三菱自動車燃費データ不正

ドイツの自動車メーカーのフォルクスワーゲン（ＶＷ）が排ガス検査で信じられない不正を行っていた事に対してボロクソに非難したのは、つい半年前だったが、なんと我が国の三菱自動車も燃費試験のデータで不正を行っていた事が明らかになった。

三菱自動車の発表によると、２０１３年６月以降に販売された「ｅＫワゴン」「ｅＫスペース」と日産自動車に供給している「デイズ」「デイズルークス」の軽自動車４車種で、燃費を実際よりもよく見せるために燃費試験のデータを不正に操作していたらしい。三菱自動車が販売したのが１５万７千台、日産自動車が販売したのが４６万８千台で、合計台数は６２万５千台だ。どうでもいいが、同じ車なのに日産自動車の方が３倍も売ってるってのは、販売力の差を見せつけられる。
ただ、三菱自動車は「その他の国内市場向け車両についても、社内調査の過程で、国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことが判明しました」なんて発表しているから、対象車種は増える可能性が高い。

ＶＷの不正の時は、あんな世界的な超優良企業が、なぜあのような信じられない悪質な不正を働いたのが疑問を感じたし、またドイツは自国の国益だけを考えて行動している国だから要注意だと警告したが、今回の三菱自動車の不正は、単純に業績挽回の目的だろう。
業績が芳しくない三菱自動車は軽自動車に活路を見いだそうとしていたが、軽自動車の低燃費競争は激化の一途にある。自動車の中では、消費者の節約志向で燃費の良い軽自動車の人気が高まっているが、その中での競争は激しく、軽自動車の専業トップメーカーであるダイハツやスズキに出遅れる三菱自動車が、なんとか追い付こうとデータ操作に走ったのだろう。
ｅＫワゴンの燃費は、他社の同格の車と同水準のガソリン１リットル当たり２９．２ｋｍとうたっていたが、実際はこれよりも１割程度落ちるらしい。そもそも消費者は、メーカーが宣伝する燃費のカタログ値なんて最初から信用してなくて、せいぜい７割程度だろうと認識はしているが、今回の不正は１割程度の影響があるらしいから、実際の燃費はカタログ値に比べ６割程度が実態ということになる。いくらなんでも詐欺だよな。

これら４車種はエコカー減税の対象にもなっていて、本当の燃費だと減税幅が小さくなる可能性が高いらしい。三菱自動車は消費者に対してガソリン代の補填につい検討すると言っているが、結構、ややこしい問題だ。

三菱自動車側は、今回の不正操作は意図的だとは認めているものの、開発部門が勝手にやったかのように発表している。本当かどうか分からないけど、三菱自動車と言えば、２０００年にリコール隠しが発覚し、２００２年には車両の欠陥による死傷事故が相次いで、極度の販売不振に陥って会社の存亡の危機に立たされ、コンプライアンスに関しては全社員が身に染みたはずだ。それにも関わらず今回のような不正が起きたって事は、やはり上からの締め付けが厳しかったのではないだろうか。

今回の不正は、日産自動車からの指摘で判明したものだ。日産がどんなにやっても三菱自動車が示した燃費を達成できないため、合同調査を行ったら、三菱自動車の部長が「私が指示した」と証言したというのだ。
ただ、素人からすれば、最初に疑問に思うのは、国の検査をどうやってかいくぐったのかという事だ。ＶＷの不正の時は、車に搭載したソフトウェアそのものを不正に改造しており、国の検査の時に使用したソフトウェアと実際に販売する車に搭載するソフトウェアが異なっていたから国を騙せた。でも今回の燃費については、単なるデータの不正操作だ。一体どういう事だろう？
って思ったが、国が立ち会う試験はＶＷの不正と同じで、室内試験機を使用するらしい。その試験機の測定コンピュータには、空気抵抗や機械の摩擦抵抗やタイヤの転がり抵抗といったクルマ固有の走行抵抗のデータをインプットするんだけど、そのデータは自動車メーカーが実車で測定したデータを入力する。その数値を不正に甘く申告すれば試験結果が良くなるんだそうだ。分かったような分からないような。

て言うか、そもそも燃費の試験なんて、実際に試験コースの道路を走って測定するのかと思っていた！だから車を運転する自動車メーカー社員の腕の見せ所だと思っていた。機械の上に乗せて測定するなんて、あまりにも手を抜きすぎじゃないか？機械の抵抗をインプットして測定するなんて、なんか色々と誤魔化し放題のような気がする。燃費の試験は、実際の道路を走って測定して欲しい！

（石材店）「たしか幹事長は燃費向上に命を燃やしてましたよね」
（幹事長）「ハイブリッド車だけど、カタログ値を大きく上回る燃費を実現しているぞ」

２年前に買ったカタログ値２６ｋｍ/ｌのハイブリッド車だが、条件さえ良ければ平気で３０ｋｍ/ｌを上回る運転ができるようになっている。燃費の善し悪しは完全にドライバーの腕次第だ。

（２０１６．４．２１）