小沢健二の復帰
1990年代に人気を博しながら突然、引退し、長らく行方不明だった小沢健二が、今年になって突然、復活した。2月にはテレビ朝日の「ミュージックステーション」に出たようだが、残念ながら、その時は気付かずに見逃していたが、先日、NHKの「SONGS」に出演しているのを見た。
小沢健二は、それまでの邦楽シーンとは一線を画す新しいサウンドで人気を得る一方で、ファッションや言動でも注目を集め、「渋谷系の王子様」なんて恥ずかしい名前で呼ばれたこともある。それが、何を思ったのか突然引退し、長らく何をしているのかも良く分からなかった。元々気まぐれな気分屋で難しい人だったから、そういう引退もあり得るんだけど、特に説明も無かったから戸惑った人が多かった。結構、売れていたので蓄えはあったんだろうけど、そんなに長く隠居できるほど蓄えていたのかどうか疑問もあるので、何かしていたのかもしれない。
そして20年近くも引退が続いた後、今年になって突然、復活したのだ。
久しぶりに見る小沢健二は、当然ながら年相応に老けた中年男性にはなっていたが、思ったほど老けてもいなかった。ま、私自身が20年前と比べればめちゃ老けているから、自分との比較でマシだと思ったのかも知れない。
そして、肝心の歌も、そう昔と変わらない感じで、まあまあ良かった。
久しぶりに復活したシンガーってのは、たいてい、自分では昔のイメージでやっているんだろうけど、才能も枯渇して輝きも失って醜態をさらけ出すだけで、見るのが気の毒というか、目も当てられない惨状ってのが常だが、小沢健二はそうでもなかった。
相変わらず歌はヘタで、何十年も歌ってても相変わらずヘタってことは、歌の上手下手ってのは才能の問題なんだなあって思うが、昔以上にヘタになっている訳ではなく、昔と同じ程度のヘタさなので、問題はない。音程が外れないかハラハラしながら聴いていたが、とてつもなく不安定ながらも大きく外れることはなかったので、まあ良しとしよう。「声が出てない」なんてコメントも見受けられるが、いやいや、昔から声は出てなかったよ。自分の記憶を美化してはいけない。
歌詞についても、「くだらない社会学者が好みそうなフレーズで埋め尽くされていて、聴いている方が恥ずかしくなる」なんてコメントもあったが、いやいや、それも昔から同じで、昔から大した歌詞ではなかったよ。ただし、歌の間に朗読があって、それはさすがに恥ずかし過ぎて聞くに堪えなかった。相変わらず幼稚な人間だ。
それから、まるでアイドル歌手の振り付けのように恥ずかしい振り付けを見せる場面があり、自分だけじゃなくてバックコーラス陣も一緒にやらせていて、ぶったまげた。あれ、真面目にやってるんだろうか?どういう意図なんだろうか?あまりの恥ずかしさに言葉を失った。
でも、恥ずかしい振り付けは見なければいいし、下らない朗読は聞かなければいいだけであり、車を運転しながら聞く歌としては、昔とそう変わってなかったので、ちょっと嬉しかった。まあまあ、良かったじゃん!
(2017.10.6)
〜おしまい〜
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