アルメニア人虐殺問題

〜 どうしようもない政治家たち 〜



第1次世界大戦中にオスマントルコ領内で起きたとされるアルメニア人大量虐殺について、公の場で否定することを禁じる法案がフランスの国会で可決された。これに対し、トルコ側は「無責任な決定を強く非難する」と強く反発し、フランスとの政治・軍事分野での交流中止を発表するなど、両国関係が悪化しかねない状況となっている。

(石材店)「またまた超マイナーな国際紛争の話題ですねえ。ほんまに好きですねえ」
(幹事長)「特に、日本と直接関係の無い国際紛争の話題は、血湧き肉躍るよなあ」


アルメニア人虐殺問題とは、第1次大戦中の1915年ごろ、当時のオスマン・トルコが領内のアルメニア人に対し、治安を脅かしているとして強制移住させたんだけど、その際に多数のアルメニア人が虐殺されたとされる問題だ。アルメニアは最大150万人が犠牲になったと主張している。トルコ政府も、多くの死者が出たこと自体は認めているが、それは大量虐殺じゃなくて、「オスマン帝国末期の混乱の中、アルメニアのキリスト教徒がトルコのイスラム教徒と衝突して死亡したものだ」と反論しており、長年、対立が続いている。1世紀にもわたる対立を経て、トルコとアルメニアは2009年10月、国交樹立などをうたった和解合意に署名したんだけど、その後、合意の批准手続きは遅れている。

今回、フランスの国会で可決された法案では、このアルメニア人大量虐殺を公の場で否定した者に最高で禁錮1年と罰金4万5千ユーロを科すというものだ。
フランスには、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の否定を犯罪とする法律が既に制定されていて、同じような法律としては2例目だが、これとは事情が全く異なる。まず、ナチスによるユダヤ人虐殺についてはドイツ自身が大々的に反省しているのに対し、トルコはアルメニア人虐殺は無かったと主張している。またナチスによる虐殺はユダヤ人だけが対象ではなく、ドイツに占領されたフランスも被害を被っているのに対し、アルメニアの事なんてフランスは全く無関係だ。
例えば、何の関係もないオーストラリアで、第2次大戦中の日本軍による南京大虐殺を否定したら罰せられる、なんて法律ができたようなもんだ。

(石材店)「オーストラリアだったら、あり得ますねえ」
(幹事長)「ほんと。適当に例示したけど、実現する可能性ありだな」


トルコ政府と違って、日本政府は南京大虐殺の存在自体は否定していない。死んだ中国人の人数が、中国が主張する数千万人ではなくて、せいぜい数十万人だと言っているだけだ。ま、いくら中国人はアリのように掃いて捨てるほどいると言っても、数千万人も虐殺するのは不可能だと思うが、て言うか、そんなに南京の人口は多くなかったと思うが。
ただし、戦争の過程では、大量の市民が虐殺されるのは特別な事ではない日本への大空襲により多数の人が焼死したけど、それが大虐殺として問題にならないのは、日本が戦争に負けたからだ

(幹事長)「全ては、あなな勝ち目の無いアメリカとのアホな戦争を始めた軍部の大バカ野郎のせいだ!」
(石材店)「話題がそれてますが」


南京大虐殺については、日本政府も否定はしてないけど、それでも中国自身が非難するのは理解できるとしても、何の関係も無い第三国が口を挟んできたら、こらムカつくわな。トルコの反発は、これと同じだ。アルメニアはともかく、何の関係も無いフランスが、なんでイチャモン付けてくるんや、と。しかも100年も前の話だぞ。
当然、頭にきたトルコのエルドアン首相は、フランスの法案可決を受けて駐フランス大使を召還し、相互の訪問予定も中止し、EU域内でのフランスとの共同プロジェクトには協力しないと表明したほか、共同軍事演習などの軍事協力を停止した。ただ、トルコは長年EU加盟を熱望してきており、フランスとの関係が悪化すると、ただでさえ難航しているEU加盟がさらに遠のく。て言うか、フランスは数年前まではトルコのEU加盟を積極的に支持していたのに、現在ではEU加盟国中、最も否定的になってて、今回の法案可決も無関係ではない。

しかし、そもそも、なんで1世紀も経った今、こななことがフランス国会で問題になるのか?何も、フランス人はアルメニア人と友好関係にあって同情しているから、なんて事はなくて、単に選挙をにらんだ票集めの思惑だけのためであるフランス国内には45万人のアルメニア系住民が住んでおり、その票が欲しくてアルメニア人に媚を売っているのだ。ほんまに、しょうもない理由だ。日本の政治家って、今後の日本のあるべき姿や進むべき道なんか全く考えもせずに自分の選挙の事だけを考えて行動するアホばっかりだけど、どこの国も似たようなものだという事が分かる。フランスだけでなく、これまでもアルメニア系住民を抱える国々では、この虐殺批判が繰り返し起きているが、同じような理由だ。ほんとに政治家って奴らは、どこの国でも、どうしようもないバカばっかりだ。今回はトルコとフランスの関係なので、直接、軍事衝突なんてわくわくするような事態になる可能性はゼロだが、似たような事で大きな紛争になる事も、国際的には日常茶飯事だ。ほんと、政治家って下らないよなあ。

(石材店)「ところでアルメニアって、どこにあるんですか?」
(幹事長)「たいていの人は知らんやろなあ。日本人に限らず、世界中でも知らん人がほとんどやろなあ。
       たぶんフランス人だって、アルメニアがどこにあるかも知らない人が大半やろな」


アルメニアは、こういう問題が起きるくらいだから、トルコの東側に接している。面積は四国の1.5倍くらい、人口は四国より少ない300万人程度の小さな国だ。トルコにとっては、東側の内陸部のどうでもいいような地方にある小さな国と言う意識だろうが、アルメニアの北にはグルジアが、東にはアゼルバイジャンがあり、バルカン半島と並んで紛争の頻発地帯である南カフカスに近接する、わくわくするような地域だ。トルコと仲が悪いだけでなく、南にアゼルバイジャンの飛び地であるナヒチェヴァン自治共和国がある一方で、アゼルバイジャン共和国にはアルメニア人が主体のナゴルノ・カラバフ自治州があり、これのアルメニアへの帰属を求めてアゼルバイジャンと本格的な衝突が起るなど、アゼルバイジャンとも仲が悪い。この問題なんかは、ナヒチェヴァン自治共和国とナゴルノ・カラバフ自治州を交換すれば、すっきりするのに、なんて無責任に思ってしまうぞ。

ただ、昔から、どうでもいいような小国だったわけではなく、紀元前には国際的な商業活動を盛んに行っていて、大アルメニア王国を築いて繁栄していた。昔は、交通と言うか流通の要所だったのだ。しかしその後は、ローマ帝国やペルシアなんかの周辺の大国に翻弄され、国土は荒廃して多くのアルメニア人が故国を捨てている。その後も、オスマントルコの支配下では、アルメニア人虐殺問題で生き残ったアルメニア人の多くが欧米に移住したり、戦後はロシアに占領されてソビエト連邦の一部となった。そして、ソ連の崩壊により、再び独立したのだ。
ソ連が崩壊した結果、ロシアのほかに14もの国がいきなり独立して、みんなぶったまげたが、アルメニアもその1つである。ソ連って、一応、形としては15の国による連邦国家という体裁をとっていたけど、そんなんは嘘の誤魔化しであり、実施的にはロシアであると考えていたので、ソ連が崩壊して、本当に全部バラバラに独立するなんて、思いもよらなかった。まあ、今の中国が崩壊して、チベットやモンゴルやウイグルが独立するようなもんだと思えば、納得はできるが。そうなれば嬉しいが。
て事で、日本人を始め、世界中の大半の人がアルメニアなんて国は知らなかったため、独立して20年たった今も、相変わらずマイナーな存在である。て言うか、よくもまあ、独立してやっていけてるわと感心するようなマイナーな国だ。でも、国自体はマイナーでも、そのおかげでトルコは大迷惑だ。

(幹事長)「これだから国際問題は面白い!」
(石材店)「ちょっと、ちょっと」


(2012.1.25)



〜おしまい〜





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