ワールドカップ ブラジル大会(その4)

〜 日本あっさり敗退 〜



ブラジルで行われている2014年FIFAワールドカップについて、これまで3つ記事を書いたが、全て審判による誤審疑惑の話であり、もっとちゃんと試合内容とか日本の戦いぶりについて書け、というお叱りの声を頂きましたが、そういうまともな話は、もう嫌になるくらいウンザリするくらいマスコミから溢れているので、これ以上、書いても仕方ないよな、なんて思っていました。それに、日本が勝っていれば嬉しくて書くけど、負けていれば書く気も起きないし。
ただ、しかし、こうもあっさり日本が敗退してしまうと、さすがに少しは言いたいこともあります。


どこも強かった。甘かった。

日本のいたグループCでは、結局、世界ランキング通りの結果となった。直前のランキングでコロンビア8位、ギリシャ12位、コートジボアール23位、日本46位だ。世界ランキングなんて当てにならない、コートジボアールとかギリシアなんて大して強くない、日本の方が強いかも、なんて言ってたけど、あまりにも甘かった。高い放映料を払って獲得した放映権の元を取るために、テレビを見てもらわなければ困るマスコミが、好き勝手に煽りまくっていたせいで、なんとなくグループCのメンバーなら日本が勝ち上がれるんじゃないかなんて勘違いしてしまっていたけど、そんな甘い考えは通用しなかった

もちろん、これは結果の話であり、どんなに強い相手でも、何度でも試合をしていれば、たまには勝つこともあるだろうから、今回のグループCのメンバーなら、勝つ可能性は、ある程度はあっただろう。同じ組み合わせで、何回も試合ができるのなら、日本が勝ち進む可能性はある。ただ、勝つ確率は決して高いものではない。例えば、3〜4回やって1回勝ち進む程度か。圧倒的な強豪がいなかったため、なかなか良いグループに入ったわい、と喜んだ人も多かっただろうけど、圧倒的な強豪国でなくても、出場国はどこも強いのだ。死の組グループDで3強1弱と言われて草刈り場になると予想されていたのに、ウルグアイとイタリアを連破して1位で決勝トーナメントに進んだコスタリカなんか、その典型だ。


予選各試合の総括

日本の戦いぶりを振り返ると、コートジボアール戦の先取点は見事の一言に尽きる素晴らしいものだったけど、点を取られる時の脆さは目を覆うばかりだった。コートジボアールはチームとしての組織力は劣っていたけど、個々人の能力は日本人選手よりはるかに高く、取られる時は、あっという間に点を取られてしまった

ギリシャ戦では、ほとんどの時間、ボールを支配し、その意味では圧倒的に押していたけど、得点の可能性はあまり無かった。ゴール前にゴチャゴチャと大勢で攻め込んでいっても、相手もゴチャゴチャと大勢いて、まともな決定機は少なかった。逆にギリシャは、たまーにボールを取ると、一気に攻め込んできて、危ない場面を作られた。惜しいチャンスっていう意味では日本とギリシャは同じくらいあったから、圧倒的にボールを支配しながらも、決して試合を支配していた訳でもないし、惜しい試合でもなかった

コロンビア戦は、控え選手主体の相手にもかかわらず、結局、やはり、個々人の能力で見劣りした。先取点を取られたPKは大いに疑問だし、同点に追いついた本田と岡崎のプレーは素晴らしいの一言に尽きるが、やはり取られる時は、あっという間に点を取られてしまった。この試合も、ボール支配率は日本の方が上回っていたし、シュートの数も倍近かったから、そういう意味では押していたんだけど、決定的なシーンの数は日本もコロンビアも同じようなものだったし、しかも日本は1回しか得点できなかったのに、コロンビアは3回も得点した。なので、決して試合を支配していた訳でもないし、惜しい試合でもなかった

結局、攻める時は時間も人もかけてゴチャゴチャ攻めて、なんとかたまには点を取るけど、取られる時は少人数であっという間に点を取られてしまった
得点を許してしまった原因は、攻めを優先した作戦によるものだろう。前回の南アフリカ大会の時は、大会直前までは今回と同じように、攻めを優先した作戦を模索していたけど、練習試合なんかで惨敗が続き、こらもう無理だわ、と最終的には諦めて居直り、徹底的に守備的にやって、隙があれば攻め込む、と言う、今回の日本戦で見せたギリシアのような戦い方が功を奏して、決勝トーナメントに進出できた。そのため、試合は超つまんない展開が続き、世界中のマスコミから批判された。だが、しかし、それでも決勝トーナメントに進出できたという事実は大きく、どんなに素晴らしい試合をやったって負けたら何の意味も無いんだから、勝ち進んだ事は大いに評価はできる。
それに対して今回は、もっと上まで行くことを目指して攻めの姿勢を貫き、そのため見ていて面白い試合運びを展開したが、どうしても守りが手薄になり、あっという間の失点を重ね、結局は、あっさりと敗退してしまった。
つまらない戦いをして勝つのと、ワクワクするような戦いをして負けるのと、どっちが良いのか、と言えば、当然ながら、何やったって勝つ方が良いに決まっている


マラソンとの共通点〜守りから入るか、攻めから入るか

実は、これは、マラソンも同じだ。最初から、できるだけペースを抑えて終盤までペースを維持できれば、或いは、あわよくば終盤で若干のペースアップができれば、結果としては良いタイムが出る。ただ、良いタイムって言ったって、最初から押さえて走ってるんだから、そんなに大した良いタイムが出るわけはない。守りから入っていったら、そこそこ良いタイムが出る可能性は高いが、すごく良いタイムが出るはずはない快記録を出すには、最初から攻めていかなければならない。ただ、最初から攻めた場合、結果的に快記録を出せる確率は1割以下だ。滅多にない。ほとんどの場合は、終盤に力尽きてしまうからだ。リスクは非常に高いのだ。ただ、珍しく最後まで力尽きずに快記録を出せた時は、ものすごく嬉しい。また、一段、上を目指すのであれば、最初から攻めなければ不可能だ。なので、どういう姿勢でレースに挑むのか、難しい選択となる。その時の体調が大きな決め手にはなるが、体調が良いと思って攻めたレースでも、大半は失敗している。

ワールドカップも、2006年のドイツ大会では、中田英寿らを擁して、過去最強と言われたけど、1勝もできずに予選グループで敗退した。逆に、弱いから守りに徹した2010年の南アフリカ大会では決勝トーナメントに進出できた。難しいところだ。
今回のメンバーは、過去最強とも思える布陣であり、それなのに、あっさりと敗退したことから、絶望的な気持ちも沸いてくる。世界では、もう永遠に勝てないのだろうか。


アジア勢は揃って惨敗

今回の惨敗で日本中が絶望感を感じているだろうが、もっと絶望しているチームもある。例えばブラジルと並ぶ優勝候補だったスペインや、死の組グループDでも一抜けするだろうと思われていたイタリアイングランドや、またポルトガルなど、その絶望感は日本の比ではないだろう。国民の落胆も激しいだろうし、選手も帰国したら身の危険を感じるだろう。
つまり、それほどワールドカップは厳しいものであり、日本ごときが決勝トーナメントに行けなかったからと言って絶望的になるのは生意気かもしれない。

だが、それにしてもアジア勢は、日本だけでなく、イランと韓国も同じ1分け2敗で敗退、オーストラリアは3戦全敗で敗退だ。4チーム合わせて0勝9敗3分で、4チームとも予選の各グループで最下位だ。
一方、地元の南米は出場6チーム中5チームが決勝トーナメントに進出だ。また、準地元の北中米カリブ海地域も出場4チーム中3チームが決勝トーナメントに進出だ。どちらも敗退したのは1チームずつだ。もちろん、もともと強い地域だけど、やはり明らかに地の利はあったのだろう。
逆に、もっとも強豪国がひしめき合うヨーロッパは出場13チーム中6チームが決勝トーナメントに進出だから、半分以下だ。またアフリカ勢は出場5チーム中2チームが決勝トーナメントに進出だから、ここも半分以下だ。なので、やはり遠く離れた場所で勝つのは難しいことが分かる。

しかし、まあ、それでも出場チームが揃って1勝もできずに敗退するなんて、アジア勢の圧倒的な弱さが暴露された訳であり、これじゃあアジア勢の出場枠がさらに減らされる可能性が出てくる。現在の枠は4.5だ。このうち0.5は南米チームとのプレーオフであり、今回で言えば、アジア5位のヨルダンが南米5位のウルグアイと対戦し、ボロ負けした。ウルグアイのランキングは7位であり、ヨルダンのランキングは63位だ。ヨルダンでなくても、日本が出ても韓国jが出てもイランが出てもオーストラリアが出ても、たぶん負けるだろう。つまり、0.5枠ってのは実質的には無いに等しく、その意味でアジアの枠は4だ。なので、現在の枠の4.5が4に減らされる程度なら、実質的に何の被害もない。しかし、これが3.5まで減らされると、実質的には3枠になり、そうなると日本の出場は容易ではなくなる。客観的に考えると、やむを得ないかも知れないが、大きな危機感を感じる。

(2014.6.27)



〜おしまい〜





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