作曲偽装事件

〜 作品そのもので評価しよう 〜



広島市出身の被爆2世で両耳が聞こえない作曲家として知られる佐村河内守が、実は、代表作「交響曲HIROSHIMA」を始めとする多くの曲を、10数年前から別人に作らせていたという事が判明した。

佐村河内は35歳で聴力を失った後も絶対音感を頼りに作曲を続け、「現代のベートーベン」とも呼ばれてきた。広島市出身の被爆2世ということも大きなセールスポイントで、多くの新聞やテレビが活躍を報道し、もてはやしてきた

ゴーストライターは桐朋学園大学の非常勤講師とのことで、佐村河内はゴーストライターに楽曲構成やイメージを伝え、具体化する形で曲にしてもらっていたらしい。
佐村河内の代理人は「作曲したゴーストライターの方にも、作曲者として表に出づらい事情があり、佐村河内が単独の作曲者と表記するようになった」と説明しているが、本当のところは分からない。「表に出づらい事情」と言うより、自分の名前で出したって誰も相手にしてくれないけど、「現代のベートーベン」名義で出せば売れるだろうから、ゴーストライターになったんだろう。それなのに、今になってゴーストライターが名乗り出たってのは、何か金銭的なトラブルでも発生したのだろうか。彼の話を鵜呑みにすれば、彼はこれまで700万円もらったらしい。まあ、大した額ではないから、もっと欲しかったのだろうか。
おまけに、ゴーストライターは「佐村河内は耳が聞こえていると思う」なんて爆弾発言までしている。つまり、耳が聞こえないからゴーストライターに頼んだのではなく、そもそも自分で作れないから作曲を丸投げしていた、みたいな言い方だ。

マスコミがこれまで「被爆2世の現代のベートーベン」なんてバカみたいにもてはやしてきたおかげでCDの売上も多く、「交響曲HIROSHIMA」は20万枚近くも売れてきた。
当然ながら、これらCDの出荷やインターネット配信は停止となり、コンサートツアーは中止、書籍も絶版・回収となって、まさに大騒ぎだ。

(石材店)「マスコミ報道の大きさから見れば、大スキャンダルみたいですが、クラシックに造詣の浅い幹事長のご意見は?」
(幹事長)「知識も関心も全く無いから分かんない」


この業界に関しては、造詣が浅いどころか、造詣は皆無なんだけど、今回の大騒ぎについては、私は否定的だ。佐村河内について否定的と言うのではなく、「大騒ぎ」に対して否定的だ。佐村河内ナントカっていう人については、そもそも全く知らないので、何の感想も無い。しかし、愚かなマスコミ共の大騒ぎに対しては冷ややかだ

クラシックに限らず、そもそも音楽は、作品が重要だ誰が作ったか、なんて関係ない誰が作ろうが素晴らしい作品は素晴らしいままだし、どんな著名な作曲家が作っても、つまらん作品はクズだ。盗作はいけないが、ゴーストライターとの合意の上で発表していたのであれば、素晴らしい作品なんだったら価値は変わらない。
それなのに、バカなマスコミどもは、「被爆2世で耳が聞こえない作曲家」というだけでバカみたいにもてはやしてきた。作品そのものをもてはやしてきたのではないのだ。もし作品自体をもてはやしてきたのなら、作曲者が誰であろうとも、評価が変わるはずはない。

これは、どこかで見た風景ではないのか?デジャブ?
そう、食材偽装表示事件と全く同じ構図だ

食材偽装表示についても、僕の見解は「全くどうでもいい問題」だ。僕には偽装された食材の違いが分からないし、自分で食べてみて違いが分からないような食材について、偽装であったとしても、それを非難する資格は無いと思う。本当の食材が何なのか自分の舌で分からない人が、非難する資格は無い。表示の意味も理解していない人が、非難する資格はない。逆に、食べてみて自分の舌で「あれ、これ不味いぞ」って分かる人なら、表示が何であれ、二度と食べないだろう。そういう違いが分からないくせに、意味も無くブランド食材に惹かれる愚かな消費者の存在が食材偽装表示事件を招いたわけだ。自分の舌で分からないような違いに価値を見いだすなんて、ほんとアホらしい事だよ。

今回の作曲偽装事件も、同じ構図だ。作品自体の価値なんて、実はよく分からないけど、て言うか、作品自体の価値なんて実はどうでもよくて、「被爆2世で耳が聞こえない作曲家」が作ったから、ありがたがって聞いていた消費者が「騙された」と言って騒いでいるだけだ
音楽はあくまでも作品そのもので評価されるべきだ。て言うか、普通そうだろ?つまんない作品を、作曲者の名前で惑わされて聴いたりするなんて、愚かだ。愚かすぎる。
食材にせよ音楽にせよ、意味の無いブランド表示に惑わされることなく、あくまでも自分の舌や耳で価値を判断しようではないか

(2014.2.6)



〜おしまい〜





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