New attempt


第2回 一匹釣ってなんぼの新規開拓

そろそろバス釣りからウィンタースポーツに切り替えた輩も多く、根性バサーが野池を独占できる年の瀬。比較的暖かい休日だがちょっと西風が強いし、一人での釣行のためボートを出すのは面倒だったので、陸っぱりをきめこんだ。クルマに乗り込み「さて、どこへ行こうか?」と適当に地図を眺めていて思い立った。「今まで行ったことのない池で釣りしてみよう!」 

知らない道を走って走って、小さいけれど雰囲気の良い池を見つけて、バスが居るかなんてわからないけどキャスト。 もう10年以上前になるか、私がバスフィッシングを始めた当時、学生だったので暇はたっぷりあったから毎日がこんな感じだった。超有名な満濃池(現在釣り禁止)も超マイナーな安笠鏡池(仮名)も、そうやって見つけたものだ。 

久しぶりの新規開拓に心は躍る。が、これが結構むずかしいのだ。なぜならその(見つけた)池にバスがいるかどうかなんて、実際に釣りあげてみなければわからないし、しかも時期的にバスの釣れる可能性は極めて低い。もし仮に今回その池で釣れなかったとしても、本当はバスがたくさん居て、春には爆釣スポットになるかもしれない。逆に、最近水抜きをして魚なんて全然居ないのに一所懸命キャストしている姿は、近所の人からみればただの間抜けな奴である。

しかし何事もやってみなければ始まらない。見知らぬ一匹に出会うためにはとにかく行動あるのみ! ゆっくりとエンジンキーを回し、クルマをスタートする。あの頃と同じように、スタンド・バイ・ミーを聞きながら・・・

 広田上池・下池

最初に行ったのは以前から気になっていた山あいの池だったが、なんと堰堤道路を造成工事中のため、下池はすっかり干上がっていた。このすぐ奥に上池があるのだが、はたして水があるのか不明である。もし水が残っているなら、下池の魚が移されている可能性もあり、しかも道路がないぶん他の釣り人からも隔離されているため、プレッシャーが少なくバホバホ釣れるかもしれない!

でもね、「立入禁止」なんですわコレが。「進入禁止」ならクルマを降りて歩いて行くのだが、「立入禁止」ではいけません。出直しです。

 長田池

次に行ったこの池、私の地図にはつながっている道路が載っていないのだが、適当に堰堤目指していたら辿り着いた。さっそくキャストするも全然気配がない。底に落ち葉などが堆積している割に水はクリアーなので嫌な感じがしたのだが、奥のほうでボートエースに乗ってくつろいでいるヘラ師がいたので堰堤(写真左奥からひととおり)を攻めてみた。しかしアタリひとつ無し。「やはりこれは・・?」と思い石碑を読むと、平成10年11月吉日に堰堤道路の造成工事が完了との事。

なるほど地図に載ってないし、クリアーだし、ヘラ師も釣れてない訳だ。

 来善池

さきほどの池のすぐ隣にある池。ここにもヘラ師がいた、堰堤でヘラ台を組んでいたので「ここ、サカナおるんですか?」と話しかけてみた。すると「んっ?バスはおらんぞ、おらん!」だと。まるで『だからバス釣り(=邪魔)するな!』って感じ。カチンときたが、このオヤジ達、きれいなハイエース横着けしてるとこみると、どうやら地元連中じゃない様子。ならば、と「ですよねぇ、この11月に水入れたばっかりみたいですもんね。」と言ってやった。

さっきの池まで引き返して、オニギリ食べながら様子見てたら、オヤジ達そそくさと撤収してました。バーロー、教えてやっただけ有難いと思え!

 堂奥池

県道沿いにあるマッディーな緑色のフラットで浅そうな池。お約束の電線ワームもたくさんあって、バスが入っていたのは間違いなさそう。でも池の奥でも手前でもショベルカーが忙しそうに働いているので少し不安なままキャスト。堰堤での反応は無し、そこで道路(写真左奥ガードレール付近)から攻めるも浅すぎて話にならなかった。居るには居るんだろうが・・・

いまだノーフィッシュ。

 荒池

適当に走っていたら堰堤に出くわしたので、上がってみると結構イイ感じの池だった。しかしここも堰堤以外にキャスト可能なポイントが無い。ま、比較的深い池がいいだろうと、山あいの池ばかり探しているのだから仕方ない。ひととおり攻めてみるが、堤防の高さほど水深がなく、お気に入りのTDバイブ黒金をロストしてしまったので意気消沈。もうここは釣りどころではない、しかし回収不可能。

この池には必ずまた来る!思い出多きTDバイブ取り返しに・・・

 須合谷池

気を取り直して次の池。ここは釣れそうではない、対岸は出来たばかりのような綺麗な土手だし・・・ 先客(ワゴンRの兄さん達)が釣りしていたので話かけると「いやぁ、僕たちも(ここでバス釣れるのか)よくわからんのですよ」との事。続けて「(車のナンバー見て)あ、県外の人なんですか?あ、凄い!ボートですねぇ。あ、NBCのメンバーなんですか?すげぇー!!あ、・・あ、・・・」と質問されまくった。

ひととおり話終えると、私は次へ行かなくてはならない展開になってしまい、結局一投もできないまま池をあとにした。

 長谷池

ここは一度通りすぎた事のある池だ。少しだけマッディーな私の好きな色の池なのだが、その時はブーマー風の奴が彼女連れで釣ってたので寄らなかったが、今日はだれもいなかったので、ゆっくりと攻めてみた。かなり減水しているのでヘビキャロを大遠投してスローにスローに誘う。じゃれついているアタリはあるものの、乗らない。ヘビ常でも同様、ひょっとしてギルか?

そのうち隣の家で葬式がはじまり、なぜかお経がスピーカーから大音量で流れてきたので怖くなって移動した。

 名も知らぬ野池

山のほうへ、もっと奥へ、とクルマを走らせていたら、結局何かの処理場に突き当たり、Uターンを余儀なくされた。戻っていたら来る時には気付かなかった池を発見。地図に名前も載っていない小さな野池だが、ちょっと攻めてみたくなり、岩盤際(写真奥の角)にチビラバ1/8ozを放り込むとグっと竿が重くなった。釣れたのは34cmのミディアムサイズだったが、なんだかやたらと嬉しかった。

この一匹に出会うために、今日の自分がいたのだから・・・

(注)これらの池は決してフィールド紹介ではありません。池について知りたければ、自分で調べて下さいね。

1998.12.21