大相撲の制限時間前の立合い

〜 久しぶりに見たエキサイティングな戦い 〜



今日の大相撲春場所7日目の取り組みで、横綱白鵬時天空相手に制限時間前に立つという珍しい立ち合いをして勝った。最近、ダレ気味の大相撲において、久しぶりにエキサイトしてしまった

時間前に立つのは、昔は、それほど珍しいことではなく、時々見たことがある。その頃の記憶が残っているため、今でも時間前に立ちそうな仕草を見せる力士がいたら、「いけっ、立てっ!」なんて思うんだけど、実際に時間前に立つのは、ここんとこ見たことが無い。
過去の記憶を思い起こすと、時間前に立つのは、下位力士が、普通では勝てそうにない横綱とかの上位力士相手に、不意打ちの奇襲攻撃を仕掛けるっていうような意味合いが強かったように思う。そして、大横綱であれば、そんな下位力士の奇襲に対して、待ったなんかせずに堂々と受け止めて、しかも一蹴するっていうのが普通だった。大横綱の強さをあらためて実感するような取り組みだった。そして、大横綱は、下位力士がいつ立ち会ってきても慌てないように常に心構えができていたのだ。

てな感じだったのだが、ほんと、ここんとこ、時間前に立つのを見たことが無い。
本来なら、制限時間ってのは、名前のとおり「これ以上は待てませんよ」という制限の時間であり、マラソンなら制限時間をオーバーしたら即失格である。それなのに、大相撲の場合は、逆に、制限時間が来てから立つのが当たり前で、制限時間前に立つのはイレギュラーなんて事になっている。
2回目以降の仕切を「仕切り直し」というのも、本来は1回目で立つべきところを、うまくいかなかったから、2回目以降は、やり直している、という意味だ。僕は見たことが無いが、昔は双葉山や大鵬に対して、1回目の仕切りで立った力士もいたらしい。もうワクワクするような取り組みだ。もちろん、両横綱とも待ったはせず、受けて立って、しかも勝ったそうだ。
逆に、朝青龍や高見盛なんか、制限時間がきて最後の立ち合い(ていうか、既に制限時間をオーバーしているんだけど)の前になって初めて、まわしを叩いたり気合を入れたりしているのは、大半の客は喜んで見ているけど、「最初から気合入れろよ」なんて思ってしまう。時間前の仕切りで立つ気がないのが、あからさま過ぎる。
いつ立つか分からないからこそ、見る方も、ずっと緊張感を持って見ることができるのだ。制限時間まで立つ可能性が無いのなら、繰り返される無駄な仕切は一体なんなんだって思う。

(石材店)「ところで、今回の時間前の立ち合いは、横綱の方から仕掛けてましたよねえ」
(幹事長)「でも、よくよく見れば、時天空が挑発しているぞ」


一見、白鵬から仕掛けて立ったようにも見えるけど、その前の仕草を見ると、明らかに時天空が立とうという態度を見せている。何度も腰を浮かせて誘いながら、今にも立ちそうな時天空に対して、どうせ時間前に立つのなら白鵬が先手を打って先に立った、というのが真実のように見える。だから、白鵬が時間前に立っても時天空は待ったをしなかったのだ。
後で調べると、確かに時天空も「自分も立とうという気持ちだった」と言っている。一方、白鵬は、そういう時天空の挑発的な態度に対して「少しカッとした」らしく、それで時間前に立ったようだ。

ここで、おかしなのは、立行司の式守伊之助が左手を出して制していることだ。時間前に立つのは、ルール違反ではなく、むしろ、あって当然の事なのに、あまりにも稀なために、慌ててしまったようだ。しかし、白鵬は当然ながら、時天空も暗黙の合意の上での立ち合いだから、行司が制したって、お構いなしで、そのまま続けられた。北の湖理事長も「時天空が誘っていた」として、横綱の行為を擁護している。
時天空としては、自分から挑発はしていたものの、まさか白鵬の方から先に立ってくるとは思ってなかっただろうから、少し慌ててしまい、普通の勝負でも勝ち目は薄いのに、横綱に先手を打たれて、なすすべもなく負けてしまい、かなり悔しそうだった。まあ、墓穴を掘ったって感じかな。

(石材店)「で、今回の教訓は?」
(幹事長)「別に、無い」
(石材店)「え?じゃ、何のための記事?」
(幹事長)「そう、いつもいつも、私の記事に教訓が含まれていると思ってはいけない」


何も、時天空の行動から教訓を見出そうなんて気持ちは、さらさら無い。今回は、単に面白かったから書いただけでした。
すんません。

(2013.3.16)



〜おしまい〜





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