築地市場の移転延期

〜 はた迷惑なパフォーマンス 〜



舛添要一東京都知事の辞任に伴う東京都知事選挙は、思った通り、小池氏の圧勝に終わった。誰がどう見ても当然の結果で、驚きはない。相変わらずの不透明な候補者選びで反感を買った自民党や、理念も政策も無く知名度だけで候補者を決めた野党の野合には怒りすらこみ上げてきていたので、本当に良かった。
自民党が推した増田は元岩手県知事で役人上がりの実務型ではあるが、何のアピール力も無かったのに、与党候補と言うだけで勝てると思ったのだろうか。また、野党が野合して推した鳥越脳天気なテレビ業界人で、何の政策も知恵も無いお調子者だ。知事選挙で平和とか原子力問題を訴えたって誰も相手にする訳ないじゃない。そんな事も分からないピンボケ老人を推した野党の意識の低さにも呆れる

て事で小池氏が圧勝したのは当然だし、日本の健全な民主主義にとって大変良い結果だった

なんだけど、小池知事が突然言い出した築地市場の移転延期には、大いに疑問がある。

築地市場は作られてから80年以上が経って老朽化が著しく、また狭くて作業スペースが足りなくなっており、商品の品質や鮮度保持に良くないし、作業効率も悪い。そのため、当初は現在の場所での建て替え計画が持ち上がったが、それでは費用が高くつくし工期も長くかかるってことから、現在の計画である豊洲地区への移転が決定した。ただ、豊洲の土地は以前、東京ガスの工場があったため、土壌汚染されていた。これの対策もあり、結局、移転にかかる総事業費は当初予定の1.5倍の5900億円に膨れあがった

このように色々と問題を抱えた移転計画だったが、それでも新しい施設は既に完成し、11月7日には移転する予定だったのだから、今さら事業費が高いとか言ったって仕方ない話だお金はもう使ってしまっているのだから、今さら移転を止めたら、それこそ5900億円のお金が全くの無駄になってしまう

それなのに、なぜ小池知事が移転延期を打ち出したのかと言えば、恐らくは大衆受けを狙った新しい知事としてのパフォーマンスだろう
一応、移転延期の大義名分としては、新市場の地下水調査が終わっていない事を挙げている。「都民の納得、安心を優先させたい」として、11月に始まる最終調査の結果を待つべきだと言うのだ。確かに、既にオープンしてから調査するなんて、明らかに順序がおかしいが、だからと言って、仮に調査結果が悪かったとしたら、移転を取り止めるのか?そんな事できるのか?もう、あり得ないのではないか?

総事業費が5900億円にまで膨らんだことに対しても、「不透明であり精査する必要がある」としているが、いくら不透明でも、今さら精査したってお金が戻ってくる訳ではない精査するのはオープンして営業しながらでもできるから、事業費の精査は移転延期の理由にはなり得ない。
逆に、移転を延期したら、新市場の維持費に1日700万円もかかるとのことだから、ますます事業費は増える。何という矛盾だろう!

小池都政では、『もう既定路線でしょ。一度決めたなら。もう作ってしまったのだから。何も考えなくても良い』という考えはとりません」という考え方そのものは間違っていない。決まったことであっても検証すべき事は検証し、見直せるものは見直すべきだ。しかし、今回の問題に限って言えば、今さら見直せるものではない。検証はすべきだと思うので、どんどん検証すれば良いと思うが、だからと言って後戻りできる問題ではない。移転そのものは粛々と進めて、並行して検証したら良いだけの話だ。移転を延期するなんてのは、単にパフォーマンスに過ぎない

別に、東京地方の問題だから、どうでもいいんだけど、こういうはた迷惑なパフォーマンスをする知事ってのは、もう信用できないと思う。

(2016.8.31)



〜おしまい〜





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