イギリスはEUを脱退するのか?

〜 心情的には分かるけど 〜



イギリスでEUの是非を問う国民投票が23日に行われるが、世論調査では離脱派と残留派が拮抗している。て言うか、ここへ来て離脱派が優勢になってきている

(石材店)「久々の大ヒットだった前回の記事から一転して、再び硬派な記事ですね」
(幹事長)「わし国際派やからな」


一体化は深まるばかりと思われていたEUが、ここへ来て離脱の動きが大きくなってきたのには理由がある。
なんと言っても大きいのが移民問題だ。イギリスの離脱派は、EU加盟国から毎年25万人程度の移民が英国に流入し、公的な医療や教育制度を圧迫していると主張している。ただ、この動きは急に始まったものではなく、元々ロンドンには世界各国からの移民が溢れている。それなのに最近、急に問題として取り上げられているのは、シリア等からの難民がEU中に溢れ、各国で大問題になっているからだ。これには、最初は難民に甘い顔をして難民のEU殺到を招き、慌てて制限を始めたドイツの失政によるところが大きいが、イギリスだけでなく、難民問題に直面しているハンガリーやオーストリア等で極右勢力が大躍進しているのは難民問題のせいだ。
また、重要な政策の決定権がEUに移りつつあるため、自国の主権が制限されているとの主張も大きい。EUが硬直した一律規制を各国に課すため、各国が柔軟な政策を取れなくなっていると言うのだ。これは、確かに、その通りだろう。ていうか、そもそも各国が一律の政策を行う事がEUの目的であるのだから、当たり前だ。それによって損害を被る人達はどの国にだっているだろう。それはEUに限らず、TPPを始めとする様々な国際協定や国際条約も同じだし、個別の貿易協定だって同じであり、それによって得する人もいれば損する人もいる。そして当然ながら、損する人は自分の生活がかかっているので声高に反対を叫ぶ。しかし、たいていの場合は、国全体で見れば利益の方が大きいのが普通だ。EUの政策はEU官僚が作る柔軟性に乏しいものが多いが、それでもトータルで見れば、EUに加盟して従う方がイギリスの国益にかなうだろう。

なので、常識的には、どう考えもイギリスはEUを脱退すべきではない。一部の人達はEU脱退によって感情的に嬉しいかもしれないが、どう考えても損失の方が大きい。EU脱退によりイギリスのGDPが長期的に縮小するのは確実だから、失業率は大幅に上昇し、ポンドも大幅に下落するだろう。EU脱退に喝采している人だって、結局は損する人が大半だろう。なので、イギリスはEUを脱退するべきではない。誰がどう考えたって当たり前の話だ。

しかし、感情的には異なる。いけ好かない高圧的なEUの官僚共に自国の政策の決定権を牛耳られるのは嫌だ。それは私だって嫌だ。
もともとイギリスはEUには距離を置いていた。EUは2回も起きた世界大戦の反省から、二度とドイツがフランスと戦争しないように作られた枠組みだ。あくまでもフランスとドイツを中心にした枠組みであり、イギリスは長らくEFTAを組織してEU(当時はEEC)とは距離を置いていたくらいだから、そもそもEUに対する感情は良くない。
て言うか、経済的な制度の統一はグローバル化が進む世界にあって大いに有益だろうけど、それ以外の政策でも統一するってのは、まさに主権の制限であり、さすがに抵抗が大きいのは理解できる。実際には移民が入ってきて経済が活性化していても、なんとなく嫌な感情を抱く人がいるのは理解できるし、そういう移民政策なんかでもEUの官僚が取り仕切って自分達の主権が侵害されていると考えればEUなんか脱退しちゃえっていう気分にもなるだろう。

(石材店)「じゃ幹事長はイギリスのEU脱退を許す、と」
(幹事長)「いや、わしは許さん!」


イギリスのEU離脱が現実味を帯び始めてから暴落するしユーロも暴落するしドルに対しても円高になるし、もう踏んだり蹴ったりの三重苦だ。

(幹事長)「ものすごい大損だ!」
(石材店)「やっぱり、そんなところですか・・・」


(2016.6.16)



〜おしまい〜





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