LADY GAGA

〜 君は聴いたか!? 〜



(幹事長)「レディ・ガガって、ええなあ」
(石材店)「何を今頃になって言ってるんですか?えらく遅れてますねえ」
(幹事長)「いやあ食わず嫌いだったもので」


こないだ娘と街を歩いてて、雑貨屋さんに立ち寄った時にかかっていた曲が良かったから、「この曲、ええな」って言ったら、娘が「レディ・ガガのポーカー・フェイスだよ。あたいも好きだよ」って教えてくれて、ちょっと驚いたって訳だ。

レディ・ガガと言えば、奇抜なファッションで世間をあっと言わせる色物歌手ってイメージだったから、ちょっと聞く気がしなかったのだ。歌手になる前はストリッパーやってたくらいだから、裸をさらす事には平気なので、超過激な格好で有名だ。今年6月に来日したときも、黒い下着っぽいのを着て記者会見してたし。

(石材店)「おや?そういうのは好きなんじゃ?」
(幹事長)「最初にやったマドンナは偉大だけど、二番煎じじゃなあ」


それにマドンナは美形だけど、レディ・ガガって普通だし。あんまり背も高くないから、アホみたいな厚底ブーツ履いているし。単に露出狂なだけじゃなく、過激さがどんどんエスカレートしていき、生肉ドレスなんてものを着たこともあった。いくら話題作りと言っても、なんかお笑い芸人の境地だぞ。その時のコメントは、
生肉ドレスは臭かったのよ。あれは素晴らしいドレスだった。ああいうセレブが集まる大きなイベントでは、人と話すのが苦手なの。でも、あのドレスは臭かったから、誰とも話さなくてよかった」
てものだ。人をバカにしてるよなあ。
お笑い芸人と言えば、今年、来日したときの記者会見でも、サングラスを外すとまぶたに目が書かれてて、「なにかおかしい?」なんて報道陣を笑わせた後は、記者会見中、一度も目を開けなかった。この芸は、日本じゃ昔から使い古された芸だけど、こういう超売れっ子の歌手がやったってのは、まあ、すごい。しかも記者会見中、一度も目を開けなかったってのは、確かに、すごい。でも、それって、芸人根性としてはすごいけど、さらにますます歌を聴く気にはならなかった。

それが、たまたま街で聴いた曲が良かったから、慌ててアルバムを聴いてみたら、なんと、これが良いのよ。すごく。
まず聴いたのは2008年に出たデビュー・アルバムザ・フェイムで、デビュー・アルバムなのにいきなり4ヵ国で1位を獲得してるし、シングルカットされたジャスト・ダンスポーカー・フェイスも世界中のチャートで1位を獲得している。2009年に出た2枚目のアルバムザ・モンスターもすごくて、シングルカットのバッド・ロマンスは、やはり世界中のチャートで1位だ。
アルバムに入っている解説書なんか見てると、小さな頃からピアノが得意で、なんと11歳でジュリアード学院の音楽部門に合格しているから、子どもの時から音楽の才能はあったらしい。なぜか入学は辞退して、マンハッタンのカトリック系のお嬢様学校に通ったらしいけど、その後、家を飛び出てストリッパーなんかやりながら音楽修行したってことだから、ううむ、なかなか根性あるかも。ただ、根性や過激さだけで売れる甘い世界じゃなくて、デビュー・アルバムでいきなり1位ってのは、やっぱり実力だわな。ていうか、実際、すごく良いのよなあ。曲は全部、自分で作っているから才能もすごいし、シンセサイザーも演奏してるらしいけど、なんちゅうても歌がうまいよなあ。

ザ・フェイムの曲は全部良いのだけど(カスいのも、ちょっとあるけど)、中でも良かったのがブラウン・アイズだ。曲も良いし、歌詞が良い。そして、なんと言っても歌が良すぎる。旨すぎる。超感動ものだ。

(石材店)「あんまり聴かない曲ですねえ。目の付け所が、ちょっとマイナーですねえ」

ザ・フェイムの曲は、他は全部、アップテンポな曲ばっかりで、ブラウン・アイズだけがスローなバラードだけど、とにかく素晴らしい曲であり、ぶったまげる歌唱力だ。過激なビデオクリップのレディ・ガガのイメージからは遠いけど、素晴らしい名曲だ。はっきり言ってジョン・レノンのマザーやデビッド・ボウイのヒーローズに匹敵するんじゃないか?

(石材店)「そうですか・・・」

初めて聴いて頭をガツンと殴られたような衝撃を感じる曲って、そう滅多にあるもんじゃなくて、キャロルのルイジアンナとか中島みゆきの蕎麦屋とかSuperflyとか、数えるくらいしかないけど、レディ・ガガのブラウン・アイズもそういう曲の1つだ。

(石材店)「もう何言ってんだか良く分かりませんけど」

過激なファッションや奇抜な行動で話題先行だったけど、こいつは本物だ天才なのかキチガイなのか、よく分からないけど、ただ単に売れるためにキチガイを演じているのでないことは確かだろう。キチガイを演じているキチガイかもしれないし、天才を有したキチガイかもしれないし、芸人根性を持った天才かもしれないし、とにかく好きになっちゃった。こんな素晴らしい歌手を食わず嫌いしていた自分を反省せねばならない。イメージだけで先入観を持ってはいけない。
それにしても、こんなんが出てくるって、アメリカはすごいなあ。アメリカの若い女性歌手と言えば、一足先にデビューしたテイラー・スウィフトも良い。とっても良い。こっちはガガと違って超美形というか、もう人間離れしたSF的な非現実的な美形に釣られて聴いたんだけど、歌もなかなかよろしい。こいつも、小さい頃から歌手を目指し、12歳の時からカントリーミュージックの本場ナッシュビルに移り住んで苦労したらしいから、ほんと、みんな根性あるわ。

(2011.9.20)



〜おしまい〜





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