ハンガリー国民投票が不成立

〜 ことごとく国民投票が失敗 〜



欧州連合(EU)による難民受け入れ分担の是非を問うハンガリー国民投票が実施され、分担策への反対が約98%に上ったが、有効投票率は約40%で成立条件の過半数に届かなかった

(石材店)「これまた日本人の99.7%が関心の無い話題ですねえ」
(幹事長)「これだけでなくイギリスのEU脱退の国民投票と、コロンビアの内戦和平協定の国民投票とセットで考えてくれたまえ」
(石材店)「イギリスのEU脱退は別としても、関心の無い話題をセットにされても盛り上がりませんが」


EUは難民が大量に流入する難民危機を受けて、昨年9月、イタリアやギリシャに滞留する難民16万人の受け入れを加盟各国が人口割合に応じて義務的に分担することを決定した。これに対しハンガリーなどの東欧諸国は反発したが、ドイツなどがEUの連帯を示すために計画を主導し、東欧諸国の反対を多数決で押し切った。ちなみにハンガリーは約1300人の受け入れが割り当てられていた。
その分担策決定から1年が経過したが、実行されたのは全部で5600人余りにとどまり、今後も大きな進展は見込めない。受け入れに積極的だったドイツもメルケル首相も「時計の針を戻したい」と失敗を認めている。ちなみにハンガリーやオーストリアなど反対の国々の受け入れ数はゼロだ。

今回のハンガリーの国民投票は、この決定、すなわち「非ハンガリー市民のハンガリー移住を義務化する権利をEUに与えていいのか」を問うものだ。シリア難民の多くはドイツを目指しており、ドイツもまた彼らを受け入れると公言した。だがしかし、ドイツを目指して海を渡ったシリア難民の多くは、その途中でハンガリーを通らざるを得ないのでハンガリーとしては迷惑だ。しかも、それだけではなく、EU加盟国として難民受け入れの分担まで求められ、それがEU理事会で決定されたのだ。つまり、ハンガリーを始めとする難民受け入れに反対している東欧諸国に言わせれば、「ドイツは勝手に難民受け入れを決めたくせに、他の国にまで負担させるなよ」と言うことだ。

移民問題は国家の権限」と主張しているハンガリーのオルバン首相は、移民とテロを結びつけるなど国民の不安を煽り、受け入れ反対を強く呼びかけていた。事前の世論調査では、受け入れに反対する意見が70%以上を占め、国民投票でも反対が多数を占めるものと見られていた。一方、政府の方針に反対する野党などは、勝ち目が無いと見て、投票をボイコットするよう呼びかけていた。投票率が50%に満たないと国民投票そのものが無効になるからだ。

ハンガリーはこれまでもセルビアとの国境にフェンスを建設して国境を封鎖し、難民を追い返すなどの過激な対応を取ってきており、今回の国民投票も特に驚くべき行動ではない。しかし、イギリスが国民投票でEU脱退を決定するなどという想定外の事態を受けて、EUでは将来のあり方を模索して混乱が続いている。ハンガリー、ポーランド、スロバキア、チェコは結束を深め、加盟国の主権強化を求める主張を強めているため、さらにハンガリーの国民投票で難民の受け入れが拒否されれば、ほかの加盟国の難民政策にも影響を及ぼすことも予想された

て事で注目を集めた国民投票だったが、投票結果は反対が約98%という政府側の圧勝だったが、有効投票率が約40%で成立条件の過半数に届かなかったため成立しなかった。反対派に対して勝ち目は無いと見た賛成派が、国民投票の成立を阻止するためにボイコットしたから、98%が反対という結果に意外性は無いが、投票率が40%しか無かったというのが予想外だった。これまたイギリスのEU脱退の国民投票やコロンビアの内戦和平協定の国民投票と同じで、事前の世論調査がいかに宛にならないかを立証した。おそらく、「賛成か反対か」と問われれば「反対」と答えるが、わざわざ投票に行くほどの積極的反対でもないって人が多かったのだろう。

イギリスのEU脱退の国民投票、コロンビアの内戦和平協定の国民投票に今回のハンガリーの国民投票と、3つ連続で国民投票で事前の予想をひっくり返す結果が出て、本当に驚きだ事前の世論調査がいかに宛にならないかという事だが、それにしても驚きだ。3つとも構造は同じだ。敢えて国民投票をする必要性が無い事案なんだけど、首相や大統領が、自分の政治基盤を固めるために、絶対に勝てると踏んで、敢えて実施した国民投票だったのに、失敗してしまったという情けない結果だ。みんな考えが甘かったということだ。

ただ、イギリスのEU脱退の国民投票やコロンビアの内戦和平協定の国民投票と異なり、今回のハンガリーの国民投票は、投票率が成立要件を下回って法的な根拠は無くなったとは言え、オルバン首相は圧倒的な反対多数の結果を受けて、「EUは民意を無視して意向をハンガリーに押し付けることはできない。われわれが誰と暮らすかは国民だけが決める」と勝利宣言し、今後も受け入れを拒む強気姿勢を崩していない。
投票が成立していれば、欧州各地で反難民・反移民や反EUを掲げる勢力を一段と刺激しかねなかったとの不安があったため、EU内では国民投票が無効となったのを受けて安堵の声も出ているが、事態がマシになったとも思えない。

(2016.10.4)



〜おしまい〜





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