万里の長城で遭難

〜 あくまでも自己責任で 〜



中国の河北省の万里の長城で日本人観光客4人と中国人添乗員1人が遭難し、このうち日本人3人死亡した。最初にこのニュースを知ったとき、なんであの万里の長城なんかで遭難なんて事が起こりうるの?って驚いた。遭難するような場所じゃないだろ?って感じ。

(石材店)「万里の長城には詳しいんですか?」
(幹事長)「中国には3回行ってるのだよ」
(石材店)「あんなに中国嫌いなのに?」
(幹事長)「中国人は大嫌いだけど、中国は好きだよ」


中国人は大嫌いで、イスラム過激派と一緒に、即時、全員、抹殺してくれとアンドロメダ星人にお願いしているところだけど、中国の自然や文化遺産は素晴らしいものがある。万里の長城なんて、もう、あり得ないくらい素晴らしい人類の至宝だ。

(石材店)「その文化遺産を作ったのは中国人ですけど」
(幹事長)「じゃ、昔の中国人は好き」


で、その万里の長城で遭難なんて信じられなかったんだけど、現場は、北京郊外の僕らチャラチャラした一般観光客が行くような場所じゃなくて、なかなかワイルドな場所のようだ。明の時代から手つかずの原始的な姿が残っているため、一般の観光客は少ないけど、万里の長城の愛好家の間では人気を集めていたらしい

今回のツアーは、万里の長城100キロトレッキングという8泊9日のツアーだ。7日間で山道を100キロを歩くなんて、かなりマニアックなツアーだ。山登りは大好きだけど、ウォーキングが嫌いな僕なら、たぶん行かないツアーだ。

(支部長)「ウォーキングは楽しいでっせ」
(ヤイ)「私も先日、さぬき市の遍路ウォークに参加して、志度寺から長尾寺経由で大窪寺まで遍路道を24km歩いてきましたよ」
(幹事長)「そななんに参加しとんですかーっ!」


そななんに参加する人が500人もおったそうです。てことで、マニアックなツアーも人気があるのだろう。
今回のツアーは今回が初開催だったらしく、それも問題視されている。ただ、現地は、今の時期は気温も氷点下になったり風が強かったりすることもあるものの、普通の天候なら問題は無かっただろう。ところが、現地では52年ぶりの大雪に見舞われてしまい、今回の遭難となった。初開催なので現地の状況が良く分かってなかった可能性もあるが、52年ぶりの雪なんだから、運が悪かったと言える。

で、どういう人が、このマニアックなツアーに参加していたかと言うと、遭難者の年齢に驚いた。亡くなったのは76歳の男性と、68歳と62歳の女性で、助かったのは59歳の女性と若い中国人ガイドだ。59歳を年寄りと呼ぶのは失礼かもしれないが、年寄りばっかりのツアーだ。金と時間が有り余った年寄りが世界中の秘境を巡っているんだろうなあ

こういう場所へ行けるだけの元気さと金があるんだから羨ましい限りだし、自分の金で行ってるんだから、誰にも文句を言われる筋合いはない。多くの高齢者が病院や施設に入って莫大な社会保障費を使っているのに比べれば、本人にとっても日本社会にとっても良いことだ。
僕も仕事を辞めて金が余っていたら、ウォーキングは嫌いだけど、秘境を巡る旅行には行ってみたい。て言うか、たぶん、健康な限り、行くと思う。その結果、今回のように遭難しても、それは仕方ない。自己責任の問題だ。

もう一つ驚いたのは、今回のツアーを企画した旅行会社は、なんと3年前に北海道のトムラウシ山で8人が死亡した登山ツアーを企画した会社なのだ。あの時も、夏山なのに悪天候に見舞われて50〜60歳代の高齢者7人とガイド1人が死亡した。あんな大事故を起こした旅行会社が、まだ営業していた事に驚愕だ。てっきりお取り潰しになってるのかと思っていた。なんの罰則も無いのかなあ。
今回のツアーに参加していた人は、この旅行会社がトムラウシ山の遭難事故を引き起こした旅行会社だと知っていて参加したのだろうか。どうやら、知っていたようだ。これまでも、この旅行会社のツアーを何回も利用していたらしい。別に気にしてなかったのかなあ。
もちろん、どっちの遭難事故も想定外の悪天候が直接的な原因であり、一方的に旅行会社に落ち度があった訳ではない。でも、いずれも想定外の事象が起きた時への対応が拙かったと言うか、危機管理が甘かったとは言えよう。しかも、初めてならともかく、3年前に事故を起こしたばかりなのに、再び想定外の事象への対応に問題があったってのは、会社の体質だろう。今回の万里の長城の山道を7日間で100キロを歩くなんてマニアックなツアーを、現地確認もせずに企画していたらしいから、あんまり丁寧な旅行会社ではないだろう。
それなのに、利用者が多くいるってことは、こういうマニアックなツアーを企画する旅行会社って少ないんだろうなあ。だから、参加する人も、そのあたりは百も承知で参加していると思う。それくらい分かったうえで参加するべきだ。

て事で、今回の行動を非難する意図は全く無い。旅行会社には問題があったと思うけど、それを利用する側の自己責任の範囲だ。好きでリスキーなツアーに参加しているんだから、誰にも文句は言えないし、誰にも文句は言わせない。

ただ、僕が問題だと思うののは、たかが小さな遭難事件を大げさに報道しまくるマスコミの姿勢だ。冬山遭難の報道もそうだけど、みんな自己責任で勝手に山に入って勝手に遭難しているだけなのに、なぜか昔からマスコミは大げさに書き立てる。なんでだろう。山で遭難死する人なんて、どんなに多くても、年間でせいぜい数十人の単位だ。何千人もの人が死んでいる交通事故や何万人もの人が死んでいる自殺に比べれば、ほんと取るに足りない数だ。こういう事故を大げさに報道すると、行動が制限されて、なんとなく社会が息苦しくなって自由な人生を送れなくなっていくぞ。

(2012.11.6)



〜おしまい〜





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