食材偽装表示

〜 そんなものに惑わされるな 〜



阪急阪神ホテルズが運営するレストランで発覚した、メニュー表記と異なる食材を使用していた食材偽装表示問題は、全国の他のホテルやレストランにも波及して、大きな問題になってきた。

(石材店)「このコーナー1ヵ月ぶりですね。なにサボってたんですか?」
(幹事長)「10月はサイクリングしまなみ2013とか大阪マラソンとか、滅多にないビッグイベントが続いたからな」


今回、問題になっている食材偽装表示とは、例えば、食材自体を偽装していたのが
  ・芝エビと表示しておきながら実際は安価なバナメイエビだった
  ・車エビと表示しておきながら実際は安価なブラックタイガーだった
  ・ズワイガニと表示しておきながら実際は安価なアブラガニだった
  ・チリアワビと表示しておきながら実際は値段が1/5以下のロコ貝だった
  ・和牛と表示しておきながら実際は豪州産牛肉の成型肉だった
  ・ボラの卵を使ったからすみと表示しておきながら実際はタラやサメの卵を使用した唐千寿だった
などなどだ。

ほかにも、産地を偽装していたものとして、
  ・地鶏と表示しておきながら実際はブロイラーだった
  ・豚肉の産地を偽っていた
  ・自家製漬物と表示しておきながら実際は既製品だった
とかがある。この中には、例えば、
  ・(地元の)高松野菜とか(地元の)静岡県産食材とか表示しておきながら実際には使っていなかった
なんてのもあるが、高松産の野菜とか静岡県産の食材が特に優れているとも思えないので、一体、何の意味があるのか良く分からない。

それから「鮮魚」とか「フレッシュ」という表示も問題になっている。
鮮魚と表示しておきながら実際は冷凍魚だった
フレッシュジュースと表示しておきながら実際はパック入りジュースだった
なんてものだ。

今回、発覚したホテルやレストランは、「手違いだった」とか「ミスだった」とか「認識が不十分だった」とか言い訳しているが、それは嘘だろう。外食産業の競争が激化する中、商品の差別化を図ろうとする一方で、コストを抑えるために偽装に走った、ってのが本当だろう。最初は阪急阪神ホテルズで発覚した問題だが、その後、次から次へと全国のホテルやレストランが公表しているのを見ると、まさか問題になるとは思わずに甘く見て偽装していたけど、大問題になっているのを見て、「自分とこも早く公表しないと、ばれたら大変なことになる」と思って、慌ててドサクサに紛れて一斉に公表しているのだろう。

小さいエビを芝エビ、大きいエビを車エビと呼ぶのが業界の慣行だった。通称名みたいなものだ。バナメイエビと表示しても客は食べてくれない」なんて開き直る業界人もいるらしいけど、そんな言い訳は通用しないぞ。明らかに悪意を持って誤魔化している。嘘を表示したらいかんぞ。

ただ「偽装なんだから完全に詐欺だ、犯罪だ」とは思うけど、法的には曖昧らしい。物品販売になると、みそ漬けの牛肉産地を偽った料亭「船場吉兆」や、中国産ウナギを国産と偽って販売した店に、刑事罰が科されたことはあるが、調理を経たレストランの料理の場合は法律の適用対象になるのかどうか曖昧で、摘発事例はない。一般の消費者の感覚から言えば、商品も料理も同じだろうと思うから、法律がおかしいのだろう。

(石材店)「でも、どうせ幹事長は舌が肥えてないから分からないんでしょ?」
(幹事長)「全く、その通り!」


僕の見解を言えば、全くどうでもいい問題だ。はっきり言って、僕には偽装された食材の違いが分からない

僕でも車エビくらいはなんとなく分かるし、ブラックタイガーは多分、黒いんだろうと思うから、生で見れば違いは分かるだろう。でも、調理してしまえば分からないだろう。ホワイトタイガーってエビもあるらしく、そうなると色も黒くはないんだろうから、生でも分からないかも。なんとなく車エビよりブラックタイガーの方が安いだろうって思うから、これは偽装だろうとは思うが、結局、食べて分からないようでは文句を言う資格はない
さらに芝エビとかバナメイエビになると、そもそもどんなエビかも分からないし、どっちが高いのかも、どっちが美味しいのかも、全く知らない。なので、偽装と言われても、何をどう偽装したのか分からない。

ロコ貝ってのも、そもそも食べられるものなのかどうかも知らないが、ロコ貝で偽装していたチリアワビってのも、なんだか怪しい。よく魚では、日本の魚に似た外国産の魚に紛らわしい名前を付けて売ったりしてるから、チリアワビも、そもそもアワビなのか、それとも紛い物なのか分からない。なのでチリアワビと表示しておきながら実際はロコ貝だった、と言われても、どっちが高いのか、どっちが美味しいのか分からないし、それが悪いことだったのかどうかも分からない。

それから、からすみは知っているし大好きだけど、唐千寿って何よ。からすみより良い物なのか悪い物なのかすら分からない。食べてみて美味しければいいし、まずければ良くない。結局、自分で食べてみなければ善し悪しは分からない。「からすみ」って表示されていれば食べるし「唐千寿」って表示されていれば選ばない、なんて事はない。

それから、かなり前から地鶏ブームが起き、一部でもてはやされているが、地鶏の何が良いのか、はっきりしないから、僕は地鶏の価値を信じていない。地鶏は多少、固い肉が多いが、実際に食べてみて美味しければ良いけど、食べる前からわざわざ高い金を払う気はしない。ましてや、豚肉とか牛肉で、どこの地方のものだとか言われても、全く評価しない。ちょっと県が違っただけで、そんなに味が変わるはずがないではないか。
それに、牛肉に関して言えば、僕は国産牛よりアメリカ産の牛肉の方が、はるかに好きなので、和牛っていう表示を全く評価しない。たいていは脂っこいだけだ(一部の刺身肉は別ですけど)。実際に食べてみて、和牛よりアメリカ産牛肉の方がはるかに美味しい。(ま、これは100%好みの問題なので、どうでもいいんですけど)

それから、確かに、鮮魚って言うからには冷凍してない魚のような気もするけど、でも、遠方まで漁に行って帰ってくるまで何日もかかるような場合は冷凍するだろうし、それはもう鮮魚じゃない、ってのも厳格すぎるというか、どうでもいいような気がする。氷水につけられて数日かけて輸送されているものまでが「鮮魚」で、マグロなど一度冷凍されてしまうものは鮮魚とは呼ばないらしいが、JAS法は、解凍した食品を生鮮食品に含んでおり、法的には曖昧だ。
て言うか、マグロなんか鮮魚って言われたとしてもピンとこない。て言うか、そもそも鮮魚って表示に価値はあるのか?鮮魚って、冷凍してないから近海の魚だろうけど、日本や中国の近海の魚って海洋汚染で体に悪そうなイメージがある。むしろ遠方からの冷凍魚の方が体に良さそうな気がするけど。

それから、「フレッシュジュース」ってのが、JAS法では、その場で果実を搾ったものに限定しているなんて、全然知らんかった。びっくりした。「フレッシュジュース」の「フレッシュ」なんて、100%人工じゃなくて「果汁も入ってますよ」くらいの意味かと思ってた。まさか、その場で果実を搾ったものだとは思わなかった。「フレッシュジュース」と称して、本当に、その場で果実を搾ったものしか出してない店って、日本中に何軒あるんだ?

それから加工肉はビーフステーキと表示できないってのも知らなかった。て言うか、加工肉なんて、石油タンパクから作った人造肉みたいなイメージだった。ステーキだと言い張れるくらい巧妙に作れるなんて知らなかった。脂肪を注入して本物の肉みたいに出来るものなんだ。確かに、これは嫌な感じがする。脂肪を注入した加工肉ってのは気持ち悪い。明らかに悪質な偽装だ。何の言い訳も通用しない。ただし、和牛よりアメリカ産牛肉の方が好きな僕の個人的な好みから言えば、わざわざ脂肪を注入して不味くする意味が分からないので、何とも言えない。

それから、自家製パンとか自家製漬物とか、何の意味があるのか分からない。パンなんか、僕は「自家製」って表示されている方が警戒する。マズいんじゃないかって。自家製パンって、たいてい、そんなにうまくないぞ

有機野菜も根強い人気があるけど、それをもてはやしている人たちは、有機野菜の意味って分かっているのか?有機農業の実態って知っているのか?

最後に「手作り」という事に関して、今回、直接は関係ないけど、地元の讃岐うどんの観点から考えてみる。讃岐うどんについては、大変大変、造詣の深い私だが、私は「手打ち」とか「手切り」の価値は全く評価しない。結果的に「手打ち」の店が美味しいのは事実だ。しかし、それはあくまでもそういう店が多いというだけで、「手打ち」でも不味い店は多いし、機械打ちでも非常に美味しい製麺所はある。「手切り」もそうで、結果的には「手切り」の店は美味しいところが多いけど、これは100%好みの問題であり、製麺所で「手切り」なんかしているところはほとんどない。そもそも「手打ち」と「手切り」の区別もつかないような観光客に「手打ち」の価値を論評する資格はない。なので、ハンバーグとかで「手作り」なんて表示しているケースとかあるが、何の価値も無い。「手作り」が美味しい保証なんて無いのだ。なので、それが偽装だろうが本当だろうが、全くどうでもいい話だ。


要するに、自分で食べてみて違いが分からないような食材について、偽装であったとしても、それを非難する資格は無い
バナメイエビだろうがロコ貝だろうが成型肉だろうが分からずに美味しいと思って食べるような舌の持ち主なら、非難する資格は無い。(もちろん、私には、そんな資格は全く無い)
また、鮮魚とかフレッシュとか有機とか、そもそも、その意味や価値すら理解できていない人に、非難する資格はない
そして、逆に、以上のような違いが分かる人なら、食べてみて「あ、こりゃ不味い。もう二度と来ないぞ」と思うはずだ。
そういう事が分からないくせに、意味も無くブランド食材に惹かれる消費者の存在が今回の偽装を招いたわけだ
自分の舌で分からないような違いに価値を見いだすなんて、ほんとアホらしい事だよ。
意味の無いブランド表示に惑わされることなく、あくまでも自分の舌で価値を判断しようではないか

(2013.11.6)



〜おしまい〜





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