小沢新党

消費税増税に反対して民主党を出た小沢一郎が新党を立ち上げた。

（石材店）「かつて小沢一郎の信奉者だった幹事長として、ご感想を」
（幹事長）「はっきり言って、もう、ウンザリだよ。あいつ、あそこまでヒドイとは思わなかった」

３年前に民主党が政権を取ったとき、僕は大いに期待したものだ。何も、幼稚園児でも不可能だと分かる白痴的なマニフェストのオンパレードに期待した訳ではなく、一度、小沢民主党に政権を取らせて、長年の自民党支配によって社会の隅々まで澱のように溜まった古い利権体質を徹底的に壊してくれるのを期待したのだ。民主党は昔の社会党みたいに知能が欠落したような政策ばっかり打ち出してはいたが、それはあくまでも選挙に勝つことだけを考えて、嘘も方便で支離滅裂で無茶苦茶なマニフェストを叫んでいただけであり、いったん政権を取ってしまえば理性を取り戻し、まっとうな政策を出してくるだろうと思ったのだ。

繰り返すが、民主党のマニフェストは、本当に信じがたいアホな政策のオンパレードだった。最大のアホ政策は、既に頓挫してしまって、存在すら忘れ去られている高速道路無料化だ。よくもまあ、こんな幼稚と言うか低能な政策を恥ずかしげもなく掲げるなあと呆れたものだ。こんなアホ政策が実現したら、日本のインフラ整備は崩壊してしまう。適正な料金を取ったうえで適切なメンテナンスをすることが必要なのに。
これと並んだ２大バカ政策のもう１つが子供手当だ。自民党の世紀の愚作である定額給付金をはるかに上回るキチガイ政策だ。こんな何の効果も期待できない中途半端な額のバラマキ政策したって、子育ての困難さは全く解消しない、トンチンカンで的はずれな政策だ。それより保育園を増設して待機児童を解消させるとか、育児休暇を取る女性に対して不利な処遇をする企業を徹底的に処罰するとか、もっと実効性のある政策こそが必要なのだ。そして、この子供手当も自民党なんかとの妥協によって、もう風前の灯火だ。財源が無いんだから、仕方ないわな。最初から分かっていた事だわな。アホだわな。

民主党のマニフェストには、この２大白痴政策の他にも、意味のない選挙対策だけのバラマキ政策が並んでいた。農業の戸別所得補償とか、ガソリン税の暫定税率廃止とか、年金制度の改革とか。特に年金改革は、本当にヒドイ。年金基礎部分に公費を投入する年金一元化の一方で、消費税増税は行わないなんて、一体、財源はどうするんだ？

このような支離滅裂のマニフェストだったが、当然ながら政権を取ってしまえば、不可能な事は実現できないことが明らかになる。そして、その結末が、今回の消費税の増税だ。自民党だろうが民主党だろうが、どこが政権を取ったって、消費税を増税しない限り、国が破綻するのは目に見えている。福祉政策を一切止めてしまうのなら、増税は不要だろうけど、個人的にはその方が良いんじゃないかって思えてくるが、現実にはそれはあり得ないだろう。だったら増税するしかない。分かり切ったことだ。ヨーロッパ諸国はどこも消費税は２０％を超えている。財政がヨーロッパ諸国より遙かに悪い日本なら、最低でも２０％以上の消費税が必要なのは分かり切ったことだ。
てな背景なのに、たかが１０％程度に引き上げるだけで小沢一郎は民主党を飛び出した。何も、国民の生活を第一に考えた結果では、ない。

（石材店）「新党の名前は国民の生活が第一ですけどね」
（幹事長）「ふざけているよなあ」

「みんなの党」が出てきたときも、ふざけた名前だなあって思ったけど、今度のもヒドイよなあ。ネーミングのセンスとしてヒドイだけじゃなく、本当に国民の生活を考えて新党を作った訳ではなく、あくまでも自分の権力闘争のために作った新党ってのが見え見えだ。過去の悪行のせいで、民主党の中での立場がどんどん悪くなってしまって、実権を掌握できなくなってしまったから新党を作っただけだ。彼は、過去にも同じ事を繰り返してきた。自民党では幹事長という要職を経験しながらも、反主流派になると自民党を割って新生党を作り、新しい政権を取った。しかし、そこもすぐに壊して新進党や自由党を作り、最終的に民主党として再度、政権を取った。そして、今度も同じ事を繰り返そうとしているのだ。

これまでは、行動そのものの善し悪しは別として、最終的に小沢一郎が政権を取ったら、日本の政治の閉塞感を打破して新しい政治を生んでくれるのではないかという期待から、何をやっても許容してきた私だが、彼が政権を取っても、何も新しい政治が実現する訳ではないと分かってしまった今では、もうこれ以上支持する気にはなれない。彼はあくまでも政権を取って実権を握ることだけが目的であり、何か新しい政治を生むことなんて考えていないことが分かった。何かに使うために金を欲しがるのではなく金儲けそのものが自己目的化してしまった金の亡者のように、何かの政策を実現させるために権力を欲しがっているのではなく権力を取る事が自己目的化してしまっているのだ。彼には何の理想も無いのだ。だから、今回は、消費税増税反対と原子力発電所再稼働反対という、何の脈絡も無い支離滅裂のスローガンを掲げている。どちらも日本を滅亡に導く社会党のようなスローガンだ。あまりのヒドさに呆れかえり、怒りがこみ上げてくる。

彼に同調して新党に参加した５０人弱のアホどもも、もちろん、選挙目当ての白痴的なスローガンに心底同調しているのではなく、あくまでも選挙対策だ。同じ小沢シンパでも、民主党に残った方が次の選挙で勝てる可能性が高いと判断した人は残っているし、小沢チルドレンのように、どっちみちこのまま民主党にいても次の選挙じゃ当選しそうもない人は小沢新党に参加した。もしかしたら、一定の賛同が得られて選挙で当選するかもしれないからだ。

（石材店）「当選しますかねえ？」
（幹事長）「小沢の力は侮れんぞ」

僕らのように冷静に考えれば、消費税増税反対も原子力発電所再稼働反対も日本を滅亡に導く自殺行為だが、アホな一般大衆は賛同する可能性も高い。ギリシャだって同じだ。誰がどう考えたって、このままじゃ国が破綻するのに、選挙になると、増税反対、緊縮策反対なんかを唱える政党が票を集める。衆愚政治の最たるものだ。
しかし、それで良いのか？良いはずないわな。政治家とは、一般大衆に受ける政策ばっかりやってりゃ良いってものではない。それなら政治家なんて要らない。アンケート調査と役人がいれば事足りる。そうじゃなくて、大衆は嫌がるだろうけど、国を運営していく上で必要な政策を、国民を説得しながら遂行していくのが政治家だ。苦しいけれどみんなで我慢しながら国を良い方向へ導いていくような政策を実現させるのが政治家だ。独善的なマスコミの世論調査に一喜一憂するのでなく、腰を据えてまっとうな政策を実現するのが政治家だ。
そう考えると、鳩山バカボン首相、菅キチガイ首相と２人続いた発狂首相に比べて、野田首相はまともだ。いくら国民に不人気でも、日本のためにやらねばならない消費税増税をやろうとしている。そして、それをぶち壊そうとしているのが小沢一郎だ。自分の権力のためなら、日本を滅亡に導こうとしているのだ。その意味で、結局、小沢一郎も鳩山バカボン首相や菅キチガイ首相と同じだったわけだ。ガッカリだ。もうウンザリだ。止めてくれーっ！

（２０１２．７．５）

〜おしまい〜

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