廃棄カツ横流し事件
カレー専門のチェーン店CoCo壱番屋が廃棄物処理業者に処分を委託した冷凍カツが横流しされ、大きな騒動になっている。
壱番屋は、愛知県内の工場で製造した冷凍ビーフカツに異物が混入したおそれがあるとして、約4万枚の冷凍カツを廃棄処分するよう廃棄物処理業者ダイコーに依頼した。しかしダイコーは、壱番屋に「すべて堆肥化した」と嘘の報告をする一方で、冷凍カツを食品として製麺業者みのりフーズに横流しした。さらに、みのりフーズから複数の業者を介して、愛知県内のスーパーマーケットや弁当工場に売却されていた。
ダイコーは1枚30円で売却し、みのりフーズは33円で転売したと話している一方、名古屋市の食品会社は、みのりフーズから40円で仕入れたと話しているが、いずれにしてもボロ儲けには違いない。最終的に、食品スーパーでは1枚100円で販売し、すぐに売り切れたとのことだ。
警察は廃棄物処理法違反や食品衛生法違反での立件を視野に「食品の安全に関わる悪質かつ重大な事件。流通ルートなどの全容解明に努める」としている。
ダイコーは嘘の報告をして横流ししていたのだから、意図的な犯罪だ。ダイコーは、イオンやニチレイフーズなど大手企業から食品の廃棄委託を受けている。従業員50人程度の中堅企業に、なぜ全国から廃棄食品が集まったのかと言えば、廃棄処理料金が非常に安かったからだ。同業者は「破格の委託料で取引先を奪われた。考えられない安さだった」と話しているが、処理せず横流ししていたのだから、タダでもらっても利益が出るくらいだ。極めて悪質な犯罪だ。
しかし、みのりフーズはどうだろう?
みのりフーズはダイコーから購入したカツを転売する際、壱番屋の社名が印刷された箱から無地の箱に入れ直し、みのりの屋号を記したシールを貼っていた。みのりフーズは「箱を替えるようダイコーから言われていた。卸会社の社員と一緒に、壱番屋の段ボール箱から詰め替えたが廃棄品とは知らなかった」なんて話しているが、卸会社社員は「最初から同じ箱に入っていた。無地だったので屋号を付けさせた」なんて話しており、何が本当か分からない。ただ、みのりフーズも卸会社も、本当はみんな廃棄品だと認識していたのではないかと疑われる。さらには、スーパーの社長は「大手の規格外製品だと言われ、味も見た目も問題なかった。賞味期限が近い食品が出回ることはよくある」なんて話しているが、おそらくスーパーも怪しい商品だとは認識していたと思う。
そもそも、みのりフーズは廃棄物処理業者ではなく食品業者なのに、他にも大手食品メーカーの廃棄商品が次々と見つかっており、日常的に廃棄物を横流ししていたとしか思えない。
みのりフーズの経営者は、「タダでもらって売ったのならともかく、違法性があるとは全然思っていない。私ら昔食べる物が無いもんだから腐ったご飯も洗って食べた」なんて開き直っているくらいだから、明らかに確信犯だ。
(石材店)「トンでもない悪質な犯罪者ですねえ」
(幹事長)「そうなんだけど、みのりフーズの経営者が言ってることも分かるなあ」
(石材店)「分かるんですかーっ!」
日本は食料品の廃棄大国である。何でもかんでも、すぐ捨てる。そりゃ中国の食品のように毒性物質がいっぱい入っているようなものは売ってはならない。でも、「食べたって体に何の影響も無いくらいの異物が混入している可能性がある」っていうだけでも、大量の食品が捨てられているのは、本当にもったいない。
マクドナルド異物混入事件の時も書いたが、食品は人手が関わる余地が大きいから、どんなに品質管理を徹底したところで、食品への異物混入を根絶するのは不可能であり、それをいちいち目くじら立てて販売中止なんかやってたら食品業界はやってられない。問題になった時以外は公表されないだけで、色んな食品の中に色んな異物が混入しているはずだ。外食産業もスーパーで売られている食品も同じで、何が入っているか分からない。
マクドナルドだけでなく、外食の食べ物なんて、どこまで信用して良いのか疑問だ。以前は、みんな、そういう認識だったような気がする。少なくとも、私の周囲では、「チキンナゲットなんて本当はカエルの肉だ」とか言われていたし、「ハンバーガーだって実は犬の肉だ」なんて言われていた。チキンナゲットなんてどう見ても、何の肉か分からない。肉かどうかすら判別できない。ハンバーガーだって同じだ。何の肉なのか、全く分からない。みんな、そう思っていたのではないか?忘れたのか?外食なんて、そういうモノだっただろう?信用してはいけない。て言うか、それくらい許容して食べなければやっていけない。
ミートホープ社が牛ミンチに豚肉を混ぜていたときも豚肉混入ミンチ事件として大問題になったが、これだって消費者は気付かなかったのだから、いいじゃないかと思う。雪印の国産肉偽装事件もそうだし、うどん偽装表示事件もそうだし、米の偽証表示もそうだけど、これらの問題の本質は消費者側にあると考える。輸入肉を国産と偽ってとか、輸入小麦を国産と偽っていたくらいなら、まだ分かりやすいけど、豚肉を牛肉と偽っていたなんて、結構、大胆な事件だが、それを消費者は気づかなかっただなんて、ほんと、みんないい加減なものだ。自分の舌で違いが分からなかったのなら、文句言うなと言いたい。豚肉だけでなく、色んな動物の色んなクズも寄せ集めてたとのことだが、食べられるものは徹底的に活用する心構えは環境に優しくて評価できると思う。
ファミレスが、クズ肉を寄せ集めて固めた肉をステーキと称して売っていたのも問題になったけど、消費者が騙されて満足しているのなら、いいじゃないか。捨てるにはもったいない部分をうまく加工して、良い肉のように見せながら、安い値段で提供するなんて、すばらしい事だと思う。
食材偽装表示の記事にも書いたけど、要するに、自分で食べてみて違いが分からないような食材については、偽装であったとしても、それを非難する資格は無い。違いが分からないくせに、意味も無くブランド食材に惹かれる消費者の存在が偽装を招くのだ。意味の無いブランド表示に惑わされることなく、あくまでも自分の舌で価値を判断しようではないか。
ましてや、賞味期限が切れたとか、あるいは、もうすぐ切れるとかいう程度の物が平気で捨てられているのは許されないと思う。賞味期限なんて切れたって、体には何の悪影響も無いし、食べたって違いなんて分かりはしない。それなのに、神経質にヒステリックに騒ぐのはやめてもらいたい。少々、賞味期限を過ぎたくらいで、まだ食べられる食品をどんどん廃棄するなんていう無駄を繰り返していたら、環境に非常に悪い。そういう物を平気で捨てる感覚が信じられない。理解できない。あまりにも、もったいない。
今回の横流しについて、テレビなんかでは解説者や専門家が「思ってもみなかった悪質な犯罪だ。消費者を裏切る重大な犯罪だ」なんてわめいているが、本当に思ってもみなかったのだろうか。本当に思ってもみなかったのなら、アホだ。とても専門家とは呼べない。弁当屋の弁当やスーパーで売られている総菜の値段を見るにつけ、一体どうやったら、こんなに安く作れるんだろうって不思議に思う。あの安さを考えれれば、何か裏があってもおかしくはない、なんて考えるのが常識的な発想ではないだろうか。まともな物ではないと思わないのだろうか。そういう発想は無いのだろうか?無かったのなら、あまりにも脳天気と言わずにはいられない。
(2016.2.2)
〜おしまい〜
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