北朝鮮が韓国との合同チームで平昌五輪参加

〜 弊害だらけの政治利用 〜



まもなく開催される韓国の平昌オリンピック北朝鮮が参加することになった
開会式では「統一旗」を掲げて南北合同で入場することで合意したようだ。参加する選手はスケートやスキーなど計22人だ。そして一番問題になっているのは、女子アイスホッケーに北朝鮮が韓国との合同チームで参加することだ。

何が問題かというと、各チームの選手数の上限は23人なのに、韓国は自国の選手23人にプラスして北朝鮮の選手を上乗せしようとしていることだ。消耗の激しいアイスホッケーでは、試合中の選手交代が自由であり、当然ながら選手の数が多い方が有利になる。このようなルールの公平性を損なう動きに対し、初戦で韓国と対戦するスイスを始め、同じ組で韓国と対戦する日本などが「1チームで参加するのなら定められた人数で戦うべきだ」と反発している。

韓国の対応にも同情の余地はある。動きの激しいアイスホッケーは攻撃と守備のユニットを複数セットつくり、戦況などに応じて頻繁に交代しながらプレーする。開幕まで1ヵ月を切り、チームづくりは仕上げの時期に入っているため、韓国としては既に決まっている代表選手を外すことは避けたい。そのため、合同チームは作るものの、現在のメンバー構成に北朝鮮選手12人をプラスする事で影響を最小限に抑えたいのだ。つまり、人数を増やさずに同じにするのであれば、合同チームの結成は、必ずしもチーム力の強化にはつながらないということだ。韓国代表チームのアメリカ人監督は、北朝鮮選手が韓国チームの戦術を短期間で理解することの難しさと組織力の低下を懸念している。

今回の合同チームの結成は、必ずしもチーム力の強化にはならず、むしろ弊害の方が大きいかも知れない。それなのに合同チームを進めるのは、所詮、最初から期待していないからだ
もともと韓国も北朝鮮も、そんなに強いわけではない。オリンピックには8ヵ国しか出場できないが、韓国の世界ランキングは22位、北朝鮮は25位だ。男子サッカーの世界ランキングなら22位や25位と言えば強豪だが、女子がアイスホッケーをしている国は極めて限られているので、22位や25位は弱い方だ。ちなみに日本は現在9位だ。
そんな弱い韓国がなぜオリンピックに出場できるのかと言えば、開催国枠で出場できるからだ。夏も冬もオリンピックは開催国は色んな種目に出場できる。大会を盛り上げるためには地元チームの参加は不可欠であり、サッカーのワールドカップだって開催国は無条件で出場できるから、開催国枠の存在自体は悪いことではない。しかし、その開催国枠を利用して、ちゃっかり北朝鮮を潜り込まそうとすることに無理がある。選手の数の上乗せが認められれば、フェアプレーの精神に反することで批判され、逆にルールを守って規定通りの数に抑えるのであれば、合同チームの結成のせいで韓国選手の一部が代表を外されるという悲劇になる。

韓国の李首相は、「そもそも韓国の女子アイスホッケーチームはメダル圏内ではないから、どうなっても影響はない」という趣旨の発言をしている。もともと弱いチーム同士が一緒になっても、強くも弱くもならないと思っているようだ。その認識は正しいだろう。でも、この発言に対し、韓国選手の心情を踏みにじるものだとの批判が巻き起こった。一生懸命練習してきて、晴れ舞台でプレイできると思っていたところで、いきなり政治利用されておかしな事になった選手に対して、同情の声が上がっている。ただし、韓国の選手だって、開催国枠で出られるだけであり、もともとレベルは低いのだから、仕方ないじゃん、って言いたくもなる。

韓国政府は、なぜ強引に合同チーム作りを進めるのかと言えば、もちろん政治的な効果を狙ってのことだ。核兵器の開発に邁進するテロ国家である北朝鮮に対して、世界の多くの国が圧力をかけている中、韓国の文大統領は北朝鮮と仲良くしたくて仕方ないようだ
その狙いは、もちろん、北朝鮮との関係を改善した韓国大統領として名を残したいからだ。あわよくば自分の手で友好的に祖国を統一したいという野望もあるだろう。誰がどう考えても、北朝鮮が安易に韓国と融和するはずがないし、核兵器の開発を停止する可能性も無いのだが、頭の悪い文大統領は奇妙なまでに楽観的だ
そして、彼は政治的野望を実現するためにオリンピックを利用しようとしているのだ。オリンピック初の南北合同チームは、緊張関係が続く朝鮮半島で韓国が融和ムードを高める狙いがあるのだ。このような韓国政府の強い働きかけに対し、IOCも積極的だ。IOCも便乗して平和の成果を宣伝したいのだろう。
オリンピックを政治利用してはならないというのが世界の共通認識だが、これまたうわべだけのきれい事だから、政治利用するのは仕方ない。しかし、誰が考えても何の成果も得られない政治利用は無駄だ。無駄というより、北朝鮮が核兵器開発を絶対に放棄しない中で、南北融和を印象づける演出は、北朝鮮の政策を容認することであり、むしろ世界平和に対する挑戦だ
て言うか、核兵器の開発に驀進する北朝鮮と手を組む一方で、日本に対しては解決済みの慰安婦問題でいつまでもしつこく言いがかりをつけてくる韓国は、完全に日本の敵だとの認識を持たなければならない。

(2018.1.23)



〜おしまい〜





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