ふるさと納税をしよう

〜 やらなきゃ損だ! 〜



ふるさと納税制度ってのがある。もう何年も前からある。
簡単に言うと、自分が住んでいる市町村に収めている地方税を、代わりに自分の故郷の市町村に収めるっていう制度だ。厳密に言えば、故郷に寄付をすると、それと同じ額だけ住んでいる自治体へ納める地方税が軽減されるっていう制度だが、結果的には住んでいる自治体の代わりに故郷へ納税するって事になる。

この制度ができたそもそもの趣旨は、たぶん「故郷を後にして都会に出てきたけど、人口減少で衰退の一途をたどる故郷を少しでも救うために故郷に納税したい」って言う気持ちを汲んだ制度だったのではないだろうか。その気持ちはもっともだし、東京なんかへの極端な一極集中が進む中、均衡ある国土の維持のためには、とても素晴らしい制度のような気がする。地方で生まれ育つ中で、自治体もお金をかけているのに、大きくなったら東京へ行ってしまって何の貢献もしてもらえない。実利的に言えば、教育という先行投資でつぎ込んだ税金の元が取れない状況だ。また、故郷には年老いた親が残っているかもしれないし。なので、ふるさと納税制度の本来の趣旨には大賛成だ

ところが、寄付を受けた自治体が返礼品を出し始めた頃から制度の性格が歪んできた。本当の自分の故郷に限定して寄付をするのなら、お礼の品を出したって構わないと思う。懐かしい故郷からのお礼なら、素直に喜んで受け取れそうだ。ところが寄付をできる自治体は、本当の故郷に限ったものではなく、日本全国どこの自治体に対して寄付をしてもいいため、制度が歪んでしまったのだ。大半の人は、本当に自分の故郷なんかじゃなく、お礼の品として何が貰えるかだけを基準に自治体を選んで寄付をしているのが実情だ。

こんな制度は明らかにおかしい。全国の自治体が寄付金欲しさに競争し始め、お礼の品がどんどん豪華になっていき、納税者の方も、お得な品を必死に探して寄付をする明らかに制度の趣旨から外れている
日本全国で合算して考えれば、税収が減ったところと税収が増えたところがあるが、その額はプラスマイナスゼロではない。税収が増えたところも返礼品のコストがかかるから、その分だけ全国で合算すれば税収が減ることになる。本来なら住民の福祉のために使うはずだった税収が、お礼の品に使われてしまうのだ。
極端な例で言えば、実は自分が実際に住んでいる自治体に対しても、ふるさと納税制度は利用できる。自分が住んでいる自治体に寄付をすれば、同じ額だけ住民税が減るのだ。同じ額のお金を払うのに、普通の住民税じゃなくて寄付にすればお礼の品が貰えるのだ。呆れてモノが言えないほどおかしな制度だ。
ところで、一般には知られていないが、税収が減る自治体も、減った分の大半は国から地方交付税で補填されるため、実はあんまり痛くはない。なので、国の税収の中から、寄付を受けた自治体と寄付をした個人が利益を分け合うっていう制度であり、て事は、つまり、ふるさと納税制度を利用しない人が回り回って損害を被っている事になる。とことん不思議な制度であり、不公平な制度である。

こんな制度は、良識ある市民からすれば、明らかに亡国の制度だ。一体誰が発案したのか知らないが、あまりにも狂った制度だ。なので、私は制度の存在に大反対だった。なので、自分もふるさと納税制度を利用しようなどとは思わなかった
ところが去年の中頃、石材店から指摘された。

(石材店)「幹事長はふるさと納税制度を利用してないんですか?」
(幹事長)「あんな国を滅ぼすような制度は好かん!」
(石材店)「すごくお得なんですよ」
(幹事長)「骨付き鳥なんか貰っても仕方ないだろ?」


私の故郷の丸亀市では、お礼の品の筆頭は骨付き鳥だ。骨付き鳥は一鶴なんかへ行って食べればとっても美味しいが、家で食べても、そんなに美味しく感じるかどうか疑問だ。

(石材店)「何をトンチンカンな事を言ってるんですか。丸亀市じゃなくても、どこの自治体に寄付しても良いんですよ」
(幹事長)「それくらい知っとるわい!でも、どこに寄付しても、米とか魚とか肉が送られてくるだけやろ?面倒くさいだけや」
(石材店)「あれだけ利に聡い幹事長とは思えない無知ぶりですねえ」


石材店の話によると、お礼の品は、結構いろんなものがあるらしい。一時期、お礼の品として金券が送られてきて、それがインターネットオークションで転売される事例も相次ぎ、総務省は「制度の趣旨にそぐわない」てことで、厳しい指導があったらしいが、今でも探せば結構いろんな品があるらしい。石材店の部下で、私の元部下でもあるO川くんなんかは空気清浄機をもらったらしい。

(幹事長)「それって、いくら寄付したら貰えたん?」
(O川)「15万円です」
(幹事長)「じゅじゅじゅ、じゅうごまんえん!?そんなに多額の寄付が可能なのか???」


私の認識は根本的に間違っていたようだ。てっきり、せいぜい数万円を寄付して、貰うものといったら、せいぜい1万円分くらいの米や魚や肉なので、面倒くさいだけだと思っていたが、15万円も寄付して高額な家電製品を貰えるらしいのだ。

(幹事長)「それって絶対にお得やんか!やらなきゃ損やんか!!」
(石材店)「だから言ってるでしょ」


て事で、遅ればせながら、ふるさと納税について勉強した。寄付できる額は、自分が収める住民税の一定割合が上限になるので、住民税をたくさん取られている人はそれだけ多くの寄付ができる総務省のサイトでは、自分の年収や家族構成を入れたら、自己負担の目安を把握することができる。そして、上限額は27年度から倍増されたとのことで、私の場合を試算すると、結構な額になった。あまりにも認識とズレていた。もう驚きだ。もちろん寄付したら同じ額の返礼品を貰える訳ではない。まず、全ての人に自己負担2,000円が必ず発生する。でも、たかが2,000円なので誤算の範囲だ。返礼品は一般的に寄付額の3割から5割程度と言われているので、仮に3割としても結構な額の返礼品が貰える。ちょっと無視できる額ではない。いくら亡国の制度だって私がわめいても、制度を利用した人は得をして、制度を利用しない人が損をする構図に変化はないので、利用しなければ丸損だ

返礼品も探せば色々ある。基本は各地の名産品だから、石材店ちには、年中、全国各地の名産品がゴロゴロと転がっているらしいが、名産品以外でも探せば発掘できる。私が狙うのは、もちろん家電製品だ。家電製品は、制度の本来の趣旨からはずれるとか、換金性が高いとの理由で風当たりが強くなっており、ふるさと納税する際に一般的に利用されるポータルサイトの中には家電製品の取扱を止めたところもあるようだが、それでもくじけずに探せば発掘することができた。

まず最初はパソコンだ。娘には大学進学で親元を離れる時に立派なデスクトップパソコンを買ってやったんだけど、最近、ノートパソコンも欲しいなんてほざいている。あまりに厚かましいので無視していたが、タダで貰えるのなら利用しない手はない。て事で探したら、いくつかの自治体でパソコンを取り扱っていた。なんでふるさと納税のお礼の特産品にパソコンがあるのかと言えば、その自治体にパソコンの工場があるかららしい。なるほど。自治体ごとにパソコン工場の会社が異なるから、パソコンのメーカーも異なるし、スペックも色々ある。お値段や還元率やスペックを検討して、山形県米沢市から貰えるNECのパソコンにした。寄付した金額と、大手家電量販店で売ってる価格を比べた還元率は6割程度で、非常にお得感が強い。たぶん米沢市はNECから安く卸して貰っているのだろう。

次に出てきたのはデジカメだ。デジカメは昔から愛用していて、今使っているのは、去年の夏前に買ったばかりの5代目だ。どこへでも持って行けるよう、ズボンのポケットにも入る小型のデジカメで、とても使い勝手は良いが、当然ながら画質はイマイチだ。なので、海外旅行とかに持っていって、あちこちで撮りまくるには便利だが、登山なんかで気合いを入れて撮る場合には、ちょっとガッカリな時もある。なので、欲しいのは少し大きくて重くてもいいから良い画質が撮れるデジカメだ。探すと一眼レフから防水仕様のものまで各種あるが、いくら大きくて重くてもいいと言ったって、いまさら一眼レフってのは大きすぎて重すぎる。昔は登山する時も重い一眼レフを持って行ってたけど、いまは一眼レフでなくても良い画質のデジカメはあるので、ミラーレスで検討して、大分県国東市から貰えるキャノンのミラーレスカメラにした。通常のズームレンズと望遠ズームレンズの2本が付いたセットだ。寄付した金額と、大手家電量販店で売ってる価格を比べた還元率は5割程度で、これもお得感が強い。やはり国東市はキャノンから安く卸して貰っているのだろう。

パソコンにデジカメという大物を2つもゲットしたので、この時点で大満足となったが、まだ限度額までは数万円分残っている。でも、さすがに大物を買うには足りないので、後は普通の特産品でも貰おうと思って焼酎やらハムを探していた。ところが、なんと長野県小谷村からはモンベルのポイントが貰えるのだ。モンベルは登山用品メーカーで、登山に関心が無い人には何の価値も無いが、ペンギンズ登山部長である私には非常に価値がある品だ。これを知っていれば、パソコンやデジカメよりモンベルポイントを優先したかもしれない。還元率は5割で、例えば1万円寄付したら5千円分のモンベルポイントが貰える。モンベルポイントは全国各地にあるモンベルのお店で現金代わりに使える。て事で、残った寄付金は全額小谷村に寄付してモンベルポイントを貰った。

ところが最後に大誤算。総務省のサイトで何度も試算したのに、実際に年末にもらう源泉徴収票を元に正確に計算したら、なんと1万円ほど多く寄付し過ぎていた。がーん。ただ、これも一般に誤解が多いが、限度額を超えた分は全然戻ってこずに丸々損をするのかと言えばそうではなく、限度額を超えても所得税率に応じて、ある程度の額は戻ってくる。私の場合は、モンベルポイントのように還元率が5割の返礼品を貰う場合は、ほぼチャラになって、実害は1万円当たり数百円程度だった。

以上、とっても得をした気分で、実際に得をしているんだけど、逆に、これまで利用しなかった事が悔しい。27年から限度額が増えているので、27年にも同じようにパソコンとデジカメをセットでゲットできていた。26年までは限度額が半分だったとは言え、それでもパソコンかデジカメのどちらかはゲットできていた。

(幹事長)「超くやしーっ!」
(石材店)「そんな毎年、パソコンやデジカメばかり要らないでしょ」


個人的にはパソコンとデジカメとモンベルポイント以外には、特に欲しいものは無かったので、何年も利用していると、貰うものが無くなるかもしれないが、それでも、これまで利用しなかったのはもったいなかった。悔しい。

また、これまで利用しなかった理由として、大した額でもないし、大して欲しいものも無いし、面倒くさいだけだと思っていたからだが、実際にやってみると大して面倒くさくもなかった
以前は、ふるさと納税すると確定申告が必要だったが、最近はワンストップ特例制度てのができて、寄付する自治体が5つ以内の場合は確定申告が不要となった
でも、それ以外にも何か面倒くさいような気がしていたが、実際にはとっても簡単だった。特産品を選んで寄付する自治体を決めて寄付する、という行為は、全ていくつもあるポータルサイトからできる。その後は、自治体との書面とのやり取りがあるが、それで全てだ。後は特産品が届くのを首を長くして待つだけだ。一度やってしまえば驚くほど簡単だ。
寄付したら自己負担の2,000円を除き、全額が戻ってくるが、現金として還付がある訳ではなく、翌年の毎月の住民税が安くなるという仕組みなので、寄付したお金を取り戻すには1年以上待たないといけないが、確実に戻ってくるので不安は無い。

て事で、まだ利用していない人も大勢いると思うけど、こんなお得な制度は利用しないと損をする。上にも書いたように、本当に損をしている事になるのだ。是非みんなで利用しよう!

(2017.2.4)



〜おしまい〜





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