女子マラソンの明るい未来!

〜 大阪国際女子マラソンで新星が続々誕生 〜



昨日、大阪で開催された第37回大阪国際女子マラソン初マラソンの松田瑞生(みずき)選手が2時間22分44秒の好タイムで優勝した
このタイムは、初マラソンとしては日本の女子選手として過去3位で、日本の女子選手の歴代記録としても9位にあたる好タイムだ。

(ピッグ)「珍しくマラソンの話題ですね」
(幹事長)「何を言ってるんだ。ここはマラソンサークルのホームページだぞ」
(ピッグ)「その割には、マラソンの話題がほとんど無いじゃないですか!」


彼女は昨夏の世界選手権女子1万mの日本代表だから、長距離での実績はあるんだけど、マラソンは初挑戦だった。いくら1万mで実績があってもマラソンでは必ずしも通用しないってのは、福士加世子で証明されている。福士はいつも前半は1万mの調子で快調に飛ばすんだけど、後半に一気に疲れが出て撃沈するのを繰り返してきた。1万mとマラソンは別物なのだ。
ところが松田選手は前半が1時間11分59秒なのに、後半はなんと1分以上速い1時間10分45秒とペースアップしている。信じられないスタミナだ。自分でも「後半に強いと自負している」なんて言ってるけど、まるで1万mのペースを最後まで維持したというか、ペースアップした感じだ。
フォームは見るからにパワフルで、まるで短距離を全力疾走しているかのような走りなのに、それを42kmも続けたのは驚異的だ。“腹筋女王”と呼ばれるほど肉体を鍛え抜いたおかげで体がぶれないようだ。
そして、両腕を突き上げて優勝のゴールテープを切ったときの笑顔をはじけさせた表情が、また素晴らしかった日本の女子マラソン界に、本当に素晴らしい新星が誕生した

しかし、今回の松田選手の好タイムは、彼女一人のおかげではない。もう一人、前田穂南選手素晴らしい挑戦があったからこその結果だ。
前田選手は女子陸上界の名門校である大阪薫英女学院高の松田選手の1年後輩だ。高校時代は3年間補欠で過ごした前田選手は、実業団の名門である天満屋へ入社し、松田選手より早くマラソンにデビューし、昨夏の北海道マラソンで優勝し、東京オリンピック代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得した。MGC獲得は彼女が第一号だ。そして今回、前田選手は25km過ぎに、突然、ペースランナーを追い抜いて先頭を独走し始めた。ペースランナーを振り切って突っ走るなんて、見てて感動のあまり涙が出そうになった。既にMGCを獲得しているという心の余裕はあっただろうが、それにしても果敢な挑戦だ
前田選手や、それを追う松田選手や安藤選手に置き去りにされてしまったペースランナーは見るからに気の毒だったけど、彼女は大会事務局に指示されたペースで走っていただけであり、何も彼女が遅かった訳ではない。結果的に言えば、今回のペースランナーの設定ペースは遅すぎたって事だろう。逆に言えば、それだけ3人の走りが素晴らしかったということだ。
スパート勝負で黒人には勝てない日本人が世界で勝っていくには、中盤から自分で仕掛けることが必要だ。前田選手が、終盤の失速を恐れずに勇気を持って実行したことは素晴らしい。顔を見ると大人しそうな前田選手だが、あの素晴らしい心意気に惚れ込んでしまった。
最初は前田選手の飛び出しに着いていけなかった(いかなかった?)松田選手だが、その後ジワジワと追いついていき、31km付近で追いつき、追い越して、その後はペースアップした松田選手の独走だった。しかし、それでも前田選手自身は自己ベストを5分も更新する2時間23分48秒の素晴らしいタイムだ。レース前の自分の目標は2時間26分と話していたから、自分でも驚く好タイムだ。もちろん優勝できなかった悔しさが大きくて、表情は暗かったが、前田選手の果敢な飛び出しがあったからこその松田選手の好記録であり、今大会の成功の立役者は前田選手だ

ただ、松田選手、前田選手と途中まで争っていた安藤友香選手だって見捨ててはいけない。松田選手と前田選手の大きく遅れたため全く注目されなくなってしまったが、彼女も堂々とMGCを獲得した。今回のレースでMGC獲得の条件をクリアしたってことは、決して惨敗とは言えない。単に松田選手と前田選手のタイムが素晴らしかったから目立たないだけだ。
そもそも安藤選手は、去年3月の名古屋ウィメンズマラソンに一般参加選手として出場して初マラソンを走り、2時間21分36秒の素晴らしいタイムを出した。このタイムは、初マラソンとしては日本の女子選手として過去最高だし、日本の女子選手の歴代記録としても4位にあたる堂々たるタイムだ。つまり今回の松田選手のタイムをはるかに上回る好タイムを出しているのだ。その後は低迷が続いているものの、まだまだ彼女も若いから大いに期待できる選手だ。
彼女が去年の名古屋ウィメンズマラソンで好タイムを出したときは、リオデジャネイロオリンピック女子マラソンで銀メダルを獲得したキルワに食らいついて走ったため、良い結果が出たものだ。なので、今回は大会事務局が用意したペースランナーが遅すぎたのでパッとした結果が出なかったが、もっと高速ペースのペースランナーがいたら彼女も好タイムを出したかも知れない。

てことで、去年、衝撃のデビューを飾った23歳の安藤選手に加え、22歳の松田選手21歳の前田選手という3人の若手選手が彗星のように現れた。まさにこれからの日本の女子マラソン界を背負って立つ救世主だ。

高橋尚子さま、野口みずきの黄金時代の後、低迷が続いていた日本女子マラソン界の将来が一気に明るくなってきた。素晴らしい!素晴らし過ぎる!!

(幹事長)「それに引き替え・・・」
(ピッグ)「自分の事ですか?」
(幹事長)「違うがな。男子のことやがな」


(2018.1.29)



〜おしまい〜





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