自転車泥棒1600kmの旅

〜 超人的自由人 〜



とんでもないニュースが飛び込んできた。
高知県警が、自転車3台と缶ビール1本(計1万5000円相当)を盗んだとして、住所不定の43歳の男を逮捕したんだけど、この男、なんと盗んだ自転車に乗って、千葉県から鹿児島県まで1600km以上を移動していたのだ。

(幹事長)「こいつ、すごいと思わんか!?」
(石材店)「さすがに、これはすごいと思います!」


この男は「バーの経営がうまくいかず、人生が嫌になって放浪の旅に出た」とのことなんだけど、去年の7月、住んでいた千葉県を出発し、去年の12月に鹿児島県で逮捕されるまで、長野、新潟、広島、高知、宮崎各県などを経由して、自転車を次々と乗り換えながら、少なくとも1600kmを自転車計4台を使って移動したのだ。
逮捕されたのは、自転車3台と缶ビールを盗んだ容疑なんだけど、指名手配されていたため、鹿児島県で野宿していたところを警察官に見つかって逮捕されたのだ。

(石材店)「たった1万5千円相当の窃盗で指名手配ってされるんですねえ」
(幹事長)「これは、これで驚きだよなあ」


指名手配って、殺人事件とかひき逃げの場合だけだと思っていた。
それはともかく、移動距離の1600kmってのは、警察が算定した最短距離であり、実際にはあちこち寄り道しているだろうから、2000kmは走っていると思われる。2000kmと言えば、以前「番外編」のコーナーの「青森〜長崎 4000kmドライブ」の記事に書いたけど、青森から長崎までの片道距離だ。車で走っても発狂したくなるほどの距離だ。それを自転車で移動だなんて、もう信じられない。

(石材店)「しかもママチャリですよね?」
(幹事長)「たぶん、そうだと思う」


なにせ、窃盗の容疑が自転車3台と缶ビール1本で計1万5000円相当ってことだから、自転車1台5000円相当だ。1台5000円の自転車って、中古の価格だろうけど、それにしても安い。安すぎる。おそらくは新品でも1万円くらいの中国製のママチャリに間違いないだろう。
去年の春からロードバイクにはまっている私としては、長距離を自転車で走る喜びは分かっているが、それでも、僕の場合はロードバイクに乗って100km程度が限界だ。それ以上になると、たぶんお尻が痛くなって苦痛になると思う。

(幹事長)「ママチャリならお尻は痛くないかも」
(石材店)「でもママチャリで100kmは乗れんでしょ?」


ママチャリで1600km以上だなんて、超人的活躍

捕まった時の所持品は、着替えと小銭、日本地図などで、「スーパーで万引きして食いつないだ」と言っている。最初はお金も持っていただろうけど、何ヶ月も万引きで食いつなぐことってできるのだろうか。これもすごいよ。
日本地図を持っていたって事は、放浪の旅ではあるけど、何も考えない行き当たりばったりでもなかったようだ。なかなか楽しい。

それにしても、人生が嫌になって出た放浪の旅と言うには、あまりにもバイタリティーに溢れている。人生が嫌になってるのに、こんなに元気って出るものなのか?
これだけの根性があれば何か他にもっとすごい事ができるような気もする。それとも、意外に気楽で楽しい旅なんだろうか。
あるいは、人生が嫌になると、小さい事にはこだわらなくなって割と平気で大きな事ができるのかもしれない。

それにしても、千葉県を出て長野県を経由して新潟県まで行った段階ですごいと思う。新潟だよ、新潟。たぶん、この辺りで秋の気配を感じたのかも知れないが、その後は寒さを避けて南の方へ移動し、広島、高知、宮崎だ。新潟から広島ってのも、ものすごい距離だ。自転車で行くなんて信じられない。
その後は、広島からしまなみ海道を渡って高知へ行き、その後、宮崎だから、この辺りはそんなに苦しい旅ではないだろう。広島〜高知〜宮崎だけなら、僕でも走破できるかもしれない。で、鹿児島で野宿してて捕まったんだけど、いくら鹿児島でも12月だから、野宿には限界だっただろうな。つまり、この旅も潮時だったのだろう。ちょうどいい季節感だ。

(幹事長)「半年の自転車の旅だ。羨ましい限りだ」
(石材店)「やっぱり羨ましがってますか」


この自由さを、羨ましく思わずにいられようか。ただ、僕には、雨でも野宿して自転車の旅を続ける根性は無いなあ。

(2014.3.9)



〜おしまい〜





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