも正当に「岡本真夜の曲をアレンジした」と言い張るつもりなんだろう。
この言い訳の厚かましさには呆れかえるが、それでも従来の中国人なら、絶対に盗作ではないと言い張るところなのに、一応、岡本真夜の曲を使ったと認めたっていう事だから、これは画期的なことだ。

一体、なぜ?中国人も少しは文化度が向上したのか?万博事務局を含む政府は、どう考えても品行が方正になったとは思えないが、市民の間でモラルというものが芽生えてきているようだ。
今回の盗作事件は、中国のマスコミでは一切、報道されていないが、まだマスコミが政府の統制下にある中国では当然のことだ。しかし、インターネット上で盗作の疑惑が大きな話題となり、中国人作曲家への批判が渦巻いたのだ。「国の恥だ。市中を引き回して死刑にしろ」なんて書き込みもある。

(石材店)「すぐ死刑、死刑っていうあたりも幹事長と同じですね」
(幹事長)「だから、それは内緒の話だってば」


当局の対応が早かったのは、上海万博の開幕が迫ってきており、このまま放っておいたのでは万博のイメージが悪くなる可能性があるからだろう。

一方、使用を打診された岡本真夜サイドでは、えらくあっさり使用を認めた。おまけに「世界中が注目するイベントである上海万博に協力させて頂ける機会を頂き、とても素敵なお話で光栄です」なんていう優等生のコメントを出している。
この即断は素晴らしい。勝手に盗作された事は気分が悪いだろうが、ここで「駄目だ」って言って問題をこじらせても、何のメリットも無い。中国側が賠償なんかするはずないからだ。しかし、ここで気持ちよく使用を許可すれば、中国政府が国をあげて宣伝するPRソングの作曲家ということで、一躍、人気があがる。こういうゴタゴタがあった後だから、なおさらイメージも良くなる。お金も少しは入るだろう。日本での人気も復活する可能性がある。て言うか、盗作された曲は、さっそくランキングが急上昇しているらしい。
ほんと、お見事です!

(2010.4.21)



〜おしまい〜





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