民間療法
 「人力車で医者が来たら,追っかけて坊主が来る」昭和の初期までは怪我・病気で仕事を休んだりすることはなく,仕事に追われるだけの毎日であったから,気づいたときには手遅れの状態であることが多く,尊い命が数多く失われた

 大見にも医者はいたが,怪我をしたり病気になっても,そのほとんどの者は神仏祈願を頼みにしたり,付近の山野に生えている植物,ありふれた小動物の薬効を利用し,先人から引き継いだ知識と我流の工夫で対応し,それで小康を得ようとしたようである

 ここにその先人の知恵を紹介するが,現代においては首を傾げたくなるものもあるが,それでも一定の効果を得ていたのは現在の漢方薬につながるものもがあったからである

 ただ,それでも「疱瘡は器量定め,ハシカは命定め」といわれるように,天然痘と麻疹と労咳だけは手に負えなかったのも事実である
  症 状                          対処療法
アカ切れ 梅肉エキスを付ける
汗 も 汐あみをさせる
桃の葉の煮汁風呂に入れる
胃 炎 センブリを煎じて飲む
イ ボ 茄子のへた汁を付ける
イチジクの乳汁を付ける
打ち身 水仙の球根を摺ってうどん粉と練り,布に塗って患部に貼る
泥鰌を裂いて患部に貼る
黄 疸 しじみ汁を飲む
風 邪 卵酒を飲む
生姜汁を飲む
うどんを唐辛子で煮込んで食べる
疳の虫 奇応丸を飲ませる
疳の点を下ろしてもらって灸をすえる
釘踏み 患部を金槌で叩く
切り傷 ヨモギの葉を揉んで患部に張り付ける
煙草を患部に張り付ける
ハミ酒(マムシの焼酎漬け マムシ酒ともいう)を患部に付ける
ムカデ酒を患部に付ける
結 核 ご馳走を食べて安静にする
結膜炎 硼酸水を薄めてこまめに洗眼する
下 痢 ゲンノショウコを煎じて飲む
ドクダミを煎じて飲む
高血圧 ハミ酒を飲む
産 後 チヌ(黒鯛)を食べる
ズイキ(里芋の乾燥茎)の味噌汁を飲む
(足の)痺れ 額に藁ウを唾液で貼り付ける
しもやけ 茄子の茎柄の煮汁に手足を浸す
食あたり 梅肉エキス(青梅の果肉を煮詰めたもの)を飲む
シャックリ 湯飲みに箸を十文字に渡して四方から飲む
蕁麻疹 はぶ茶(毒消しの実)を煎じて飲む
蜂蜜を湯で溶かして飲む
金柑の実を煎じて飲む
大根おろしを布に塗り,胸に貼り付ける
蓄 膿 塩水で鼻うがいをする
中耳炎 雪の下の葉を揉んで耳の下に貼る
彼岸花の球根を摺り,うどん粉と練り合わせて,布に塗って耳に貼る
頭 痛 額を冷やし,こめかみに梅肉を貼る
棘刺さり 「そげ抜きの木」の葉柄から出る樹液を付ける
鳥 目 鳥の肝を生で食べる
ウナギの肝を生で食べる
乳腺炎 メダカの踊り喰いをする
尿 石 枇杷の葉を煎じて飲む
タンポポの根を煎じて飲む
熱射病 梅干しの果肉を足の裏に貼る
喉 痛 大根おろしを飲む
黒豆を煮て煮汁を飲む
(骨の)喉刺り ご飯を噛まずに丸飲みする
肺 炎 芥子を練って布に塗りつけて,胸に貼る
鯉の生き血を飲む
歯 痛 痛いところに塩をすり込む
痛いところに正露丸を詰める
頬に医者要らずを貼り付ける
歯ぎしり 青虫を炒って食べさせる
ハシカ 屋外の風に当てない
強制的に解熱させないようにする
伊勢エビの殻を煎じて飲む
発 熱 ミミズをしごいて飲み込む
ミミズを煎じて飲む
イタドリの根を煎じて飲む
ナメクジに砂糖を振りかけて飲み込む
蛇の皮と麦飯を練り合わせたモノを足の裏に貼る
鼻 血 後頭部の髪を引っ張る
首の後ろを叩く
鼻詰まり ドクダミの葉を鼻に詰める
暖めた手ぬぐいを鼻に当てておく
腹 痛 正露丸を飲む
ゲンショウコを煎じて飲む
センブリを煎じて飲む
ドクダミを煎じて飲む
膝の関節痛 ツワブキの葉を患部に貼る
吹き出モノ ドクダミの葉を濡れ紙で包み,蒸し焼きにしたものを部に貼る
ドクダミの葉を柿の葉,イチジクの葉,蕗の葉などで包み,蒸し焼きにしたものを部に貼る
便 秘 薩摩芋をふかして食べる
虫刺され 尿を付ける
ヨモギの葉を揉んで汁を患部に付ける
盲腸炎 生コンニャクを布に包み患部に当てて冷やす
火 傷 医者要らず(アロエ)の葉肉を患部に貼りつける
夜尿症 犬の目の点(大腿骨の付け根)を下ろしてもらって灸をすえる




INDEX