教員の駆け込み退職

〜 学校の先生なんて、そんなもの 〜



埼玉県を始めとする全国の公立学校の教員が、退職金が減額される前に退職した方が得だからってことで、1月末で大量に駆け込み退職しようとしていて問題になっている

事の発端は、昨年11月に成立した国家公務員の退職金を引き下げる法改正だ。これにともない政府は、「国家公務員に準ずる」とのことで地方自治体にも引き下げを要請し、16都府県が条例を改正し、順次、引き下げが始まっている。埼玉県では、1月末に退職するのに比べて3月末に退職すると退職金が150万円ほど減るらしい。2ヵ月早く退職するから2ヵ月分の給料はもらえなくなるけど、それを差し引いても数十万円の得になるので、多くの教員が早めに駆け込み退職しているのだ。もちろん、減ると言ったって、公務員の退職金は非常に多い。驚くほど多い。勤続35年で平均月給が40万円だった場合、退職金はなんと2700万円もある。あまりの多さにボーゼンとする。今回の退職金引き下げは、このような好待遇を是正するためだ。

今回の退職金引き下げの事情は教員に限った事ではないんだけど、教員の数が目立っている。埼玉県では今年度末に定年退職を予定している教員が1290人いて、このうち108人が1月末で退職を希望している。県庁の知事部局の職員では定年退職予定者172人のうち1月末の退職希望者は約30人だから、比率から言えば教員より多いが、絶対数が少ないのと、モラルの点で教員の方が批判を浴びやすいってことで教員が問題になっているのだろう。一方、同じように高いモラルが求められる県警職員では、定年退職予定者が185人いるにもかかわらず、1月末での退職希望者はゼロだ。警察では「最後まで職務をまっとうしようという気持ちを持っていてくれたのだろう」と言うが、大したものだ。よけいに教員のモラルの低さが目立つ。さらに、駆け込み退職しようとしている教員のうち学級担任をやっている人が23人いるほか、教頭先生も3人いる。

(幹事長)「学級担任が学年終了目前に生徒をほっぽらかして退職するなんて批判を浴びても仕方ないわな」
(石材店)「教頭先生はヒマでしょうから、ええですかね」
(幹事長)「でも立場上、教頭先生もマズいやろ」


当然ながら、この問題は埼玉県だけの事ではない。たまたま埼玉県では絶対数が多かったので明るみになってしまって問題になったけど、その後の調査では全国各県で同じような問題が次々と明るみになってきた。四国でも徳島県で19人、高知県で2人の公務員が駆け込み退職するらしい。
一方、栃木県では1月末の退職予定者はゼロで、地域により大きな差がある。職場の雰囲気の差というか風土の問題なんだろうか。逆に、埼玉県ではいなかった警察官は、愛知県では今年度の定年退職者約290人のうち、署長クラスなどの幹部も含め半数以上が希望するのではないかと見られているから、職業の差だけでなく地域差が大きいようだ。

このような教員の態度に対して、当然ながら批判が巻き起こっている
下村文科相は、クラス担任らに対して「決して許されない」と憤っているし、神奈川県知事は「退職金を多くもらいたいということで、生徒たちを置き去りにし、ポイと辞めてしまうというのはやりきれない。生徒たちがかわいそうだ」と苦言を呈している。生徒によっては受験を控えた重要な時期に担任がポイって仕事を辞めてしまう訳だから、こら大迷惑だ。呆れるだけで済む問題ではない。
一方、勘違いが多いマスコミはこういう現象を生むような引き下げのやり方が悪いと報道している。確かに、こういう現象が起きることは容易に想像できたのに、それを想定していなかったのはおかしい。

しかし、問題は、そういう事ではない。これが普通の会社員だったら、何の問題も無い。多くの人が駆け込み退職するだろう。しかし、公務員の仕事ってのは、そういうものではないだろう。
公務員というのは、国民の税金によって成り立っている職業であり、国民が選択することができない極めて重要な仕事を担っている立場であるからこそ、守られている部分も大きいし、一方でそれだけの責任も負っているのだ。だから、一般企業の会社員のように簡単に考えてもらうと困ることが発生する。もちろん、公務員の仕事でも、普通の企業と同じように、駆け込み退職して当然ってな仕事も多いだろう。でも教員や警察官は違うんじゃないか?警察官はいいとしても、教員だけは、いかんのではないか?なぜなら担任の補充なんて、年度末直前に急にできることではないだろう?生徒に迷惑をかけるっていう発想は無いのか?たかが数十万円が惜しくて、そんな事をするのか?

(石材店)「憤っていますね?」
(幹事長)「いや、ま、こんなもんやろ」


もちろん、積極的に擁護するつもりは無い。こういう制度が悪い、なんていうつもりは毛頭ない。当たり前だ。でも、特にはらわたが煮えくりかえっている訳でもない。

(石材店)「おや?妙に冷静ですねえ?」
(幹事長)「もう公立学校の先生に対しては諦めているからなあ」


多くの国民と同じように、僕も公立の学校の先生に対しては、もうあんまり期待していない。あれだけ甘やかされた職場環境は、強い矜持があってこそ与えられたもののはずなのに、多くの教員はロクに責任も果たさないくせに権利ばかり主張する。教員に性善説を求めるのは、もう無理というものだ。
て言うか、問題の発端の埼玉県の例で言えば、年度末退職予定者のうち、実際に駆け込み退職しようとしているのは僅か1割程度だ。絶対数で言えば100人以上もいるのだから驚きだが、比率は1割に満たないのだ。考えてみれば、これはかなり少ないと言える。変な先生なんて、もっといっぱい居そうなものだから、1割って少ない印象だ。責任感があって辞めないのか、それとも駆け込み退職したら批判されるから辞めないのかは分からないけど、いずれにしてもかなり少ないと言えるのではないか。
などと、むしろ安心しているくらいだ。

(2013.1.24)



〜おしまい〜





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