日銀新総裁の手腕

〜 今のところ絶好調 〜



日銀の黒田新総裁が絶好調だ。

(石材店)「またまた超ジミな話題ですね」
(幹事長)「そうか?僕にとっては北朝鮮より重要だぞ」
(石材店)「また個人的な欲に目がくらんでますね」


昨年末の安倍政権の発足後、マーケットはアベノミクスに好感し、株価は上昇を続けていたが、一方で、日銀の白川前総裁は腰が引けていて、いまいち協力的ではなかった
冷静に考えれば、ギリシャやキプロスなんか足下に及ばないほど、いつ財政破綻してもおかしくない厳しい財政状況の中で、冷静な生え抜き理論家である白川前総裁がアベノミクスが抱える危うさに危機感を抱いていたのは当然だろう。マーケットは常に正しいのかと言えば、歴史的に繰り返されるバブル崩壊に象徴されるように、正しいどころか、常軌を逸しているのが常だ。なので、マーケットが評価しているからと言って、それに迎合なんかしていたら財政は危機に陥る。
なので白川前総裁のスタンスは、本来的には正しい。日銀は最後の砦であり、選挙の事だけを考えて無茶苦茶する政治家どもの圧力を跳ね返し、国家財政と通貨を守らなければならないのだから、政治の圧力に屈するようではアカンのだ。政治家が先の事なんか何も考えてなくて、結果的に国家が破綻したって責任を取らないのは、ギリシャを見てもイタリアを見ても、よく分かる

ただ、これは、あくまでも理想論だ。日銀が政治とのバランスを取って、うまく経済が回るのなら、そういうスタンスで結構だ。でも、通貨を守り続けた結果、国家経済が死んでしまったのでは本末転倒になる。それくらい日本経済は追い込まれ続けてきた。このまま日銀が理想的なスタンスを堅持し、日本経済が底知れぬ泥沼に引きずり込まれて死んでしまっては、何をやっているのか意味が無くなる。

てことで、この日本経済を立て直す最後の手段として、日銀は理想論を捨て、一か八かの賭けに出てもいい時期に来たのではないか。白川前総裁も、こういう意識が皆無だった訳ではなく、ある程度は政府に協力してきたが、見に染みついた保守的な体質を抜け出せず、中途半端な策しか打ち出せなかった。

これに対して、大胆な日銀改革を訴える黒田新総裁が安倍政権の強い後押しで就任してから、日銀のスタンスは大きく変わった
そして金融政策決定会合で大胆な追加緩和が決定されたため、マーケットのムードが一変し、株価は全面的に急上昇し、債券市場も大幅な上昇(金利は低下)となった。株式と債券の関係は、どっちかを売ってどっちかを買うという投資家の立場から見れば、同時に上昇するのは相反する現象とも言えるが、大胆な追加緩和による実体経済の好転期待による株価上昇と、追加緩和による金利低下による債券相場の上昇は、矛盾するものでもない。おまけに円安も進んだ。

(幹事長)「株も債権もドルもユーロも、全部、値上がりだなんて、もう夢のよう」
(石材店)「結局は個人的な利益が関心の源ですね」


とは言え、個人的には、大儲けしているわけではない。株価は、日経平均で言えば15000円くらいまで戻らないと含み損は解消されない。ドルも120円で買ったのが大量にあるし、ユーロに至っては160円で大量に買っているので、現状のドル高ユーロ高では、まだまだ焼け石に水状態だ。それでも株価の15000円ってのは可能性として出てきたのではないか。

そもそも、日経平均が10000円を割るだなんて水準が続くこと自体が異常だ。かつて1990年頃に40000円くらいまで値を上げたことがあったことを忘れているのか、と問いただしたい気分だ。その頃、ダウ平均は3000ドルくらいだったので、僕の感覚からすれば、数字で言えば、日経平均はダウの10倍くらいっていうイメージが染みついている。しかし現実は、ダウはその後も順調に上昇を続けて10000ドルを突破し、今も史上最高値を更新し続けている。一方、日経平均は目も当てられない状況が続き、いつのまにか10倍どころかダウを下回るのが当たり前になったのだ。10倍とは言わなくても、せめて史上最高値の4万円くらいまで回復したって何の不思議もないと思うのだが。

(石材店)「自分の利益に目がくらんで冷静な判断ができなくなってますね」

確かに、何があっても新たな要因によって不死鳥のように蘇るアメリカと比べて、日本の実体経済に力強さが無いのは変わりない。しかし、鶏と卵の関係と同じく、ムード先行型でも経済回復する可能性はあるのだ。みんなが安心して消費が増えれば実体経済は良くなるのだ。この調子で実体経済も回復してくれるのを切に願っている。

(2013.4.5)



〜おしまい〜





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