スコットランド独立住民投票

〜 無難な結果 〜



世界中の関心を集めたスコットランドの独立の是非を問う住民投票は、事前の予想に反して、大差で独立反対派が勝利した。無難な結果で良かったと言えば良かったが、残念な気もする。

(石材店)「どっちなんですか?」
(幹事長)「世界の安定のためには独立しない方が良いけど、国際紛争オタクの私としては、ちょっと残念な結果だ」


今回の住民投票が世界の関心を集めたのは、直前に行われた世論調査の結果が衝撃的だったからだ。8月上旬には独立反対派が20ポイント以上も差をつけて優位だったのに、なぜか独立賛成派が一挙に逆転し、初めて反対を上回ったのだ。てことで、ヨーロッパの大国であるイギリスの分裂が現実味をもって受け止められたのだ。

この世論調査の結果を受けて、通貨ポンドは急落するし、株価も値下がりした。さらに、本当にスコットランドの独立なんてことになれば、イギリスだけでなく世界の経済にも大きな影響を及ぼすのは避けられないし、また国連の常任理事国であるイギリスの核兵器がスコットランドを基地にしていることから、世界の安全保障にも影響を与えかねない重要な事態として注目されることになった。

住民投票の投票率は84.6%と、当たり前だがスコットランドの住民の関心が高いことを示した。そらそうだわな。香川県知事選挙とは関心が桁違いだ。そして、独立賛成が44.7%だったのに対し、反対は55.3%と10ポイント以上の差で上回った。世論調査の結果とは大違いだ。
マスコミがやる事前の世論調査なんて、この程度の精度だ。世論調査の手法には設問の設定の偏りとか対象の抽出方法とか問題が色々あるうえ、世論調査に真面目に答える人間がどれくらいいるのか、という根本的な疑問もある。ま、マスコミの言うことなんて信用してはいけないってことだ。

世論調査との差異はおいといて、なぜ反対派が勝ったかと言えば、独立すればイギリス政府が通貨ポンドの使用の継続を認めない姿勢を示したことや、独立すればスコットランドから企業が移転してしまうなど、経済が打撃を受けることが真剣に考慮されたことなどによる。独立賛成派は、独立すれば福祉が充実するなんて非現実的な事を言っていたが、経済が打撃を受ければ財源不足で福祉の充実なんて達成できないって事が理解された訳だ。

そもそも、なぜ今のご時世になって独立なんていう血迷った主張が出てきたかと言えば、景気の低迷などで緊縮財政が続き、地方予算の削減が進む中、住民の不満を背景に、独立を目指すスコットランド民族党が支持を拡大してきたからだ。どこの国でもそうだが、経済情勢が悪くなると、甘い言葉で人民を欺く民族主義者が勢力を伸ばす。どこの国でもそうだが、民族主義者って奴らは、悪いのは全部他の民族であり、自分たちだけの純粋な社会を作れば全ての問題が解決するなんて夢みたいな嘘を撒き散らす。

(石材店)「バリバリの民族主義者の幹事長とは思えないお言葉ですねえ」
(幹事長)「だから私自身は本当は民族主義者なんかじゃなくて、単に中国や朝鮮の民族主義者どもが嫌いなだけなんだってば」


事態をややこしくしたのは、イギリス政府と言うか、キャメロン首相の甘い見通しだ。住民投票したって絶対に反対派が勝つと楽観視して、安易に住民投票を認めたのだ。いくらスコットランド議会で民族主義者が第1党を獲得したからと言って、住民投票すれば独立反対派が大多数になるだろうなんて思ったのだ。しかし、思ったほどスコットランド人は理性的でも無かったようで、世論調査では賛否拮抗してしまったから大慌てになったのだ。

でも、そもそも、スコットランドなんて小さな国だ。面積は北海道より小さいし、人口だって北海道くらいだ。面積も人口も四国よりは少し大きいけど、ま、似たようなレベルだ。日本で北海道や四国が独立してやっていけるなんて考える人がいるだろうか。いたとしたら知能レベルが3歳くらいの人だろう。

スコットランドには北海油田があるから自立できるなんて幻想を抱く人間もいる。だがしかし、あまりにも短絡的だ。北海油田ごときで自立なんてできるはずがない。北海油田ごときで自立できるほど国の維持って簡単なものではない。北海油田ごときで通貨は維持できないし軍備も維持できない。どこからも相手にされなくなるだけだ。

(石材店)「結局、明らかに独立賛成派を批判しているじゃないですか」
(幹事長)「独立賛成派はアホだと言ってるだけだよ」


どう考えても、独立賛成派はアホだ。アホすぎる。知能が低すぎる。あなな小さな国が独立してやっていける訳がないではないか。

ただ、だからと言って私自身がスコットランドの独立に反対だという訳では決してない。あちこちで書いているように、私は国際紛争オタクだ。なので野次馬的にはスコットランドが独立して大混乱に陥る方が面白いので、それを見てみたかった。スコットランドが独立したら、イングランドと仲が良いウェールズにまで影響が及ぶかどうかは分からないが、間違いなく北アイルランドは無傷では済むまい。
また、スペインではカタルーニャ地方やバスク地方など、以前から独立の動きが激しい地域もあるし、イタリアも北部は独立派が多い。ベルギーだってオランダ系はフランス系の地域を切り捨てようとしている。スコットランドの独立は、イギリスだけの問題では終わらないのだ。世界の安定のためにはスコットランドの独立が否定されて良かったのだが、世界の安定を望まない人間にとっては、誠に残念な結果となった。

(2014.9.19)



〜おしまい〜





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