読書をしない大学生

〜 名ばかりの大学生 〜



全国の大学生のうち53%もの人が1日の読書時間が0分だとする2017年の調査結果が出た。50%を越えたのは調査が始まって以来の事で、勉強するのが本職の大学生にとって、これは衝撃的な実態だ
専攻別の内訳を見ると、文系が49%、理系が55%で、どちらも似たようなものだ。
また、読書時間が0分だと答えた割合は、アルバイトをしている学生が55%、していない学生が49%で、多少の差はあるが、ほとんど似たようなものだ。

読書は面白い。理系だった私は、自然科学の本も好きだったが、文学作品も好きだった。大学生の頃は、それこそ手当たり次第に乱読していた。毎日、昼食を抜いて浮いたお金で文庫本を買って読んでいた。昼食は食べたら消えて無くなるし、食べなくても我慢すれば済むが、本は残るし精神にも残る。あんなに楽しい読書をしないって事は、多くの学生は読書をした事が無いから読書の楽しさを知らないのだろう

今回の惨状の理由として「高校までに読書習慣が身に付いていない学生が増えている影響が大きい」との見解が出ているが、それはそうだろうが、問題のすり替えだ。そもそも高校生だって勉強するのが本職なんだから、読書をしない高校生が多いって事が大問題だ。たぶん、それ以前の中学生や小学生の頃から読書する習慣が無いのだろう。結局は家庭環境などが要因なんだろうか。

もちろん、考えられる最大の要因は、やはりインターネットの影響だろう。書籍や雑誌の販売額は13年連続で前年を下回っている一方で、電子出版の売り上げは伸びている。コミックス(漫画単行本)に至っては、2017年に遂に電子版の販売金額が紙の単行本を初めて上回った。もちろん漫画は読書には入らないが、漫画ですら電子版が主流になるご時世だから、読書が廃れるのも納得できる
ただ、情報はネットから入手できるが、読書によって得られる幅広い教養や知識はネットでは得られないし、様々な局面に対応できる理解力や想像力は磨かれない。

しかしながら、よくよく考えてみれば、他にも理由はある。大学進学率の上昇だ。私が大学に入った頃の大学進学率は3割以下だった。それが今では5割を越えている。2倍ほどに増えているのだ。2人に1人が大学生になってるんだから、そりゃあ色んな学生が増えている。昔の大学生と比較するのであれば、今の大学生の上位半分ほどだけを抜き取って比較しなければ意味は無い。
これは今回の調査だけではない。大学まで出ても、就職で苦労している人も多いが、2人に1人が大学を出ている時代なんだから、まあ仕方ないかなあ。

(2018.2.26)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ