シン・ゴジラ

〜 文句なく面白い映画 〜



遅ればせながら話題の映画「シン・ゴジラ」を見た
上映は7月末から始まっていたので、ほぼ2ヵ月遅れだ。上映開始間もなく上の娘が観に行って「めっちゃ面白いから是非、観に行って!」って言ってたけど、どうせしょうもない映画だろうと無視していた。ところが最近、ある経済人も講演で「あれは面白いから、是非、見て欲しい」なんて言ってたので、それならと思って観に行ったのだ。
結論から言えば、大変面白かった。まだ上映しているので、まだ観てない人は是非観て欲しい文句なく面白い!(多少は文句ありますけど)

あらすじは、東京湾に巨大生物(ゴジラ)が発生し、多摩川河口から上陸し、その後、いったん海に戻るが、再び鎌倉に上陸してから東京に再侵入する。当然ながら建物を破壊しながら進むので、自衛隊やら米軍が攻撃するが、全く歯が立たない。それでも最後には薬剤を口から注入して動きを止める、というもの。

ま、予想通りのあらすじであり、上の娘から聞いたのも同じような情報だったので、これだけだと何が面白いのか全く分からない。昔のゴジラ映画が着ぐるみだったのに対し、最新のCGを駆使したリアルな映像は楽しめるだろうけど、それだけだ。単にゴジラが出現して街を壊しまくるだけだ。いくらCGがリアルだと言っても、今さら、そんなん観てどれだけ面白いのか大いに疑問だった

ところが、CGのリアルさだけでなく、政府の対応が非常に面白かった。CGについて言えば、最初に出てきた巨大なツチノコのようなゴジラは気持ち悪いだけで何のリアルさも無くて趣味が悪かったし、後から出てきた本格的なゴジラも背中から光線を出すシーンはリアルさが無くてチャチかったけど、街を破壊していくシーンなどはとてもリアルで見応えがあった。しかし、面白さはそれだけでなく、政府内の役所の縄張り争いや前例主義や官僚主義がこんがらがって、まさに、とってもリアルで面白かった。石原さとみが演じる米国大統領特使とか、行方不明になった牧悟郎という謎の学者とか、ゴジラ対策の特命担当大臣に任命された矢口の活躍ぶりとか、さらに、アメリカや国連の対応とか、その設定や存在が余りにも不自然でバカバカしいし、ゴジラの設定としても、海洋投棄された放射性廃棄物に適応進化したとか、元素を変換する能力があるとか、余りにも無茶苦茶でバカバカしくて、苛立つというか腹が立つのだが、それを割り引いても、全体としてとても面白かった。

てな訳で、興行実績も順調で、大ヒットとなっている。ゴジラ映画は私が生まれる前の1954年に第一作が出て大ヒットし、その後、続編がどんどん出て、今回のは通算29作目になる。これらが全て大ヒットした訳ではなく、当然ながらマンネリ化してジリ貧になり、しばらく休止した後、再び斬新な設定でカムバックしてヒットし、またまたマンネリ化してジリ貧になり、ってのを繰り返してきたが、今回のも、12年ぶりのカムバックで、見事、斬新な作品で蘇ったって訳だ。アメリカ版のゴジラなんかは、どう見てもティラノザウルス系の恐竜であり、根本的に勘違いしていたが、そういう事もなく正統派のゴジラなのに、本当に面白かった。

ただ、東日本大震災などの自然災害や放射能被害との関連を彷彿とさせるシーンというか、それらの関連性を声高に吹聴する評論家には、ちょっとウンザリだ。そういう社会問題を娯楽映画に無理矢理に関連づけるような浅はかな議論には付き合いたくない。もちろん、製作者側にもそういう意図があったような気はするが、そんな下らない幼稚な訴えは無視して、純粋に楽しめば良いと思う。

(2016.9.28)



〜おしまい〜





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