イングランドの八百長試合

〜 八百長は構わないが、日本を批判するな! 〜



ロシアで開催されているサッカーワールドカップで、日本が2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を決めたポーランド戦でのボール回しが批判を浴びた。日本のサポーターまでもがブーイングしていたのには驚いたと言うか、彼らの幼稚さに呆れたが、第三者が批判するのは理解できる。日本代表チームに対して何の思い入れも無い第三者としては、面白い試合を見たいだろうから、日本の大きなリスクを取った超過激な守りの戦法は見たくなかっただろう。その批判の急先鋒はイギリスBBCで、「最後の10分の両チームの行動は恥ずかしかった。決してワールドカップでは見たくないものだった。茶番になった」なんてボロクソに批判していた。

しかーし!その日本対ポーランド戦の後に行われたイングランド対ベルギー戦は、はっきり言って、もっとひどかった。両チームは負けたがっていたのだ。日本は負けてはいたものの、別に負けたかった訳ではない。本当は勝つか引き分けで終わりたかった。でも、そのままいくと、負けでは終わるにしても、それ以上失点しなければ決勝トーナメントに進出できる可能性が高かったから、負けている状態のまま終わらそうとした。あくまでも、それ以上の失点を防ぎたかっただけであり、何も負けたかった訳ではない。しかし、イングランドとベルギーは露骨に負けたがっていたのだ

なぜ両チームが負けたがっていたのかと言えば、勝つと負けるのでは、決勝トーナメントで入るブロックの顔ぶれが全然違っているからだ。グループリーグを1位で抜ければ、他のグループリーグを2位で抜けたチームと当たる。グループリーグを2位で抜ければ、他のグループリーグを1位で抜けたチームと当たる。Gグループのイングランドとベルギーで言えば、1位で抜ければHグループ2位の日本と当たり、2位で抜ければHグループ1位のコロンビアと当たる。どう考えても日本と当たった方が勝つ可能性がはるかに高いから、普通なら1位通過を目指すところだ。しかしイングランドやベルギーくらいの強豪国になると、日本かコロンビアなんて、さほど重視はしていない彼らが重視しているのは、さらにその先の対戦相手だ。1位で通過して日本を破ったとして、次に当たるのはブラジルだ。もちろんブラジルがメキシコに負ける可能性もあるが、順当ならブラジルだ。さらにその先にはフランスかアルゼンチンかポルトガルかウルグアイが待ち構えている。結果的にはアルゼンチンもポルトガルも負けてしまったが、怖い顔ぶれが揃っていた
一方、2位で通過すれば、コロンビアと当たるが、それに勝てば、その次に対戦するのはスウェーデン対スイスの勝者で、もちろん両チームとも強いのは間違いないが、名前だけで怯えるような相手ではない。さらにその先だって名前聞いただけでビビるような相手はスペインくらいだ。誰が見たって、そっちのブロックに入りたいと思う

てな訳で、イングランドとベルギーは2位通過を狙って無気力な試合を展開した無気力どころか八百長と言ってもいいだろう
先発をイングランドが8人、ベルギーが9人も入れ替えたことは、それほど驚くことでもない。両チーム共に決勝トーナメントへの進出が決まっているから、主力を休ませる一方で、控え選手の状態を見るために一般的な作戦だろう。しかし、普通なら、やっと出番が回ってきた控え選手ってのは、存在感をアピールするためにここぞとばかりに必死にプレーするはずなのに、明からに軽く流していた。
同時開催していたパナマ対チュニジア戦は、両チーム共にグループリーグ敗退が決まっているにもかかわらず真剣勝負で激しくプレーしていたのに、イングランド対ベルギー戦は両チーム共に明らかに勝ちたくない気持ちが伝わってきた。
そして、ベルギーもやる気は無かったが、それ以上に露骨に八百長していたのはイングランド。ベルギーは、まさか得点になるとは思わずに放ったシュートが入ってしまい、先制点を取ってしまった。明らかに誤算だったことは、得点した後にベルギー監督が苦虫を噛み潰したような顔をしていた事でよく分かる。一方、イングランドは枠内シュートは1本しか打っていない。それもベルギーが先制点を上げた後で、単なるジェスチャーだ。ベルギーのキーパーがわざとミスしてイングランドの得点をサポートしていたら面白かったが、さすがにそこまではしなかった。

てことで、露骨な負け作戦をとったイングランドの敗戦になったが、あれだけ日本の戦法を批判してたBBCを始めとするイギリスのメディアは恥ずかしげもなく「イングランドはうまく負けることにトライしていた」、「彼らは狙い通りの敗北を手にした」、「よくやった」なんて書いている。それは、その通りで、私も同感だが、それなら日本を批判するのは止めろ!と言いたい。

(2018.6.30)



〜おしまい〜





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