東京を不便に?

〜 気持ちは分かるけど的外れ 〜



自民党の務台衆院議員が「東京を便利にすると、ますます東京に来て子育てしようとなる。ある程度、東京に行くとコストがかかり不便だ、としない限り駄目だ」と述べことが、一部で問題視されている。
子どもが保育園に入れなかったのに怒って「保育園落ちた日本死ね」なんて書き込まれたブログが話題になっており、これに関連して発言したものだ。

(幹事長)「わっはっは。同感、同感。昔から私が思っていた通りの事だよ」
(石材店)「あんまりはしゃいでると矢が飛んできますよ」


昔から東京一極是正なんてスローガンが念仏のように唱えられているが、実際に効果的な手だては一切なされてこなかった。地方にも新幹線つくったり高速道路つくったりで、地方の不便さを解消する政策はとられてきたが、いくら地方を整備しても、それをはるかに上回るスピードで東京が整備されていくもんだから、東京と地方の格差は開くばかりで、相変わらず若者は東京に吸い寄せられていく。東京に人口が集中すると、当然ながら弊害も出てくるが、それを片っ端から解消していくと、次から次へとどんどん集中してしまう。もし弊害を放置しておけば、さすがに東京一極集中のスピードも弱ると思うのだ

(石材店)「幹事長も大学は東京だったのに、帰ってきたんですよね」
(幹事長)「あの殺人的満員電車に毎日乗るのかと思うと気が遠くなって」


なので、もし仮に、あの殺人的満員電車が無かったら、私も東京に残っただろう。私らが学生の頃に比べると、今は東京の満員電車のラッシュも緩和されて随分乗りやすくなっているので、今の時代なら、私らも東京に残っただろう。

(幹事長)「つまり、そういう事だ」
(石材店)「まあ、そうですけどね」


なので、本気で東京一極集中を是正しようと思ったら、東京を住みにくくしておくしかない。もちろん、政府は本気で東京一極集中を是正しようなんて思っていない。なぜなら政府の関係者は全員東京にいるからだ。
今回の問題とは違うが、政府機関の地方移転のモデルケースとして消費者庁を徳島県へ移転しようという話が出てきているが、これに対して当事者の役所はもとより、自己中心的な消費者団体どもが揃いも揃って大反対をしているのは、自分達が東京を離れたくないからだ。そもそも自己中心的で独善的な消費者団体のヒステリーどものせいで、どれだけ多くの人が職を失い路頭に迷ったことか。
なので、東京はますます整備されて人口集中による弊害が無くなってどんどん住みやすくなって、ますます人口が集中していく。本気で東京一極集中を是正しようと思っているのは地方の人間であり、今回の発言をした議員も長野県の選出だ。発言したのは「行き過ぎた東京一極集中を打破する議員連盟」っていう団体の設立総会だ。地方に住む人間にとっては納得できる発言だと思う。

ただし、東京を不便にすることによって人口集中を抑制するという基本方針は正しいとしても、少なくとも、今回の待機児童問題に関して言えば的外れではないか。
発言した議員は「東京で子育てしにくい環境を放置しておけば、それを嫌がって、子供を持つ女性は東京から移転するだろう」という期待を持っているようだが、本当にそうなるだろうか?そういう女性も中にはいるだろうけど、それよりも「東京に住むのは大前提で、それは変えられない。東京に住んでいると子供を育てにくいのなら、子供を作らない」って考える女性が多くなるような気がする。上に書いたように、私は満員電車が嫌で東京を離れたが、それは就職してすぐ直面する問題だ。しかし、子育てが難しそうだからという理由で学校を卒業したばかりの女性が東京を離れるだろうか?就職先を考えるときに、東京での子育ての難しさを優先的に考えるだろうか?ちょっとあり得ないような気がする。就職先を決める際は、他の要素が優先されるだろう。そして、何年かして結婚して子供を作ろうかって時になって初めて真剣に東京での子育ての難しさに直面するのだと思う。
そうなると、東京における待機児童問題を放ったらかしにしても、人口集中は抑制されないうえに、少子高齢化に拍車がかかってしまう。東京一極集中は大問題だが、少子高齢化はさらにはるかに深刻な大問題だ。なんとしても子供は増やさなければ日本が滅んでしまう。それを食い止めるためなら、東京に一極集中したってやむを得ないと思う。
東京での保育園整備と待機児童解消は喫緊の大問題だ

(2016.3.19)



〜おしまい〜





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