福岡市大規模陥没事故

〜 驚くべき復旧の早さ 〜



福岡市博多区のJR博多駅近くの道路で発生した大規模陥没事故には驚いた。陥没する瞬間の衝撃的な動画がテレビで放映されていたが、最後の大陥没は約20メートル四方の道路が一気に陥没し、ものすごい迫力だった。しかも、最初の陥没から穴はどんどん広がっていき、そのまま周囲の建物まで飲み込みそうな勢いだったから、近くのビルから見ていた人は恐怖だっただろう。最終的には長さ30m、幅27mートル、深さ15mの巨大な穴になった。穴の壁には切断された色んな配管がむき出しになり、水やガスが漏れていた。
陥没する直前に周囲は通行止めになっていたため、けが人がいなかったのが不幸中の幸いというか、奇跡的に思える。

これが中国なら日常茶飯事の事故だろう。て言うか、最初にニュースで映像を見たとき、てっきり中国の事故だろうと思ったくらいだ。地下鉄工事の不手際とのことだけど、こんなお粗末な事故が日本で起きるなんて、本当に驚きだ。もう信じられない。中国と違うのは、直前に通行止めになっていた事だ。こんなに突然発生した事故なのに、素早く対応して人身事故を防いだのは素晴らしい。これが中国だったら、何台も車が落ち込んでいただろう。

そして今度は、復旧早さに驚いた。なんと、僅か1週間で復旧してしまった。当初は通常なら復旧に数ヵ月は要すると言われていたし、誰が見ても、もっともっとかかると思えるような事故だった。

なぜ、こんなに早かったかと言うと、事故そのものがあまりにもお粗末だったため、福岡市としては、できるだけ早く復旧させなければ面目が立たない。地下鉄工事を請け負っていた大成建設も汚名返上に必死になった。そして、土と砂とセメントを混合した流動化処理土による埋め戻しという特殊な工法を用いて作業を効率化し、ミキサー車や作業員を総動員してスピード突貫工事を実現させたんだそうだ。もちろん、色んな配管もズタズタにされていたため、埋め戻しだけでなく、ライフラインの復旧工事も総動員で行った。

この復旧の早さも、中国を彷彿とさせる数年前に中国で中国版新幹線の事故があった時、当局が事故車両をあっという間に土の中に埋めてしまったのを思い出す。なので、復旧が早かったのは良いことではあるんだけど、あまりに早かったから「本当に大丈夫なのか?」っていう疑念が生じる。そんなに慌てて埋め戻したら、また崩れていくんじゃないかって思ってしまう。

それと、事故の原因となった地下鉄工事は今後どうなるんだろう。これで地下鉄計画そのものが中止になるとも思えないけど、根本的に工事計画を見直さないと、再び似たような事故が発生する可能性があるから、大きな問題だ。
そもそも、今回の事故はトンネルの中に土砂が流れ込んで発生したものだから、トンネルが存在する限り、再発の危険性は無くならないと思うのだけど。

(2016.11.15)



〜おしまい〜





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