カルロス・ゴーン逮捕

〜 絶対に会社ぐるみの犯行だ 〜



日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーン逮捕された役員報酬を実際には毎年20億円ほど受け取っていたのに、半分の約10億円に過少申告していたという容疑だ
潰れかけていた日産を立て直し、ルノーグループとして世界トップを競うまで成長させた世界的大物経営者の逮捕は衝撃的だ

彼の動機は、おそらくは高額報酬への批判をかわしたかったのだろう。過少申告と言いながら、それでも彼は公表値で毎年10億円ほどの報酬を受け取っていた日本の一般的な大企業の役員報酬をはるかに上回る額だ。日本の大企業は、基本的に、単に運が良かっただけとか、上司にゴマすって気に入られただけとか、そういう理由で経営能力なんか無いのに経営者になった人が大半なので、役員報酬も控えめだ。
ゴーンとしては、そういう無能な人達と比べないでくれ、と言いたいところだろうけど、世間の目は厳しかった。そのため過少申告したのだろうけど、ちょっと姑息な気がする。それに、彼は日産からだけでなく三菱自動車やルノーからも役員報酬を受け取っており、それらを合わせると公表値だけで年間20億円ほどになる。実額なら30億円だ。日本だけでなく、ルノーの株主総会でも、彼の高額報酬に対して反対が多かった。

今回の逮捕劇についてはマスコミがキチガイみたいに報道しているので、詳細を紹介するつもりはないが、非常に不可解な事件だ
逮捕の主な容疑は有価証券報告書に実際の役員報酬より少なく記載したという虚偽記載だ。有価証券報告書は株主や債権者に対して会社の経理状況を報告する極めて重要な報告書だ。なので、有価証券報告書に虚偽記載があれば当然、重大な犯罪である。しかし、これまで有価証券報告書で問題になってきたのは、利益や売り上げなどを偽った粉飾決算などであり、役員報酬の虚偽記載だなんて聞いたことがない異例の事件だ
極めて不可解なのは、そもそも有価証券報告書は経営者が勝手に書けるようなものではないって事だ。私は会社で経理部門や内部監査部門にいたから良く分かるが、有価証券報告書は経理部門が総出で作成する。内部監査部門もチェックする。とてもとても重要な報告書だからだ。その有価証券報告書に虚偽記載があったとすれば、それは会社ぐるみの犯行だ
そもそも報酬が支払われたのであれば、伝票が発生しているはずだ。まさかゴーンが会社の金庫から札束を盗んで帰ったわけではあるまい。いくら経営者と言っても、彼に10億円もの報酬をこっそり支払うなんて事は絶対に不可能だ。経理部門のトップから担当者までみんな知っていた犯罪行為のはずだ。

それなのに今回の犯行を記者発表した西川社長は、あくまでもゴーンと側近達の犯行だと強調している。もちろん犯行を主導したのはゴーンと側近達だろうけど、社長が知らなかったでは済まされない。本当に知らなかったとすれば完全に社長失格だが、知らなかったはずが無い

今回、このような事件になったのは、もちろん、反ゴーン派のクーデターだろう。潰れかけていた日産を立て直すために多くの工場を閉鎖し、多くの社員を路頭に迷わせた彼に対しては反感も根強く、クーデターが起きても何の不思議も無い。首謀者が西川社長なのかどうかは分からないが、ここまで時間がかかったのが不思議なくらいだ。
私は別にゴーンが好きでも嫌いでも無い。全くどうでもいい。しかし、今回の極めて特異な事件の成り行きに関しては興味津々だ。

(2018.11.20)



〜おしまい〜





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