大相撲八百長解雇無効判決

〜 当然の措置だ 〜



2年前に大騒ぎになった大相撲の八百長問題で、八百長を否定したにもかかわらず問答無用の強権措置により相撲協会を一方的に解雇された元幕内の蒼国来が解雇無効を訴えていた裁判で、東京地裁は蒼国来の訴えを認め解雇無効の判決を出した。当然だ。当然すぎる判決だ。
そして、この判決に対し相撲協会は控訴断念を決め、蒼国来の復帰が決まった。当然だ。当然すぎる措置だ。

判決では、相撲協会に対し、解雇処分以降の給与などの支払いも命じたが、蒼国来はもちろん、お金より土俵への復帰を熱望していた。そら、そうだわ。力士が相撲協会から解雇されたら、ちゃんこ鍋屋をやるくらいしか、もう生きていく術はない。新たな人生なんて踏み出せない。しかも、力が通用しなくなって引退するのと違って、身に覚えのない疑惑で強制的に解雇されたのであれば、徹底的に戦うしかない。心の問題としても、早々簡単に諦められる問題ではない。

(幹事長)「2年もかかったが、無茶苦茶な魔女狩り裁判が無効になって良かったわな」
(石材店)「幹事長は当初から批判してましたからねえ」


そもそもが、この力士の大量処分は無理のある措置だった物証と言えるものはメールの記録くらいで、あとは八百長への関与を認めた元力士らの証言だけが頼りだった。それなのに力士と親方を含め25人もを追放したのだ。

相撲協会が、なぜこのような暴挙を行ったのかと言えば、全て100%マスコミのせいだ。今になって新聞は「当時は相撲協会に対して厳罰を求める世論があったため、根拠は乏しくても厳しい措置を取らざるを得なかった」なんて信じられない他人事のようなコメントを書いているが、もう言語道断だ。相撲協会に対して厳罰を求める世論なんて世の中に存在しなかった。あったのは商売第一主義でヒステリックにスキャンダルを書き立てるマスコミの声だけだった。日本の相撲に八百長があるなんて、誰でも知っている事であり、みんな分かっておきながら敢えて見ないふりをするという建前文化の上に成り立った競技、というか演芸なのに、マスコミが商売のためにスキャンダルに仕立て上げてキチガイみたいに喚き立てたもんだから、相撲協会も厳しい処分を下さざるを得なかっただけだ。

(幹事長)「早く独裁者になって、日本のマスコミどもを即刻、全員死刑にしたい」

この暴挙とも言える一方的処分は、マスコミに対する相撲協会の弱腰が最大の原因ではあるが、あまりにも公平性に欠ける処分だった。自分から罪を認めたのは、最初に白状した3人だけで、他の人は一切、認めなかった。証拠はほとんど無くて、と言うか、全く無くて、あるのは白状した3人の証言だけだ。この3人が嘘を言っていれば、冤罪だ。相撲協会の調査委員会のメンバーである弁護士も、「3人が過去の取組のビデオを見ながら、これは八百長だ、なんて指摘したから八百長と判定したものであり、証言が無ければ認定は難しかったと思う」なんて話しており、非常に危なっかしい判定だ。常識的には、裁判になれば100%無罪になる暴挙だ。弁護士なんだから、それくらいは分かっているだろうけど、それでもクロと判定するのだから、弁護士も金儲けのためなら何でもやるということだ。

(幹事長)「早く独裁者になれたら、弁護士どもも即刻、全員死刑にするぞ」

もっとも、直接的な証拠は3人の証言だけとは言え、明らかに怪しい状況証拠はあった。疑惑力士に任意提出を求めた携帯電話は「無くした」とか「水に落とした」とか嘘丸出しの言い訳のオンパレードだったし、「誤って踏んで壊した」なんて言いながら、ドライバーを差し込んで配線が切れるまで破壊された携帯もあったらしい。そこまでしなくてもメモリーを消去すれば良いような気がするけど、明らかに証拠隠滅だろう。ただ、全員がそこまで怪しかった訳ではなくて、蒼国来の場合は、これと言った状況証拠も無く、元力士のあやふやで曖昧な証言だけが頼りの処分だったのだ。全くひどい話だ。

蒼国来だけでなく、処分された他の力士たちも最初は猛反発し、「集団提訴だ」なんて息巻いていたが、すぐにトーンダウンして、大半の力士は結局、あっさりと引退届を提出した。争っても無駄だと思ったのか、あるいは後ろめたいところもあったのかもしれない。

今回の蒼国来の処分の無効判決を受けて、処分された他の力士たちも処分取り消しを求めて一斉に声を上げるのかと思ったら、そうでもなく、勧告を受け入れて引退した元力士の一人は「退職金をもらって引退したので、何も言えない。そっとしておいてほしい」なんて話している。蒼国来みたいにモチベーションを維持してトレーニングを継続してきた人は、他にいないのかもしれない。裏を返せば、絶対に八百長をやっていないと胸を張って言える力士は蒼国来くらいだったのかもしれない。
でも、そうだったとしても、他にも八百長をやった力士はたくさんいて、というか、たぶん、八百長をやったことがない力士は珍しいくらいなんだから、不公平な処分は正されるべきだと思う。今からでも遅くないのではないか。

(2013.4.4)



〜おしまい〜





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