ウィキリークスによる外交機密暴露

〜 国益を守ろう 〜



内部告発文書をインターネット上で公開しているウェブサイトのウィキリークスが「秘密」指定の公電約1万5000通を含むアメリカの外交公電約25万通を公開した。各国のアメリカ大使館からアメリカ本国の国務省に報告されたもので、他国の首脳らとの生々しいやり取りなんかが含まれている。

(石材店)「面白いと言えば面白いけど、あんなん暴露して、ええんですかねえ」
(幹事長)「確かに野次馬的には面白いけど、外交上の危機に発展しかねないぞ」


確かに、なかなか面白い。主なものを列挙すると、
・北朝鮮が開発した中距離弾道ミサイル「ムスダン」をイランが19基入手した。射程距離は3000km以上で、西欧各国を射程圏内に収めることができる。

・中国共産党政治局が、グーグルのコンピューターシステムに侵入するよう指示していた。

・サウジアラビア国王やバーレーン国王が、核開発を進めるイランについて「今のうちに蛇の頭を切り落とすべきだ」として、アメリカ政府に対し、核開発計画をやめさせるためイランを攻撃するよう繰り返し求めた
さらに、各国のアメリカ大使館が、その国の首脳らを酷評したものも面白い。
・北朝鮮:金正日総書記は肉のたるんだ老人。脳卒中の結果、精神的にも肉体的にもトラウマを負った。

・ロシア:プーチン首相がバットマンで、メドベージェフ大統領は相棒ロビンの役割を演じている。

・イタリア:ベルルスコーニ首相は無能で空っぽ。現代欧州のリーダーとしての影響力なし。連日のパーティー通いで休息も取っていない。

・イラン:アフマディネジャド大統領は、まるでヒトラーだ。

・リビア:カダフィ大佐は官能的なウクライナ人看護師(38歳のブロンド女性)とロマンチックな関係にある。彼女の同行なしでは旅行もできない。

・アフガニスタン:カルザイ大統領は極度に弱い男。事実に耳を傾けようとせず、とっぴな話に動揺する。すぐに陰謀説を信じてしまう。

・ドイツ:メルケル首相はリスクを避け、創造性に乏しい。

・フランス:サルコジ大統領は怒りっぽい権威主義者。

・イスラエル:ネタニヤフ首相は約束を決して守らない。
こういった人物評は野次馬的には面白いが、まあ誰が考えても納得できるというか、驚くような内容は無い。むしろ、こんな当たり前の人物評を機密文書として本国に送っている外交官って、ほんとに無能。普通では分からないような情報を連絡するのが仕事じゃないか?

だが、しかし、軍事機密なんかは、ここまで公開されちゃうとマズいような気がする。外交上の支障が出るのは必至で、ホワイトハウスの大統領報道官は「盗まれた秘密の文書を公開することでウィキリークスは人命を危うくした」なんて非難しているけど、人命が危うくなったかどうかより、外交に支障が出る方が影響としては大きいだろう。

政府が国民に対して裏で悪い事をしているとすれば、それは暴露されるべきであり、内部告発は奨励される。日本政府というか、政治家や役人どもは、いっぱい悪い事してるだろうから、そういうのは暴露されるべきだろう。しかし、外交というのは交渉であり、交渉の過程で相手には知られたら不利になる事があるのだから、それは秘密にしておかなければならないだろう。国民に知らせる、と言えば格好いいけど、それは、そのまま相手方にも知られてしまうのだから、良くない。悪の帝国中国と熾烈な交渉をしているときに、手の内を暴露されてしまったら、負けてしまうのは当然だ。何でもかんでも公表すれば良いってもんじゃない

これまでもウィキリークスは、アフガニスタン戦争とイラク戦争に関する公電多数をネット上で公表しており、アメリカの連邦捜査局FBIと米軍は既に犯人と目星を付けた陸軍上等兵を拘束して捜査を続けており、今回の暴露も同じ犯人の仕業かも知れない。一義的には、内部情報を暴露した関係者が悪いだろう。こういうアホは徹底的に取り締まる必要がある。
しかし、それと同程度にウィキリークスも悪いと言えるだろう。なぜなら、一部のアホが暴露した秘密情報を、影響力を持って世の中に広く積極的に広めたからだ。報道の自由とか言うような次元の問題ではなく、こういうのは、犯罪行為として厳しく取り締まらなければならない

ところで、イタリアのベルルスコーニ首相と言えば、無能で有名だが、今回の暴露情報でも無能だとしてこき下ろされているのに対し、堂々として態度で「下級役人の言ったことなど見るに値しない」と述べている。このおっさん、首相としては無能だけど、腹が据わってるなあ。

(2010.12.2)



〜おしまい〜





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