アメリカ連邦最高裁判所の判事に保守派が就任

〜 おかしな風潮に歯止めがかかるか 〜



アメリカ連邦最高裁判所の新しい判事に、保守派のブレッド・カバノー氏が選ばれた

(石材店)「またまたマイナーな話題ですねえ。ほとんどの日本国民は無関心ですよ」
(幹事長)「関心は無くても、影響はあるんだよねえ」


アメリカの連邦最高裁判所の判事は9人で、これまで保守派が4人、リベラル派が4人、中間的立場の人が1人だった。中間的立場の人は、もともと保守派なんだけど、同性愛なんかの社会問題に関してはリベラルな見解を持ちswing voter(意見が割れた時、決め手の1票を握る人)として知られていた。今回、この中間的な立場の判事が退職したため新しい判事を選ぶ事になったのだが、保守派が選ばれたことにより、今後の最高裁判所の判断が保守的なものになると予想される。たった1人の差とは言え、今後の判断において、多数決で保守派が勝つことになるので、非常に大きい意味を持つ。

今回、選ばれたカバノー氏に対しては、性的暴行疑惑によってアメリカ中で大きな議論が巻き起った高校生だった時、彼から性的暴行を受けたという告発者が出てきたのだ。何十年も前の事なので、告発者の証言以外に何の証拠も無いため、真偽のほどは分からない。カバノー氏と彼を推したトランプ大統領は告発者が嘘を付いていると決めつける一方、野党の民主党は告発者側に達立ち、カバノー氏の就任に反対した。さらに全米の大学の2400人以上の法律教授たちが承認反対を表明した。

しかし、結局、連邦議会上院での最終採決で、承認50票、反対48票という僅差で承認された。現在、上院議員100人の内訳は共和党が51人、民主党が49人で、双方から造反者が出たものの、2票差での承認となったのだ。
これをトランプ大統領は自分の大きな成果だと吹聴している。トランプ大統領自身が数多くの女性からセクハラや性暴力被害を告発されているくらいだから、カバノー氏の過去なんて全く気にもしてないだろう。トランプ大統領はとにかく保守派の判事を選びたかったのだ。

私はカバノー氏が高校生時代に性的暴行を犯したのかどうかは知らない。分からない。分かるはずがない。告発者は多くの民主党員や女性から支持を得ているが、告発者が真実を語っているのかどうかなんて分かりっこない。
ただ、こういう告発者が出てくるって事は、全く火のない所に煙は立たないような気がする。最高裁判所の判事なんて、清廉潔白で正義の味方でなければならないと思うんだけど、嘘かどうか分からないにしても、こういう告発者が出てくるような人間が最高裁判所の判事に相応しいとは思いにくい

ただ、彼が清廉潔白な正義の味方でないのは確かのようだが、それはそれとして、今後のアメリカの連邦最高裁判所の判断が正常化するのは喜ばしい。近年、アメリカの最高裁判所は同性愛に好意的なスタンスが目立っていた。それが正常化され、おかしな風潮に歯止めがかかるのなら、ちょっと怪しい男が判事になっても良いと思う。また死刑に対して批判的な風潮にも歯止めがかかるだろう。
もちろん、良いことばかりではない。保守派の判事は、銃規制にも反対だろう。銃なんて世界中から無くしてしまいたい私としては、銃を自由に保有できるアメリカ社会は容認できないんだけど、それはあくまでもアメリカ国内の話であり、日本に影響は無い。しかし、同性愛や死刑については日本にも何かと影響してくる問題だから、無関心ではいられない

アメリカの最高裁判所の判事は任期が無い。自分から辞任しない限り、一度任命されたら終身職なのだ。なので、その影響は長期間にわたって続く。カバノー氏は53歳と若いため、今後、30年くらいは影響力が残るだろう。なので、当分は一安心できるかも。

(2018.10.19)



〜おしまい〜





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