トンビにアンパンをさらわれた!

〜 突然の得難い体験 〜



それは、あまりにも突然やって来た。
一緒に並んで歩いていた私と支部長の頭の間を一瞬、風が横切ったかと思うと、いきなり目の前に大きな鳥の後ろ姿が出現し、次の瞬間には鳥は遙かかなたに飛び去って見えなくなり、後には空中にひらひらとビニール袋が舞うだけだった。

(幹事長)「な、な、な、な、何やっ、今の?????
(支部長)「ト、ト、ト、ト、トンビにアンパン盗られた!!!!」


場所は高速道路の淡路サービスエリアだ。私達はサービスエリアで昼食を食べた後、フラフラと外を歩いていたのだ。

(幹事長)「昼食でカレーを食べた後に、おやつでアンパン食べるのもどうかと思うが」
(支部長)「正確に言えばアンドーナツやけどな」


支部長は私の左側を歩きながら、右手にアンパンを持っていたから、アンパンは支部長と私の頭の間にあった。アンパンの位置は、ちょうど肩の高さくらいだ。そのアンパンを狙ってトンビは後方の空高くから一気に急降下し、アンパンを掴んで一瞬で飛び去ったのだ。そしてアンパンは口にくわえ、アンパンの入っていたビニール袋だけを手放したのだ。

(幹事長)「何か聞こえた?」
(支部長)「風の音しか聞こえんかった」


翼の先から先までの長さは1m以上もある巨大な鳥で、こんな大きな鳥が音も無くいきなり支部長と私の頭の間をすり抜けていくなんて、ものすごい技だ。私と支部長はすぐ隣同士を歩いていたから、翼を平行にしたまま飛んできたとしたら二人の頭に翼が直撃しただろうけど、耳のすぐ側をかすめて行ったとは言え、当たってはいないから、トンビは翼をV字型に上げてすり抜けたのだろう。こんな大きな鳥が後ろ姿とは言え、目の前にいきなり現れたら心臓が止まりそうになるほど驚く。

(ヤイ)「何があったんですか?」
(支部長)「ト、ト、ト、トンビにアンパンを盗られた!」
(ヤイ)「サービスエリアの建物に『トンビに注意して下さい』って書いてましたよ。不注意ですね」
(幹事長)「そななもん誰が読みますかっ!」


さすがは常に冷静沈着なヤイさんだが、普通はそんな警告文を見たって右から左に抜けていって頭には残らない。まさかトンビが襲ってくるなんて思ったことも無いからだ。

(幹事長)「ああ、恐かった!一瞬、タカかと思った」
(ヤイ)「トンビもタカ目タカ科に属しますからね」
(幹事長)「それやったら肉食じゃないの?アンパンなんか食べるん?」
(ヤイ)「カラスと同じで、下界に降りてきて雑食になってるんでしょうね」


トンビは油揚げをさらうくらいだから、同じく油で揚げたアンドーナツも好物なのだろうか
それにしても、あんな猛スピードで大きな爪で手でも掴まれていたら大怪我するところだ。

(幹事長)「て言うか、赤ちゃんなんか連れ去られたりしなんやろか?」
(ヤイ)「鷲じゃあるまいし、そこまで重いものは無理でしょう」


本当にびっくりした出来事でした。おしまい。

(ピッグ)「これって何かの教訓なんですか?」
(幹事長)「いや。ヤイさんじゃあるまいし、『常にトンビに注意しましょう』なんて誰に警告しろというんだ?」
(ピッグ)「でも、このコーナーって、何かしら意見を述べるコーナーですよね?」
(幹事長)「今回は、単に、この強烈な驚きの体験を伝えたかっただけです」


(2016.12.5)



〜おしまい〜





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