FIFAワールドカップ南アフリカ大会

〜 勝てば良いのよ 〜



2010年FIFAワールドカップ南アフリカ大会が終わった。いや、まだ終わってないけど、日本の戦いが終わった

(石材店)「日本が負けてしまったら、世間の関心も一気に冷え込みましたね」
(幹事長)「日本が事前の予想通りグループリーグで3連敗でもしてたら、あんまり落差は無かったかもしれないけど、
       ヘタにグループリーグを順調に勝ち進んで、めっちゃ盛り上がってしまってたから、
       負けちゃうと、応援の方も一気に力尽きたって感じだなあ」


前回のドイツ大会なんか、逆に、事前予想では、もうちょっと行けるかなと思ってたのに、日本があっさりとグループリーグで敗退しちゃったもんだから、全然盛り上がらなかったけど、個人的には、日本に対する期待が早々に無くなったから、純粋に強豪国の戦いをじっくりと観戦できて、非常に面白かった。でも今回は、NHKを始めとするマスコミは、必死で関心を持続させようとしているけど、もう無理だ。すっかり興味を失ってしまった。

て事で、まだ準決勝も終わってないけど、ここいらへんで今大会の総括、と言うか、日本代表の総括をしよう


期待薄だった前評判

そもそも、今回のワールドカップほど、事前の期待と盛り上がりが乏しかった事はない

日本が始めて出場した1998年フランス大会は、3連敗という当たり前の結果に終わったけど、初出場ということで、めっちゃ盛り上がったし、初出場だったから3連敗でも仕方ない、って感じで批判も少なかった。

次の2002年日韓大会は、地元開催と言うことでむちゃくちゃ盛り上がった僕も娘を連れて見に行ったぞ。そして、開催国優位の八百長くさいグループリーグ分けのおかげで2勝1分けで順調に決勝トーナメントに勝ち上がった。決勝トーナメントでは強豪国とは見なされてなかったトルコと当り、「こら勝てるんちゃうか」なんて思ってたら、今回のパラグアイ戦と同様に、甘い期待を打ち砕かれて敗退した。ま、あの試合は中田浩二のクリアミスが120%敗因であり、今回PKをはずした駒野に比べれば5万倍くらい憎い。

そして次の2006年ドイツ大会は、中田英寿を始め、キラ星のようなメンバーで固めた史上最強チームとの前評判で、かなり盛り上がった。ところが、結果は2敗1分けで、むなしくグループリーグ敗退となった。最終戦でブラジルに逆転負けしたのは仕方ないにしても、緒戦のオーストラリア戦で1−0とリードしながら、終了間際になってから、あれよあれよと3点取られて逆転負けしたショックは大きかった。今回、初戦カメルーン戦での勝利で一気に波に乗ったのと逆に、前回は初戦のあり得ない逆転負けを引きずって敗退してしまったと言えよう。そのため、かなりボロクソに批判されたけど、事前には盛り上がっていたのは間違いない。

ところが今回は、全くその逆だった。もともとオシム監督が倒れたためにピンチヒッターで監督に就任した岡田監督のスタンスが中途半端というか意味不明というか右往左往というか混迷していたこともあり、戦績はぱっとしなかった。優勝候補のオランダに去年0−3で惨敗したのは仕方ないにしても、今年4月からの直前強化試合4連戦において、やはり優勝候補のイングランドに負けたのは仕方ないにしても、宿敵韓国やワールドカップに出られないセルビア、コートジボアールにまで負けてまさかの4連敗を喫した。単に結果だけでなく、試合内容も悪かった。相手が2軍チームであっても、前方でボールを奪いに行く攻撃的な布陣が機能せず、おまけに6失点中オウンゴールが3点なんて、なんだかやる気が失せるような試合展開だった。本当かどうかは分からないけど、韓国に0―2で敗れた時は、岡田監督は日本サッカー協会の犬飼会長に進退について尋ねたりもしていた。こんなもんだから、大会前には国民の98%は何の期待も抱かなくなってしまった。

(石材店)「幹事長も、そうでしたか?」
(幹事長)「いや、僕は、こういう時でも、何の根拠も無く、めっちゃ期待してしまうのよ。
       グループリーグ突破は当然ながら、対戦相手に恵まれればベスト8もいける、ってな。もうワクワク」
(石材店)「相変わらずの根拠の無い楽観主義には脱帽ですな」
(幹事長)「株価も何の根拠も無く上がってくれればええんやけどなあ」


日本が入ったグループEは、客観的に見れば、楽観はできないが、絶望的に厳しい訳でもなく、まあ平均的なレベルだった。ブラジルとポルトガルと同じ組になった北朝鮮なんて、本当に気の毒だ。E組では、オランダは図抜けているにしても、後の3チームは、世界ランキングは置いといて、まあ、どっこいどっこい、と言ったところだ。だから油断は禁物だが、絶望的ではない。カメルーンにしてもデンマークにしても、10回やったら3〜4回は勝てるかも、っていうレベルだ。なので、どう転ぶか、もう運次第だ。前回の初戦のオーストラリア戦の逆転負けみたいに、初戦で嫌な負け方をすると立ち直れなくなるが、たまたま良い流れに乗れば勝ち上がれる。しかし、直前の惨憺たる強化試合の結果のせいで、能天気に楽観視していたのは、僕を含めて全国民の0.0001%くらいだっただろう。


カメルーン戦

しかし、初戦のカメルーン戦で見事な勝利を飾ってしまったため、日本中の冷めた空気が一気に沸騰した。見事な、というのは、試合内容ではない。試合内容については、国内外を問わず、大半の評論家が批判しているように、レベルの低い試合だった。レベルが低いというより、つまらない、と言うか、サッカーの面白味や醍醐味を否定する悪質な試合だった。そんな中で、唯一の得点シーンだけは見事の一言だ。松井のパスも素晴らしかったし、それを受けた本田の冷静なシュートも見事だった。いくら試合全体がつまらないひどい内容だったとしても、勝てば良いのよ。

(幹事長)「どんな素晴らしい試合をしたところで、負ければ何の意味も無い。
       何をやっても、勝てばいいのよ、勝てば」
(石材店)「幹事長の人生観が如実に現れてますねえ」


そもそも、世界ランキングでは日本の45位に対してカメルーンは19位と、だいぶ上位だけど、この世界ランキングって全くあてにならない意味不明のものだ。どう考えても日本より韓国が上だと思うし、ロシアが11位とかエジプトが12位だなんて、ほんとか!?それに、カメルーンは日本以上にコンディションというかチーム状態がボロボロだった。なので、そもそも勝っても不思議ではない相手だった。しかし、それでも、直前の強化試合の惨敗続きからすれば、勝利を予想していたのは、僕を含めて全国民の0.0001%くらいだっただろう。
勝った理由は、はっきりしている。岡田監督が、惨敗続きだった戦法をガラリと変えたからだ。前方でボールを奪いに行く攻撃的な布陣が、どうあがいても通用しないと気付いたからだ。ま、気付くのは異常に遅すぎたんだけど、本番に間に合って良かったわい。そして、ボールを奪いに行く位置を後方に下げた守備重視の戦術を徹底させたのだ。この守備体制は非常に良く機能し、点を取られる危険性は大きく低下した。そのせいで、つまらない試合だ、とか、世界中の評論家にボロボロに批判された。しかし、第三者として見てる人はつまんないかもしれないが、当事者にとっては勝つか負けるかが唯一の基準であり、勝てばいいのよ
もちろん、守備重視だけでは勝てるわけが無い。引き分ける事はできても、点を取らなければ勝つことはできない。あの試合は、本当に得点の臭いがしなかった。なぜなら、日本選手にはボールをつなごうという意志が、まるで感じられなかった。ただひたすらにクリアするだけだ。つなぎたいのにつなげない、って言うのじゃなくて、つなごうとすればつなげる状況でも、ひたすらバカみたいにクリアを繰り返していた。第三者が見たら、本当に面白くない試合だった。その中で、極めて少ないチャンスをものにした松井と本田が光る。あの先取点があったからこそ、その後、ますます余裕を持って守備に専念して逃げ切ることができた。逆にカメルーンは焦って攻めがますます雑になり、本来の力を全然発揮できないまま不本意に敗退した。
なーんて言ったって、結局は、たまたま点を入れたのが日本で、たまたまカメルーンは点を取れなかった、という運と言うか偶然の結果ではある。たまたま、うまいこと転がっただけだ。

(石材店)「あれ?楽観主義の割には達観してますねえ」
(幹事長)「だって、ボールはほとんど支配されてたもんね。どう見ても、見事な勝利ではないわな」



オランダ戦

続くオランダ戦でも、僕はあわよくば勝てるかも、なんて期待していた。ただし、カメルーンに勝利したことで、無謀にもオランダにも勝てるかも、なんて思ってた日本人は大幅に増え、僕を含めて全国民の3%くらいにまで急増していた。とは言え、僕ほど楽観的でない岡田監督としては、この試合に臨むスタンスとして、いくつかの選択肢があったはずだ。すなわち、
 @玉砕覚悟で真っ向から勝負を挑む
 A守備的な布陣を続け、あわよくば引き分け、敗れても最少失点で乗り切る
 B試合を捨てて、控え選手を起用して主力を休ませ、デンマークとの最終戦に備える

などだ。

前半の試合展開はAで、カメルーン戦と同じように守備に徹した日本に対してオランダが攻めあぐね、膠着したというか、相変わらずつまんないというか質の悪い試合展開だった。カメルーン戦以上に日本はボールを支配されていた。と言うか、本当にほとんどの時間、オランダがボールを持っていた。それでも点を取らせないっていうのは、第三者が見てれば腹立つほどつまんないだろうけど、見事だった。しかし、さすがはオランダ。最後まで逃げ切れる相手ではない。後半に入って、川島を弾き飛ばして先制点を取ってしまった。ここがカメルーンと違うところだ。で、岡田監督は、なぜかこれで開き直り、一気に@の攻撃モードに移した。その結果、点は取れなかったにしても、後半は日本の攻撃も見られ、なかなか面白い展開になった。試合のレベルとしても、カメルーン戦に比べれば、だいぶ良かったのではないか。惜しい場面も何度かあった。そういうところで点が入るかどうかは、根本的なレベルの差とも言えるが、偶然の支配するところでもある。

とは言え、結局は、負けは負けだ。いくら善戦しようが、負けたら何の意味もない。と言いたいところだが、たった1点しか取られなかったというところに大きな意味があった。なぜなら最終戦の相手のデンマークとは勝ち点3で並んだものの、オランダに2点取られたデンマークに対し、得失点差で1点優位に立ったからだ。このため、デンマーク戦では引き分けでもOKという展開になった。これは非常に大きい。なぜなら、オランダ戦でも1点しか取られなかったほど日本の守備が機能しているから、日本が守備に徹すればデンマークはなかなか点を取れない。点を取れなければ勝ちあがれないデンマークとすれば、これは厳しい状況だ

ところで、余談になるけど、この試合、終盤になってからとは言え、岡田監督は初めて中村俊輔を投入したほんの数ヶ月前までは、日本代表の中心は誰もが中村俊輔だと思っていた。いくら最近、調子が悪くなっていたとは言え、ここ数年の実績からして、その地位は揺ぎないものと信じていた。岡田監督も、そう信じていた。しかし、最近、中村のコンディションが耐えられないくらい悪くなっていた。日本のパスサッカーが機能しなくなり、直前の強化試合で惨敗が続いたのは、中村のコンディションの悪化と表裏一体だ。なので、岡田監督が本番になって守備重視に戦法を変えたってことは、すなわち中村をはずしたってことだ。なので、オランダ戦の終盤で中村を投入したって事は、何の意味があったのか。セットプレーを考えての事か。あるいは、なんとか現状を打破するための刺激か。しかし、故障からか、スピードが無く、守れず、つっかける事もできない、という状態では、何の貢献もできなかった。しかし、これは中村を実際に投入しないでも始めから分かりきったことだ。なので、岡田監督が中村を投入した意味は、温情だったと思う。甲子園で13対0くらいで負けているチームが、9回表2アウトから、ずっと補欠だった3年生をピンチヒッターで起用するようなものだ。と思うのだが、どうだろう。


デンマーク戦

グループリーグの最後は、デンマーク戦だ。決勝トーナメントへの進出がかかった重要な試合だ。カメルーン戦に勝ち、オランダ戦でも善戦したことで、日本国民の期待はますます高まり、勝利を期待した日本人は、僕を含めて全国民の99.7%にまで激増した。そもそもデンマークって、北欧の小国だ。現在の世界ランキングは36位で日本より上だが、これはあんまり意味はない。勝っても不思議じゃない、なんて空気すらあった。なんでそんな国がワールドカップに出てくるんだ、なんて思わなくもないが、しかし、実は、かつて欧州王者になったこともある国なのだ。優勝候補のオランダだって、日本に比べれば小さな国だ。ヨーロッパは、小さな国でもサッカーは強い。ヨーロッパの大きな国は、ことごとく優勝候補だが、小さな国だって、アジアに比べれば圧倒的に強い。ヨーロッパの小さな国の何百倍もの人口を抱える大国である中国やインドは、とっても弱い。なので、人口や面積とサッカーの強さは、あんまり関係ないのだ。

ともかく、オランダに1点しか取られなかった日本はデンマークに対して大きな優位に立って直接対戦を迎える事になった。なんちゅうても、引き分けでもいいわけだ。つまり、デンマークとしては、絶対に点を取らなければならないから、攻撃的に進めてくるわけだ。守備的な体制で迎え撃つ日本としては好都合だ。
そして、引き分けでもいいってのに、なんと、この試合、3−1で勝っちゃった。理由はただ一つ。デンマークのゴールキーパーが下手くそだった事だ。試合を決定したのは、日本の先取点だ。本田のフリーキックによる直接ゴールだ。あのフリーキックは、日本のマスコミは絶賛し、それに騙された多くの日本国民も絶賛しているが、それは違う。あれは、ただ、デンマークのゴールキーパーが信じられないほど下手だっただけだ。それが証拠にデンマークのマスコミでは、彼はボロクソに叩きまくられている。当然だ。
2点目の遠藤のフリーキックは、あれは見事だ。あれはゴールキーパーが下手だったからではなく、どんなキーパーでも、あれは絶対に防げない。多くの日本国民は、しかし、むしろ本田のフリーキックの方を評価している。もちろん、先取点を取ったという意味は、非常に大きく、決定的であり、先取点を取ったからこそ2点目、3点目もあったわけだから、本田の貢献度は遠藤より大きい。しかし、純粋にフリーキックの素晴らしさから言えば遠藤のフリーキックの方が見事だ。あれはすごい。凄すぎる。ところで、不思議なのは、あの位置からのフリーキックであれば、日本のメンバーから言えば、当然、遠藤が蹴ると予想できる。僕も、遠藤が蹴るものと確信していた。だって、これまでも同じような位置からのフリーキックは、いつも遠藤が蹴り、そして、いつも決めていたではないか。忘れたのか、みんな?本田が蹴るフリをしてたのは、単にカモフラージュだ。それなのに、テレビのアナウンサーや解説者は、本当に本田が蹴るものと思っていた。あいつら、アホなのか?デンマークの選手は、日本に関する知識も乏しいうえに、本田の先制点が強烈だったせいもあり、本田が蹴るものと騙されていたようだが、日本人なら騙されるなよ、と言いたい。ま、しかし、遠藤が蹴ると分かっていても、あれは取れないだろう。
3点目は、100%本田のおかげだ。わざわざ岡崎に得点を譲った意図は分からないが、完全に本田の個人技による得点だ。素晴らしい。素晴らし過ぎる。

てことで、結果的には日本の完勝だった。ラッキーというか、相手ゴールキーパーの下手くそさにより先取点を取った日本が、うまいこと逃げ切ったのだが、デンマークの1点は、どうでもいいようなPKによる1点だけだったから、どっちにしてもデンマークに勝ち目は薄かったな。


パラグアイ戦

大方の予想を覆す善戦によりグループリーグを突破した日本だが、さらに進むには、どこと当たるかが大問題だ。E組2位で勝ち上がった日本が対戦するのはF組の1位だ。ここは当然ながらイタリアが出てくる予定だった。なので、せっかくグループリーグを勝ち上がっても、決勝トーナメントの最初の試合で敗退する可能性が濃厚だった。ところが、あろうことか、イタリアがグループリーグで惨敗し、F組の最下位で敗退してしまったのだ。で、F組1位はパラグアイだ。
今大会の決勝トーナメント1回戦で、弱いとこ同士が当たったのは、韓国対ウルグアイ、アメリカ対ガーナ、そして日本対パラグアイの3試合だ。それ以外の5試合は、それぞれ優勝候補のブラジル、アルゼンチン、スペイン、オランダ、ドイツが出てきて、みんな順調に勝利している。そういう意味で、予想外のパラグアイと対戦した日本は、あくまでもラッキーが続いていた
しかし、現実は、そうそう甘くなく、韓国もアメリカも、そして日本も、決して強豪とは言えない相手に負けてしまった

パラグアイは世界ランキング31位で、45位の日本より上だが、この程度の差は、何の意味もない。デンマークやカメルーンも含めて、似たようなもんだ。しかし、いくらイタリアが絶不調だったとはいえ、F組を1位で抜けてきた実力は侮れない。ていうか、あのブラジルとアルゼンチンに挟まれてしのいできた国だ。日本ごときが侮れるはずがない。これは韓国が負けたウルグアイも同じだ。

ただ、パラグアイは日本と同様、攻撃的なチームではない。ブラジルやアルゼンチンと言った超攻撃的な国に挟まれてしのいできた国なので、当たり前と言えば当たり前だ。守備は非常に堅実だ。だが、日本と同じように攻撃は決定力に欠ける。そのため、両チーム共に堅守速攻型のスタイルとなり、お互いに慎重な試合運びを選択せざるを得なかった。こうなると、必然的に、超つまんない試合となる。
海外のマスコミの評価では、「どうひいき目に見ても凡戦以外の何物でもない。プレー面で見ごたえのない、実に退屈なゲーム」というものだ。当事者である本田自身が「日本人かパラグアイ人でなければ見ない試合」と言ってるが、実に的を得ている。相手はオランダのような強豪国でもないのに、日本はあっさりとボールを奪われ続けていた。あり得ないくらい簡単にボールを奪われ、なかなか奪い返す事ができない。それなのに、パラグアイも、せっかくボールを保持しているのに、全く得点の臭いがしない。
パラグアイの試合運びには疑問を感じた、というか、やっぱり大したチームではなかったのかもしれない。一方、日本は手が疲れていたんじゃないか?本田の動きも松井の動きも、グループリーグの時に比べれば格段に悪かった。中沢や闘莉王や川島は頑張っていたが、攻撃陣の動きが悪かった。あれはグループリーグで走り回った疲れが抜けきってなかったのだと思う。
日本の動きは鈍かったが、パラグアイの試合運びも悪かったので、延長戦までやってもスコアレスのまま。結局、PK戦となった。PK戦は、あくまでもクジみたいなもんだから、唯一失敗した駒野を責める訳にはいかない。運が悪かったと諦めるしかない
て言うか、確かにパラグアイも決定力が無くて大したチームではなかったけど、120分の間、圧倒的にゲームを支配していたのはパラグアイだ。なので、まあ、仕方ないかな、と思う。


総合評価

さてさて、決勝トーナメントは1回戦で敗退したとは言え、全く期待されてなかった大会前の評価に比べ、マスコミや国民の評価は180度ガラリと変わった。カメルーン戦に勝った辺りから、日本中が一気に高熱に冒されたかのように熱狂した。大会前から何の根拠も無く日本の善戦を確信していた僕としては、誠に喜ばしい展開だった。

一方で、今大会の日本の戦いぶりを批判する声も評論家から多く出ている。代表的な声は、次のようなものだ。

「日本らしいサッカーを展開した」などと評価する声が多いが、守備重視というのは、攻撃型サッカーで勝てない日本が、あくまでも競合相手に勝ち残るための苦し紛れの戦術だった。その戦術が機能して、ラッキーにもカメルーンを破り、オランダにも善戦して1点差でおさえ、有利な条件でデンマーク戦に臨んで勝利した、というのは、単にラッキーな結果に過ぎない。しかし、こうしたサッカーは、本来あるべき姿ではない。

これは、確かに、その通りだ。しかし、じゃあ、どうしろと言うのだ?口先で、単に、もっとうまくなれ、もっと強くなれ、なんて言うのは簡単だけど、一体ぜんたい、どうすりゃいいのよ?世界中の国が同じように強くなろうともがいている中で、そう簡単に強くはなれないよ。本来のあるべきサッカーなんて、きれい事を言ったって、何十年かけても、なかなか強くはなれないよ。

きれいなサッカーをして負けるのと、汚いサッカーをして勝つのと、どちらがいいのか、と問われれば、こういう好き勝手言ってる評論家だって、勝つのを選ばざるを得ないだろう。

そもそも、どこの国でも評論家は好き勝手言うものだ。日本なんか、予想外の健闘をしたから良いものの、優勝候補の一角と言われながら、まさかのグループリーグ最下位で敗退を喫したフランスやイタリアなんて、もう選手が帰国できそうにないくらいの叩かれようだ。チームが崩壊したフランスなんて、大統領まで乗り出してきて無茶苦茶になりそうだ。優勝候補でなくても、日本に負けたカメルーンやデンマークだって、自国では批判の嵐にさらされている。開催国でありながら史上初めてグループリーグで敗退した南アフリカだって同じだ。ナイジェリアなんか、大統領が今後2年間の対外試合を禁止している。
グループリーグを突破しても、日本と同じように1回戦で敗退したイングランドやポルトガルもボロクソに叩かれている。ま、彼らは日本とは最初から目指すものが違っていたから、せめてベスト4には行かないとタダでは済まされないわな。決勝トーナメントへ行っただけで、そこそこ評価されて暖かく帰国を許されるのは、日本と韓国くらいだわな
個々の選手にしたって、ポルトガルのロナウド、アルゼンチンのメッシ、ブラジルのカカ、イングランドのルーニー、カメルーンのエトー、そしてフランスとイタリアの全ての選手など、もう暗い夜道は歩けないだろう。

それに比べれば、決勝トーナメント1回戦で敗退したとは言え、日本選手の評価は高まったと言えよう。喜ばしい限りだ。
ところで、日本の善戦により、一気に愛国心がヒートアップした日本国民だが、こういう状況について、中国の手先である売国奴の社民党なんかは、どう見ているんだろう。すごく興味があるぞ。卒業式の君が代斉唱を拒否して処分されている日教組のアホ教師どもなんかは、試合前の国歌斉唱の時に喜々として君が代を歌う若者を見て、どう思っているのだろう。苦々しく思いつつも、面と向かって批判できずに苛立っているのだろうか。


最優秀選手

最後に、大会を通じての最優秀選手を発表しようではないか。

(石材店)「まだ準決勝も終わってないのに?」
(幹事長)「もう決まりやがな」


今大会の最優秀選手は、文句なしにウルグアイスアレス。彼は決勝トーナメント2回戦でのガーナ戦で、相手のシュートを、まるでキーパーのように両手ではじき返したのだ。スアレスが手で止めてなければ明らかにゴールになったシュートだった。こう言う場合は、あまりにも悪質なので、一発退場だ。しかも、相手にPKが与えられる。当たり前だ。しかし、仮にPKが入っても、それで元々だ。もし仮に、相手がPKを失敗したりしたら、大儲けだ。そして、なんと、この試合では、ガーナがPKを失敗してしまったのだ。
この事件は、ウルグアイが攻め込まれた延長後半ロスタイムに起こったから、PKが決まっていれば、そのままガーナの勝ち。PKが失敗すれば、PK戦に突入。て事で、スアレスが手で止めてなければウルグアイは即、敗退していたはずだから、まさに敗戦を崖っぷちから救った偉大な反則と言えよう。一発退場と言ったって、どうせ、もう試合は終了するのだから、何の関係もない。まさか、一瞬でそこまで考えた上での行動とも思えないが、結果的には失うものは何もなく、一瞬の機転でチームを救った奇跡の神の手と言えよう。ガーナがPKに失敗した瞬間、スアレスはガッツポーズを繰り返し、喜びを爆発させた。
逆に、あまりにもショッキングなPK失敗を引きずったガーナは、その後のPK戦で失敗を重ねて敗退してしまった。ガーナ選手としては、もうあり得ない敗退だ。逆にスアレスは、神の手ブロックにより、チームを敗退の崖っぷちから勝利へと導いたのだ。

(幹事長)「この戦法は、今後、世界の主流になるんじゃないか?」
(石材店)「一発退場ですからね。あり得ませんね」


確かに、このレッドカードのせいで、スアレスは続くオランダ戦に出られなくなった。しかーし!次の試合の事なんて関係ない。だって、スアレスが手で防がなければ、その時点でチームは敗退しているのだ。チーム随一のストライカーであるスアレスの欠場は痛いにしても、彼がいなくても勝つ可能性はある。比較にならないぞ。

てことで、ここでも僕の評価基準は同じだ。きれいなサッカーをして負けるのと、汚いサッカーをして勝つのと、どちらがいいのか、と言うことだ。明らかに、汚くても勝った方がいいに決まってるのだ。

(石材店)「ところで、野球賭博問題で、大相撲名古屋場所はNHKが中継しない事になりましたね」
(幹事長)「そこまで、せんでも、ええのにな。だいたい、こういう時に目を吊り上げてNHKにヒステリックに
       電話するおばはんって、普段から大相撲なんかに興味の無い人やろ?
       そんな人の意見を真に受ける必要はないのにな。
       ま、名古屋場所自体の中止にはならなくて良かったけどな」


(2010.7.6)



〜おしまい〜





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