火星大接近

〜 天文台へ行こう! 〜



7月下旬に友人から「火星らしき星が南の空に赤く大きく輝いている」なんて連絡があった。今年は火星と地球の大接近なのだ。

火星と地球の大接近とは、文字通り火星と地球が最も接近する時のことだ。火星は地球のひとつ外側を公転しているが、地球が太陽の周りを365日で1周するのに対し、火星は太陽の周りを687日で1周するため、地球と火星は780日ごとに接近する。分かりやすく言えば、1周2kmの池の周りを私(火星)が687秒かけて回っていると、365秒で一周できる城武君(地球)が780秒ごとに私を追い抜いていく感じだ。

(幹事長)「素晴らしい例えじゃのう」
(ピッグ)「分かったような分からないような」


ただ、地球の公転軌道は割りと真円に近いが、火星の公転軌道はかなりズレているから、2つ星の公転軌道の距離は、遠い所では1億km以上離れているが、近い所では6000万kmより近くなる。なので、遠い所で接近した場合(小接近)と比べて近い所で接近した場合(大接近)は、距離は1/2くらいにまで縮まる。距離が1/2になるという事は見た目の大きさは2倍になり、面積は4倍になるから、明るさも4倍になる。て事で、大接近の時の火星の明るさは、最も遠い接近の場合に比べて4倍もの明るさになるのだ。
そして、今年の7月31日に火星と地球の距離は5759万kmの大接近になるのだ。通常、火星と地球の距離が6000万kmより近くなる場合を「大接近」と呼ぶが、これは2003年以来15年ぶりの現象だ。
もちろん、7月31日だけが大接近という訳ではなく、その前後しばらくは火星は大きく見える。大接近の時の火星は等級で言えばマイナス2.8等の明るさだが、6月下旬から9月上旬頃までマイナス2等を超える明るさで輝く。

なーんて話は知っていた。テレビなんかでも盛んにニュースに出ていたし。ただ、それほど関心がある訳でもないので、聞き流していた。
でも友人から連絡が来たとなれば無視するのも何だし、2階の窓を開けて見てみた。そしたら確かに普段は見ないような赤く大きな星が南の空に輝いていた。あれが火星に間違いない。そして同じように友人から連絡を受けた数人の友人仲間で星の話題が盛り上がってきた。私も古いちゃちな望遠鏡を取り出してきて見てみた。しかし、ちゃちな望遠鏡のため台座がしっかりしてなくて、位置決めが非常に難しく、ブレてなかなかうまく見られない。ものすごく苦労してなんとか見てみたが、私のちゃちな望遠鏡では肉眼で見た小さな赤い点が大きな赤い点になっただけだった
仕方なく、たまたま出ていた月を見てみると、クレーターなんかがはっきり分かって面白かった。同じように古い望遠鏡を取り出してきて同じように空を見ていた友人も、「結局、月が一番おもしろい」なんてコメントしていた。
私の望遠鏡は小さいちゃちなものなので、カメラなんか取り付けられないが、カメラで直接、月を撮影してみた。カメラと言っても、安物のコンパクトデジカメだ。これで目一杯ズームを聞かせて直接撮影してみたら、なんと、クレーターなんかがはっきり分かる精度で撮影することができた。驚き!

安物のコンパクトデジカメで直接撮影した月
(あまりの精度の良さに感動!)


ついでに火星も撮ってみたが、こちらはやはり赤い点が大きく写るだけだった。

安物のコンパクトデジカメで直接撮影した火星
(あまりの精度の悪さにガッカリ)


その後、宵の口に西の空に明るく輝く金星と火星の間に、土星や木星が並んでいる事も勉強し、少し星空に関心を持つようになった。7月後半に北アルプスの五竜岳の山小屋に泊まったとき、30数年ぶりに非常に明瞭な天の川を見て感動していたことも影響していた。
そして、アマチュア天文家の友人に誘われて満濃天文台に行くことになった。彼は高校時代には自分でレンズを磨いて望遠鏡を自作し、今は自宅に口径30cmもの大きな天体望遠鏡を所有し、日食なんかがあると毎年のように地球のどこへでも出掛けていく天文マニアだ。
満濃天文台では事前に解説をしてくれたあと、実際に望遠鏡で色んな星を見ることができる。まずは大きくて分かりやすい木星だ。残念ながら大赤斑は分からなかった(見えなかった?)が縞々の筋は見えた。次に分かりやすい土星だ。なんと、土星の輪っかがはっきり見えた。これには感動した。

望遠鏡を覗くと土星の輪っかがはっきりと見える


(ピッグ)「まさか、この写真は、その安物のデジカメで撮ったんですか?」
(幹事長)「そこまでは無理でした」


この写真は天文台の人が撮影したものをもらったものだ。ただし、望遠鏡を覗けば肉眼で全く同じものが見える。とてもとても嬉しいぞ。
次に話題の火星を見たが、う〜ん、残念ながら、結局は、赤い点が大きく見えるだけで、南極とかは分からなかった。ここまでくると個人の視力の問題も関係してきて、若い子なら「見えた」と言ってる人もいた。ちなみに土星も、若い子はリングが2つ(A環とB環)に分かれて見えると言っていたが、私には1枚しか見えなかった。
そのほか、球状星団とかリング星雲とか白鳥座の二重星とか、色んなのが見られて、とても楽しかった。

満濃天文台は標高1043mで香川県第2位の高さの大川山の上にあるから、下界に比べたら望遠鏡無しでも星空は良く見える。外に出て天文台の人が夜空を見上げながら解説してくれたので、夏の大三角形とか良く分かって勉強になった。北アルプスで見たのに比べたら明瞭さはグッと落ちるが、天の川も見える。
満濃天文台は毎週、金曜日と土曜日は望遠鏡での天体観望会をやっているので、おヒマな方は見に行ってみよう!

(2018.8.15)



〜おしまい〜





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