大谷選手がエンゼルスに入団

〜 賢明な西海岸選択 〜



日本ハムからメジャー挑戦を目指していた大谷翔平選手がロサンゼルス・エンゼルスと契約することを決めた。私はエンゼルスという選択が良かったのかどうかは、あんまり分からない。アメリカンフットボールNFLのチームの事なら、各チームの特色から選手構成まで詳しく論評できるが、野球のメジャーリーグの事はあんまり知らない。ただ、西海岸のチームを選択したという事は共感できる

今どき二刀流なんてトンでもない事を平気でやってのける素晴らしい才能に溢れた大谷選手の争奪戦には全てのメジャー球団が参加していたが、早々にエンゼルス、ジャイアンツ、ドジャース、カブス、マリナーズ、レンジャーズ、パドレスの7球団に絞られていた事前の予想では、ヤンキースが本命だなんて言われていたが、早々に落選したのだ。ヤンキースは金銭面でも優位だと言われていたし、チームの構成が良いとか、ヤンキースタジアムが良いとか、大都市ニューヨークの魅力とかがアピールされ、それで大本命と言われていたのだが、大谷選手にとっては、全くどうでも良い事だったのだ。
と言うか、むしろ彼はニューヨークを嫌ったように見える。彼が候補として絞った7球団のうちエンゼルス、ジャイアンツ、ドジャース、マリナーズ、パドレスの5球団は西海岸にある。私は、それに大いに共感する。

私はかつてアメリカに留学する時、どこの大学へ行くか迷ったが、当然ながら各校の授業の内容も重要ではあるが、家族も連れていくことから、最も重要な要素として考えたのは気候風土だ西海岸は北部のシアトルから、サンフランシスコ、ロサンゼルス、そして南のサンディエゴまで、とても住みやすい気候風土だ。北のシアトルと南のサンディエゴを比べたら平均気温はかなり違いがあるが、夏と冬の寒暖の差が少ないということでは同じだ。湿度も低いので、どこに住んでも、とても住みやすい。街の規模も、ロサンゼルス以外の都市は適度な大きさで住みやすいし、ロサンゼルスだって大都市ではあるが、中心地がはっきりせず、ニューヨークやシカゴのように集積しているわけではない。東京が好きなタイプの人には物足りないかも知れないが、東京が嫌いなタイプの人間には西海岸の街は住みやすい。人種構成としても、アジア系が多く、日本人にとっては住みやすい。結局、私はシアトルに行ったが、気候風土だけでなく、文化的にも素晴らしい街だった。
でも東海岸になると、こうはいかない。留学する数年間には、1年足らず東海岸のワシントン市に住んだ。そして冬の寒さと夏の暑さに閉口した。これはワシントンに限らず、ニューヨークも同じだ。ワシントンとニューヨークは割と近いのでニューヨークにもしょっちゅう行ってたが、冬はアホみたいに寒いし、夏は蒸し暑い。シカゴはもっと夏と冬の寒暖差が大きい。またニューヨークもワシントンもシカゴも街の中心部は黒人街になっていて、夜は怖くて歩けない。大都市が好きな人なら、それでもニューヨークに魅力を感じるだろうけど、日本でだって東京を好きになれずに四国に戻ってきた私のような人間なら、ニューヨークには何の魅力も感じない。大谷選手も同じなんだろうと思う。

ヤンキースが早々に候補から落とされた事に対して、ニューヨーク・タイムズ紙なんかは「大谷は西海岸の小さな市場を望んでいる。大きな街を恐れている」なんて批判していたが、まさにその通りなんだろうと思う。大きな街を恐れていると言うか、大きな街に何の魅力も感じず、むしろ嫌悪しているのだろう。全く共感できる価値観だ。ニューヨーク・タイムズ紙は「ニューヨークは世界を見渡しても住むのに良い街だ」なんて書いているが、それは東京に住む人と同じく、大都市に住む価値観の偏った自己中心的な人の価値観だ大都市に住む価値観の偏った自己中心的なマスコミの価値観だ。大都市に魅力を感じない人は、いくらでもいる。

話は全くそれるが、今だにニューヨークなんかに住む人は、なぜトランプがアメリカ大統領に当選したのか理解できないようだが、アメリカ人の半分はニューヨークに住む人と考えが異なるという事だ。そしてニューヨークのマスコミは、そんな簡単な事が分かっていないのだ。なぜなら、彼らは自分たちこそが正しいと思っている自己中心的な人たちだからだ。

(2017.12.9)



〜おしまい〜





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