一票の格差で違憲判決

〜 人口だけで決めてはいけない 〜



議員1人当たりの有権者数の格差が最大5倍だった2010年の参議院選挙1票の格差を巡る訴訟で、最高裁違憲状態との判断を示した。そして、現行の選挙制度の具体的な問題点に言及して「都道府県を単位とする選挙区を改める必要がある」とまで言った。
最高裁は、前回の2007年の参議院選挙を巡る判決でも「現行の選挙制度を維持する限り、格差の大幅な縮小は困難」なんて指摘をしていたが、今回はさらに踏み込んで国会に制度改正を迫ったのだ。

一方、来年の夏に次の参議院選挙を控えて、民主、自民両党は8月に「4増4減」の格差是正案を国会に共同提出しているけど、仮にこれが成立しても格差の縮小は4.75倍程度にとどまる。5倍は下回るが、あくまでも小手先の微修正だ。それ以上の修正なんて、できるはずがない。
なぜなら、参議院の選挙制度は、地域代表との性格を持つことから選挙区を都道府県ごとに設定しており、また3年ごとに半数を改選するため、人口の少ない県にも最低2議席を割り当てている。なので、現行の制度下で格差を是正するには、人口の多い都市部の議席数を大幅に増やすしかないが、国会議員の定数を削減しようという現在の流れからすれば、そんな事ありえない話だ。
だからこそ、最高裁は「都道府県を単位とする選挙区を改める必要がある」とまで抜かしているのだが、それは参議院の存在自体を否定する暴論だ。人口比例で選ぶのなら、参議院なんか必要あるのか?衆議院のコピーになるだけだぞ。そんな無駄な国会は不要だぞ。

(幹事長)「そんな事も分からない日本の裁判官って、本当に知能レベルが低いなあ」
(石材店)「おっ、いきなりきましたね」


前回の判決が出た時も、このコーナーに書いたけど、参議院の定数を人口比例で選ぶなんて、全くナンセンスだ。そんな事も分からない日本の裁判官の視野の狭さは、驚愕に値する。司法試験制度の弊害だろうか?

1票の格差が許されないと言うのなら、国連での議決権はアホみたいに人口が多い中国は日本の10倍も議決権を持つようになるが、それでいいのか。もちろん、国会と国連では機能も性格も全く異なるが、何でもかんでも人口に比例させるのが正当とは言えない点では同じだ。人口が多い地域ばかりから議員が出るようになると、人口の少ない地域の要求はどんどん無視されていく。ただでさえ何かにつけて恵まれ過ぎている東京圏の発言力がますます増大し、疲弊している地方の声がますます相手にされなくなっていく。経済でも本社機能が東京に集中し、経済的に地方を搾取している構造が高まる一方だ。これまで日本が、まがりなりにも国土の均衡ある発展を目指してきたのは、地方出身の政治家の力によるところが大きく、実態としては何でもかんでも東京一極集中になってしまったんだけど、それでもある程度のブレーキにはなっていた。これが、政治家までもが東京圏だけに集中してくると、もう暴走以外の何ものでもなくなってしまう。

そもそも純粋に人口比例で選べば、参議院は単なる衆議院のコピーになるが、参議院の存在意義を考えたとき、衆議院のコピーでは意味が無いはずだ。そんなものなら廃止すればいい。参議院なんて、どう転んでも、あんまり意味の無い存在だから、廃止してもいいとは思うけど、もし廃止しないんだったら、衆議院とは違う性格を持たさなければならない

衆議院が人口比例の小選挙区制になった今、参議院は大きな選挙区にすべきだろう。小選挙区制は、ほんの少しの支持率の違いが極端な議席数の違いになってしまうから、衆議院は暴走しやすい。死票が山ほど出るから、全体で見れば1/3ほどの得票率でも大半の議席を獲得する事が可能だ。少数意見が全く無視されてしまう。なので、参議院は全く異なる選挙制度で選んだ議員によるチェック機関になればいいのだ。チェック機関であるならば、政党の縛りは完全に取り払った方がいい。政党制をやめて、みんな無所属で、各県完全平等に2人ずつの選挙区と、全国区の併用で選べばいいと思う。かつての全国区の選挙なんかが、あるべき姿ではないだろうか。各県の代表者と、色んな業界や組織や利益団体やなんやかやの全国代表者が構成するのだ。

日本では、自己中心的で独善的なマスコミが、揃いも揃って、以前から1票の格差を許さないというキチガイヒステリー主張を展開しているが、これはマスコミが東京中心の視点しかない偏向集団だからだ。このマスコミの超偏った報道姿勢は、今年の上野動物園でのパンダ騒動に如実に表れている。上野動物園でパンダの赤ちゃんが生まれ、すぐに死んだとき、マスコミは新聞の1面からNHKのトップニュースまで嵐のように報道されたが、その一方で和歌山県白浜のアドベンチャーワールドでパンダの赤ちゃんが生まれてスクスクと育っている事については、全く報道されない。日本のマスコミは、東京のローカルマスコミに過ぎないのだ。東京の人は、日本にパンダは上野動物園にしか居ないと思っているだろう。なので、日本のマスコミどもが1票の格差を批判したって、それは東京の立場での考えであって、日本国民の総意とはかけ離れているのだ。

国際的に見れば、二院制をとりながら、馬鹿みたいに人口比例にこだわっている国なんて、むしろ少数だ。アメリカでは、下院議員の数は各州の人口に厳密に比例しており、アラスカやワイオミングなんかが1人しかいないのに対し、最多のカリフォルニアでは53人もいる。しかし上院議員は各州平等に2人ずつになっているため、その格差は65倍だ。日本の10倍以上もあるぞ。
スペインでは格差はさらに大きく、なんと144倍にも達する。他にもスイス41倍とかフランス30倍とかオーストラリア13倍とか、日本より格差が大きい国は普通にある。アホみたいにヒステリックに格差を非難するマスコミや悪徳弁護士や頭の悪い裁判所なんか無視して、良識の府を守り通すべきであろう。

(2012.10.18)



〜おしまい〜





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