90歳老女による交通死亡事故

〜 検査を厳しくしよう 〜



神奈川県茅ケ崎市の国道の交差点で、90歳の老女が運転する車が赤信号を無視して突っ込み、横断歩道を歩いていた人をはね、さらにその後、歩道に乗り上げて何人もの人をはねるという悪質な事故があった。被害にあった人のうち、女性1人が死亡し、3人が怪我をした

運転していた90歳老女は、赤信号に気が付かなかった訳ではなく、「赤信号とわかっていたが、歩行者が渡り始めていないので、行けると思った」と供述している。そして、歩行者や自転車が横断歩道を渡り始めたのが見えたので「驚いてハンドルを左に切った。ブレーキをかけた記憶はない」と話している。

この事故には大きな原因が2つある
1つは、90歳老女の遵法意識の乏しさだ。「赤信号とわかっていたが、歩行者が渡り始めていないので、行けると思った」との供述から分かる事は、歩行者さえいなければ信号なんか無視しても良いという遵法意識の欠落は、極めて悪質だ。高齢者の事故にありがちな「アクセルとブレーキの踏み違えた」といったうっかり過失によるものではなく、これはもう、事故と言うより重大で悪質な犯罪と言えよう

(石材店)「幹事長も遵法意識はかなり低いと思いますが」
(幹事長)「すまんな」


もう1つは、認知能力と運動能力の著しい低下だ。「赤信号とわかっていたが、歩行者が渡り始めていないので、行けると思った」と供述しているが、本当に歩行者はいなかったのか?もしかして、赤信号に変わった直後は本当に歩行者はいなかったかもしれない。赤信号に変わった直後なら、ま、普通は歩行者はいないだろう。しかし、赤信号に変わった直後から歩行者が出てくる事は、まともな認知能力を有していれば分かることだ
この老女は、交差点に入る手前で赤信号に変わった瞬間に歩行者がいなかったもんだから、そのまま突っ込んだんだろうけど、老女の車が交差点に突っ込んだ時点では既に歩行者は渡り始めていたのだろう。そして、認知能力が低下しているもんだから、すぐにはそれに気が付かなかったのだろう。あるいは、この老女は白内障があったと言うから、見えていなかったのかも知れない。いずれにしても、本当に歩行者がいなかったのではなくて、歩行者はいたけど気が付いてなかったのだもし気が付いていれば、停まる事ができたはずだ。なぜなら、この老女は、交差点のすぐそばの修理工場から車を発進させたばかりだったから、交差点に突っ込んだ時にスピードはまだ出てなかったはずだ。なので、歩行者が渡り始めたのに気が付けば、簡単に停止できたはずだ。つまり、この老女は歩行者が渡り始めたのに気が付いてなかったという訳だ。そして、最終的に歩行者をはねた時点で、歩行者の存在にようやく気が付いたんだけど、そこで停まればいいものを、何を血迷ったのか、ブレーキを踏むことなく、ハンドルを切って今度は歩道に乗り上げ、さらに人々をはねたのだ。認知能力と、それに対応した運動能力が著しく低下していたための事故だろう。

高齢者の認知能力や運動能力が低い事は、誰でも分かっている事であり、実際に交通事故を起こす確率も非常に高い。昨年の全国の交通死亡事故のうち、80歳以上の運転者による死亡事故は全体の7.2%と少ないように見えるが、発生確率は、75歳未満の運転者の平均に比べて、75〜79歳の運転者が死亡事故を起こす確率は1.5倍、80〜84歳は2.5倍、85歳以上ではなんと4倍近くに達している。もう走る凶器と言えよう。
日本は今後、さらなる高齢化が急速に進んでいく事から、早急な対策が求められるが、既に去年から75歳以上の人の免許更新時には認知機能検査が行われることになっている。そして、この90歳老女も、今年3月に認知機能検査で「認知機能低下のおそれなし」と判定されてゴールド免許に更新しているのだ。つまり、現在の認知機能検査は全く不十分だということが事が分かる。はっきり言って、形だけのザッとしたものだ。
実はこの90歳老女は、ゴールド免許は持っているものの、物損事故は過去に複数回、起こしている。つまり、認知能力の低下を示す証拠があった訳だが、そういう情報は反映されていない。

こうなると、例えば「80歳になったら免許を取り上げろ」なんて声がわき上がってくる。もっともな声だ。これに対して、公共交通機関が不便な田舎では「車が無かったら生きていけない」なんて反論もある。しかし、だからと言って事故で人を殺してしまってもいいという事にはならない。田舎でも車を持ってない人はいくらでもいるし、生きていけないと言うのなら、もっと便利な場所に移住する事を考えなければならない。
ただ、認知能力や運動能力の衰えは個人差が非常に大きいため、一律に年齢で制限するのは不適当だ。やはり検査を厳しくするべきだろう。それも免許更新の時だけでなく、高齢者は毎年、検査するべきだろう。また、物損事故などの情報を把握しきれないのであれば、それらを分かっている家族が免許や車を取り上げるなど、責任を持って対応すべきだろう。高齢者が交通事故を起こしたら、家族にも連帯責任を取らせるようにすればいい。

それにしても90歳の老女が交通法規を無視して車を乗り回しているなんて、本当に恐ろしい世の中だ。一昨年の暮れに、路地から飛び出してきた車にはねられて大怪我をした時、警察の人に「みんなが自分と同じように運転していると思ったら大間違いだ。世の中には色んな人がいるから、自分の身は自分で守るしかない」と言われて、目から鱗が落ちた。そうなのだ。みんな自分と同じように注意して運転しているとは限らないのだ。
確かに、高齢者ほど平気で信号のないところを、しかもゆっくりゆっくり渡ったりするし、運転している時は車優先とばかりに歩行者にすぐクラクションを鳴らしたりするし、マナーの悪い人は多い。歳とって自己中心的になっているのだ。また、私をはねたのは老人ではなく、若い作業員だったが、いかにもだらしなさそうな奴だった。こういう奴も自分勝手な人間が多い。

いくら運転していた方が100%悪くて罰を受けることになっても、痛くて辛い思いをするのは被害者だ。保険で幾ばくかの休業補償くらいはもらえるが、日本の制度では、辛い思いをした事に対する慰謝料は本当に雀の涙くらいしか出ない。辛くて不便な思いをする事に対しては、ほとんど補償されないのだ。いくら加害者が罰を受けたって、被害者が救われることは無い。なので、交通事故に被害にあわないためには、自己防衛として、高齢者やだらしなさそうな奴が運転している車には、できるだけ近づかないようにするしかない。

(2018.5.30)



〜おしまい〜





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