ギリシャ国民投票で緊縮策反対

〜 どこの国でも国民は考えが甘い 〜



財政破綻の危機にあるギリシャで、欧州連合EUなどが求める財政再建策を受け入れるかどうかの国民投票が実施され、予想と言うか期待に反して大差で反対が賛成を上回った
EUとの交渉をほっぽり出して唐突に国民投票の実施を打ち出し反対に投票するよう呼びかけていたチプラス首相は、勝利宣言して大喜びだ
当然ながら、これに対してEU側は態度を硬化させており、遂にギリシャが財政破綻し、ユーロ圏から離脱したりEUから脱退する事態が現実味を帯びてきた

(幹事長)「ギリシャ国民は何を考えてるんだ?あいつらはアホなのか?韓国民と同じアホなのか?」
(石材店)「今でも生活苦に喘いでて、これ以上の緊縮策は受け入れがたいんじゃないですか?」


ギリシャの事はギリシャ国民が決めれば良いことであり、はるかアジアの正反対にある我々は全く無関係であり、とやかく言う筋合いのものではない。

(幹事長)「しかし、それにしても、ギリシャ国民はアホなのかっ!?」
(石材店)「無関係と言いながら感情が出てますね」
(幹事長)「おかげで株は下がるしユーロは下がるし」
(石材店)「どうせ、そんなところだと思いましたよ。どこの株が下がってるんですか?」
(幹事長)「日本株はもちろん、アメリカ株も新興国株も、さらにその下の発展途上国株も全部下がってる!」
(石材店)「ちょっとリスク取りすぎ!」


本日、唯一下がらなかったのは中国株だが、そもそも中国株は、この1ヵ月で3割近くも大暴落していて、それをなんとか食い止めるために中国政府が露骨に介入した結果、本日は下落が止まっただけであり、本質的には、ギリシャ問題よりも、もっと深刻な事態だ。

(石材店)「でも中国株は、それまでに急騰してたんでしょ?」
(幹事長)「この1年で2.5倍くらいに上がってた」


なので、ま、1年前に比べれば今でも高値を維持してはいるんだけど。それを言えば、日本株もアメリカ株も新興国株も途上国株も、1年前に比べれば、まだまだ高値を維持している。そういう意味で、ギリシャの財政破綻が世界経済に与える影響は限定的だ

(幹事長)「いや、ちょっと待て。そんな事を言ってるのではない。何も個人的な損得でギリシャ国民を批判している訳ではない。冷静に考えて批判しているのだ」

ギリシャの財政危機が明るみになってから5年に及ぶ緊縮策のせいで、ギリシャ経済は疲弊が長引き、生活に疲れ果てたギリシャ国民の間に反緊縮の声が高まっていたのは理解できる。
しかし、だからと言ってEUから要求された緊縮策を受け入れなければ、即刻、国は破綻する。いくらこれ以上の緊縮策は嫌だと言ってみたところで、他にどこも助けてくれないんだから、それを拒めば、即、国は破綻する。いくら緊縮策が嫌でも、完全なアウトになるよりはマシだろう。ギリシャ国民はそれが分かっているのに、反対しているのか?あいつら、疲れ切って自棄になっているのか?いや、いくらなんでも、そうではないようだ。国が破綻してもいいと思うほど、そこまでやけっぱちという訳ではないようだ
それじゃあ、緊縮策を拒んだ結果、EUからの支援が止まっても、なんとか自分たちだけでやっていけると思っているのだろうか。いや、そうでもないようだ。そこまでアホでもなさそうだ。そこまで考えが甘い訳ではなさそうだ。
それなら、なぜ反対するのかと言えば、たぶん、緊縮策を拒んでもEUは見捨てないだろうと踏んでいるのだろう。自分たちの能力を過信するほど甘くはないが、EUが助けてくれるだろうと期待するほどには、考えが甘いんだろう。EUから「緊縮策を拒んだら我々は支援を打ち切るぞ。そうなると、お前らユーロ圏から離脱せざるをえなくなるぞ」なんて脅され続けても、まさか本当にそうなるとは思ってないのだろう。単なる脅しだろうと高をくくっているのに違いない。まさにチプラス首相の思惑通りだ。チプラス首相は「ユーロ離脱には反対だが、国民投票で反緊縮の意志を示せば、EUの譲歩を引き出せる」と主張していた。愚かと言うか気の毒なギリシャ国民はペテン師チプラスのデマを信じてしまったのだろう。可哀想に。

そもそも、EUとの交渉において、ある程度まで支援継続の道筋がまとまりつつあったのに、それを突然ちゃぶ台返ししてご破算にし、唐突に国民投票を持ち出してきたペテン師チプラスの行動に対しては、ドイツを始め、EUは不信感を募らせている。もうこれ以上ペテン師チプラスとは交渉しないと思われるので、国民投票の結果を圧力としてEUに支援継続を求めてきたって相手にしないと思う。
ペテン師チプラスは今回の国民投票の結果を受けて、「EUとの交渉を力強く進める力を与えてくれた」なんて勝利宣言しているが、彼がはしゃげばはしゃぐほどEU側は態度を硬化させ、6月末に打ち切られた支援は再開のめどは立たなくなり、ギリシャ経済の混乱が拡大してユーロ圏からの離脱に追い込まれるシナリオが一気に現実味を増してきた
いくらペテン師チプラスが勝利宣言して楽観的見通しを叫んだところで、現実は非常に厳しい。ギリシャの銀行の倒産を防ぐためギリシャ政府は1週間前に資本規制を導入して、1人あたりの預金引き出し額を1日60ユーロに制限したりしたが、そんなんでは足りず、ユーロの現金供給が枯渇するのは時間の問題であり、現金が枯渇したギリシャの銀行は営業を停止したままになるだろう。

それなのに、ギリシャ国民は国民投票で反対となれば、ギリシャはEUから譲歩を得られると勘違いしているのだ。この根拠の無い楽観論は、どこから来るんだろうか。南欧独特の楽観的人生観だろうか。財政が危なくなっている国と言えば、ギリシャの他にはスペインやイタリアなど南欧諸国が浮かんでくる。南欧諸国の人々は基本的に楽観的なのだろうか。ま、基本的に楽観的なのだろう。て言うか、真面目に働くより、楽しく過ごしたいんだろうな。
しかし、それだとしても、ギリシャ経済が破綻するのがこれほど明らかなのにノーと言う国民って、一体どういう精神構造をしているんだろう。南欧だから楽観主義者が多いってのは理由ではないと思う。いくら楽観主義者であっても、現時点の状況を冷静に見れば、緊縮策受入がやむを得ないってのは明らか過ぎる。いくら緊縮策が嫌だと言っても、支援打ち切りで国民全員がのたれ死にするよりはマシだ。それなのに反対するってのは、政治家に騙されているのだろうペテン師チプラスが「ノーと言えばEUが譲歩するぞ」って嘘ばっかり叫んだもんだから、それを信じた多くの国民が誤った判断をしてしまったのだろう

そして、これは南欧ギリシャに特有の問題ではない。どこの国でも同じだ。日本だって同じだ。例えば、「消費税増税に賛成か反対か」という国民投票を実施したら、圧倒的多数で反対が勝つだろう。同時に「社会保障の自己負担を増やすのに賛成か反対か」と問えば、やはり圧倒的多数が反対するだろう。この2つは完全に矛盾するのだが、国民は、そんな事は知ったこっちゃ無い。国をトータルとしてどうコントロールすべきか、なんて事を国民が真面目に考えるはずがない矛盾しようが何しようが、自分の負担になることは反対するもんだ。国民なんて、その程度の知能レベルしかないものだ。それをうまくコントロールするのが政治家という職業だ。彼らが矛盾する民意をうまく調整して妥協させなければ国は破綻する。
日本だって油断はできない。日本だって社会の敵である社民党なんかの野党は何でもかんでも反対している。何の責任も無いからだ。そして、反対すれば選挙の票になるからだ。自分が当選したいばっかりに、何でもかんでも反対している。完全な無責任野党だ。しかし、何でもかんでも反対したおかげで当選した政党が政権をとると、ギリシャを同じになってしまう。社民党なんかが政権を取ったりしたら、あっという間に日本は破綻するだろう。彼らは消費税増税(財源増)にも反対している一方で社会保障の自己負担増(支出抑制)にも反対しているから、あっという間に財政破綻するだろう。そうでなければ、彼らは支出抑制のために国防費を一気にゼロにするかもしれず、そうなるとあっという間に日本は中国に占領されてしまい、財政破綻どころか国が無くなるだろう。中国の先兵である社民党は喜ぶだろうが。
さすがにアホの骨頂である社民党は泡沫政党として風前の灯火だが、政権与党だって安心して見てはいられない。彼らも選挙の票が欲しいばっかりに、油断していると、すぐにバラまき行政に走りがちだ。財政的には日本も破綻しかかっているのに、なんとか持ちこたえているのは、産業力が強いからだ。

今回のギリシャの混迷から得られる最大の教訓は、「国民は考えが甘いので、国民投票なんか実施したら、国は路頭に迷う」ってことだ。国民投票なんかを実施するのではなく、国全体の利益を考えて、うまく政策を調整していくのが政治家の役割だ。

(2015.7.6)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ