東赤石山で遭難事故

〜 意外に危険な四国の山 〜



つい先日の11月5日(日)に新居浜市の東赤石山で、男性が登山中に行方不明になり、その後、捜索は続けられているんだけど、今になっても発見されていない

(ピッグ)「東赤石山って、ついこないだ幹事長も登ってましたよね?」
(幹事長)「そうなんよ。『
登山部の活動』に書いたように、その1週間前に登ったばかりだから他人事とは思えなくて」

行方不明になっているのは今治市の74歳の男性で、18人もの大勢のパーティーで登山開始したんだけど、登山開始後30分程で徐々に遅れはじめ、ついには体調が悪くなったとのことで、途中で一人で休む事にして、みんなと離れたらしい。ところが、みんなが帰ってきたら居なくなっていて、それっきり行方不明だそうだ
その後の捜索で、休憩していた場所から数百m離れた標高1400m付近の登山道から外れた斜面で、上着やタオルが見つかった。自分から衣服を置いていくとも思いにくいから、もしかしたら滑落して脱げてしまったのかもしれないが、まだ見つかっていない。

『登山部の活動』の記事に書いたように、東赤石山は思ったより厳しい山だった。もっとチョロいと思ってピクニック気分で登ったら、思いの外、急登が続き、登頂するのに時間もかかったし、稜線は岩稜帯になっていて、かなり危険な岩登りの連続だった。なので、遭難する人がいてもおかしくない、と言うか、遭難する人は絶対にいるだろうなあって思った
ただし、今回、遭難した男性らが入山したのは山の北側の新居浜市別子山の登山口で、山の南側の登山口から入山した私のルートとは異なるので、どういう状況なのかは分からない。また、遭難したのは尾根の岩稜帯ではないから、岩登りでの滑落ではない。なので、どういう状況で遭難したのか、よく分からない。

どこの山でもそうだけど、道に迷う事はよくある。先日、私が東赤石山に登った時も、注意深く歩いていたにもかかわらず、道に迷ったりした。北アルプスの人気の山々と違い、田舎の山は登山道の目印も整備されておらず、歩く人が少ないから踏み跡も不明瞭で、道に迷いやすいのだ。そして、いったん道に迷ってしまえば、小さな単独峰でない限り、なかなか這いだしてくるのは容易ではない道に迷った時は戻るのが大原則だが、滑落してしまえば戻ることもできなくなる
今回、遭難した男性は、一人で休んでいたが、他の連中が登頂して降りてくるまでには何時間もかかるから、それまでひたすら待つのも退屈だから一人で降りようとして動き始め、道に迷って斜面を滑落したのかもしれない。滑落したとしても、その場でじっと大人しく待っていれば、捜索隊に発見されただろうけど、普通は、体が動くのなら、なんとかしようと動くだろうから、ますますどこに行ったか分からなくなるだろう。
東赤石山は標高1700mほどだが、それでも夜は今の季節なら0℃近くまで冷え込むので、上着も失った状態で何日も過ごすのは厳しい。そんな大勢で、しかも手近な山を登っていただけなので、たぶんツェルトなんかは持っていないだろうし、食料だってどれくらい持っているのか疑問だ。まだ発見されていないが、状況は非常に厳しい

(ピッグ)「やっぱり山は怖いですよねえ」
(幹事長)「舐めたらあかんのやけど、他人事とは思えないなあ」


いい歳をして山に登る人に対して批判はある。私も自覚はしている。気持ちは若い頃のままで登るんだけど、体力や筋力がついていかず、思ったような登山はできない。でも、マラソンと違って登山は制限時間とか無くてマイペースで登れるから、歳とっても継続しやすい。なーんて思うのが間違いのもとだ。先日、東赤石山に登った時も、思ってたより時間がかかり、途中で急遽、ルートを変更して途中から下山した。歳とってくると、昔のようはハイペースでは登れないから、十分に余裕を持った行程を組まなければならない

単独登山に対しても風当たりが厳しい基本的に単独登山しかしない私は、苦しい立場だが、今回の遭難は18人もの大勢で登っておきながら、一人でパーティーを離れたという珍しい状況だ。男性としたら、誰かに一緒に残ってくれというのは心苦しいだろう。誰かを道連れにするのは心苦しい。なので、こういう場合は単独登山でなくても同じようなものだ。
体調不良の人を一人残して登っていった他の17人の行動は非難されそうだが、ベテランの登山者から「私は一人で休んで待っているから、みんなは上に行ってくれ」と言われたら、残して行くかもしれない。そもそも、18人のパーティーは、なんと全員が60代から80代の登山愛好家らしい。80代で東赤石山に登るなんて、すごいと言うか感心すると言うか、ぜひ私もそうなりたいところだが、いずれにしても高齢になればなるほど単独行動は危険だ

さらに、今回遭難した男性は「寝不足で体調が悪い」と訴えて残ったらしいが、寝不足で登山するなんて考えが甘すぎる、なんて批判も出そうだ。でも、私だって東赤石山に登った時は、3時に起きて出発したら、立派な寝不足だ。マラソン大会でも高知県の山奥の大会に出る時は相当な早起きをしないと間に合わないが、それ以上の早起きだ。でも、マラソン大会はタイムを争うものなので寝不足は大敵だが、登山はマイペースでゆっくり登ればいいので、多少の寝不足があったって平気だ。なーんて思うのも間違いのもとなんだろう。若くて体力のある頃なら無理もきくけど、歳とって体が弱ってくると、あんまり無理したら良くないんだろうなあ

てな事で、身近な山での遭難だけに、自分にとっても大きな教訓として肝に銘じなければならない。決して無理をしてはいけない。

(2017.11.11)



〜おしまい〜





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