関西空港に台風が直撃

〜 人災ではないか? 〜



超強力な台風21号が四国や関西に上陸し、各地で被害をもたらしたが、中でも驚いたのは関西空港の被害だ。滑走路は海水で冠水するし、連絡橋はタンカーがぶつかって大きく破損するし、踏んだり蹴ったりだ。
皮肉にも台風21号が関西空港を直撃した9月4日は関空開港24年目の記念日だった。そして、海上の完全人工島として世界でも珍しい関西空港は、1本の連絡橋だけで対岸の陸地と繋がっているから、その唯一のアクセスが大きな被害を受けてしまったら、移動手段は無くなってしまう。また滑走路が冠水して飛行機も飛べないから、関空に取り残された人は移動ができなくなってしまった。

(支部長)「神戸空港から船で往復できるがな」
(幹事長)「せやな。私らはいつもそうやってるもんな」


私らが那覇マラソンに出るために沖縄へ行くときは、便数が少なくて予約が取れない高松空港発着便ではなくて、便数が多い関西空港発着便を使ったりする。その際の高松から関空への移動手段としては、関空まで車で行くより神戸空港から船で行った方が早くて便利なのだ。だから関空が冠水して滑走路が閉鎖され、連絡橋も破損して通れなくなったとしても、神戸から船で往復すれば交通の便は確保できる。

ま、それは良いとして、今回の被害は極めて強力な台風の直撃という避けようのない天災のせいではあるが、人災の面も否定できない

まず連絡橋にぶつかったタンカーだ。
タンカーは台風による被害を免れようとして海底に錨を打って停泊し、台風に向かって向きを変えたりエンジン全開で風に立ち向かったりしたが、結局、台風の力に負けて流されてしまったようだ。まさか、それほど強い風が来るとは思わなかったのだろうけど、結果的に、船長の判断ミスだ。連絡橋は中央部が高くなっており、その辺りならタンカーも下をくぐって通れるのだから、せめてその辺りへ行ってれば衝突はしなかっただろう。もちろん、当初はタンカーも中央部にいたんだけど、関空方面に風に流されて衝突したものだ。だから、あくまでも結果的に言えば、風に流される影響も考慮して、もっと陸地側で待機していれば、うまく流されて中央部に行っただろう。まあしかし、そこまで事前に考えるのは容易ではなかったかもしれない。それよりは、もっともっと沖合に出るとか、他の場所で待機するべきだったのだろう。

そして、これより人災の面が強いのが、滑走路の冠水だ。世界的に見ても珍しい海上の完全人工島の空港が海水で冠水するなんて、あり得ない事態ではないか?

(支部長)「海上の人工島なんやから冠水しても不思議じゃないぞ?」
(幹事長)「いや、そういう意味じゃなくて、予想しなかったのか?と言う意味や」


世界でも珍しい完全な海上人工島の空港なんだから、当然ながら冠水の危険性は考え、十分な対策を施しておかなければならない。それなのに、実際に冠水してしまっただなんて、冗談にもほどがある。何を考えていたんだ?何も考えてなかったのか?
もちろん、関空は造成した時から、冠水の危険性が心配されてきた
その大きな理由は地盤沈下。関空を埋め立てた海底は、もともと地盤が軟弱なところだ。これが地上なら色々と対策も打てただろうけど、海底の事なので有効な対策は打てなかった。そのため、開港してからこれまでに最大で4m以上も地盤沈下している。4mも地盤沈下だなんて、もうトンでもない事態だ。もちろん、今でも地盤沈下し続けているこんなに地盤沈下し続ける人工島空港を作っただなんて、最初から大失態だこれが人災でなくて何であろう!

もちろん、地盤沈下による冠水を防ぐために、空港を囲む護岸の嵩上げ工事や補強工事が行われてきた。護岸の高さは5mほどだ。これくらいで高波は防げると考えていたのだ。しかし、今回、たまたま満潮だったタイミングで、台風の低い気圧により海面が吸い上げられ、さらに強い風によって大きな波となって打ち寄せてきたため、波は5mの護岸を簡単に乗り越えて来たのだ。悪い条件が3つ重なるという最悪のタイミングだった訳だ。

しかし、だからと言って人災の面が許される訳では無い。当初から地盤沈下が予想された人工島の空港なんだから、もっと厳しい想定で対策を取るべきではなかったのか。海の上に人工島を作って空港を作るなんて、最初、聞いたときから無理がある話だなあと思ったのは私だけではないだろう。伊丹空港が拡張できないとか他に場所が無かったとか色々と言い訳はあっただろうけど、あんな巨大な人工島を埋め立てて作るなんて、コストも莫大だし、色々と問題が起きそうなのは子供でも理解できる。そんなのを無理矢理作ったんだから、もうちょっと万全な対策を施すべきではなかったか

(2018.9.5)



〜おしまい〜





独り言のメニューへ